第44話 カナルの活躍? (後編)
いつもお読みいただきありがとうございます。
この前編・後編、主人公は全く出てきません。
リーンハルトの影響受けまくりのカナルのお話です。
昼前にシナーナ村に着き、午後から森へオークの洞窟を確かめにいく。
カナルも行きたいというのでナットさんに確認すると迷惑でなければ連れて行ってやってほしいと。
カナルを連れて森に入った。
騎士団が目印を残してくれていたので、洞窟近くまで迷うことなく進む。
「この先で何かが引っ掛かった」
グレゴリーが先に様子を見に行き、俺たちも遅れて洞窟への道を進んでいるとグレゴリーが戻ってきた。
「洞窟の入り口にコブリンが5体いる。もともとはコブリンの住処でオークが居なくなったので戻ってきたのかもしれない」
「入口に5体だと洞窟の中は結構な数がいるかもしれないな」
「リーンハルトが洞窟は奥深くないって言っていたよ。あと数が多い時はスリープ草の煙を洞窟内に蔓延させれば動きが鈍くなったり、寝ていたオークもいたって聞いたぞ」とカナルが話す。
色々突っ込んで聞きたいが、まずはコブリンを倒さないといけない。
「スリープ草なら私が持っているし、私の防壁で煙を洞窟内からしばらくださせないようにすることはできるからやってみる価値あると思う」
「私が入口にいるコブリンを魔法で倒している間に、洞窟でスリープ草燃やしてきてよ」
リンカとアリーも賛成する。
俺とアリーで入口にいるコブリンを相手にして、そのすきにグレゴリーとウィルが洞窟入口でスリープ草を燃やし、グレゴリー達が洞窟から出てきたらリンカが洞窟の入口を塞いだ。
しばらくしてリンカが内部からの防壁をたたいているから、防壁を解除すると言われ剣を持ち身構える。
防壁が解除され洞窟内からコブリンが15体ほど出てきたが、そのうち2体がコブリンソルジャーだった。
手前のコブリンの相手をしていると、奥にいるコブリンソルジャーに向かって大きな水の玉が放たれ、コブリンソルジャーの顔を水の玉が覆った。
息ができないのか苦しみ出し、しばらくして動かなくなった。
もう一体のコブリンソルジャーは俺が倒し15体のコブリンと、洞窟内で寝ていたり、動きがおぼつかないコブリン23体も倒し終わる。
全部で43体か、まぁまぁ多かったな。
カナルと呼びかけようとしたら、すでにアリーがカナルを揺さぶっている。
「カナル、さっきの魔法は何なの?」
「えーっと、リーンハルトが俺たちの水魔法は遠くに飛ばせても威力がない。だから前で戦っている人の邪魔にならないように、奥にいる魔獣の顔を水の玉で覆って息ができなくすればいいって。大きな獲物の方が的も大きくて俺たちでも当たるだろって言っていたから試した」
いったいどういう思考回路をしているか、カナルの友人は。大きな魔獣ほど厄介なんだぞ、それを大きな的だから当たりやすいって・・・。
アリーも話を聞いてガクッと項垂れた。
「カナル、お手柄だが、まだお前の魔法はまだまだだ。俺達みたいに高ランクと一緒ならいいが、子供たちだけで森には入るなよ」
「うん、わかっている。リーンハルトも森に入るのは強い人たちとしか行かないって言っていた。だから俺もセーラムさん達と一緒ならいいってお父さんが言ったんだ」
「カナルの友達のリーンハルト君に一度合わせてよ」
カナルにアリーが言っていた。
俺も会ってみたいよ。
「俺も今回の報酬を返上してもいいから、リーンハルト君に会いたい。俺、水魔法使えるけれど魔力量は少ないから使っていなかった。お湯とか熱湯とか教えてほしい」
普段はおとなしいウィルも一緒になってお願いしている。
リーンハルト君とは週2回、ウエストランド家の魔術師団にいるカナルの伯父さんに教えてもらう時に会うそうだ。
魔術師団員が直接教えているとなると、2人とも魔力が多いのだろう。
カナルが伯父さんに話してみてくれるそうだ。
やっぱり会ってみたいな。
コブリンの後始末と討伐証明の耳を削ぎ村へ戻る。
村の共同風呂に水がいっぱいになったとナットがカナルを呼び来た。
カナルはみんなも風呂に入ろうと一緒に共同風呂へ向かい、カナルの熱湯魔法で湯加減を調節して風呂に入る。
討伐後の風呂だからだろうか、さらに気持ちがよかった。