第三話 「共住」
「起きてー。ご飯できたぞー」
下から父の声が聞こえて目が覚めた。
私は、眠い目をこすりながら部屋から出て、下へ続く階段に向かった。
ガチャッ ドンッ! 「痛っ!!」
いきなり目の前に扉が現れ、思いっきり額をぶつけた。
「わ、ごめん。大丈夫?」
顔を上げると扉の後ろからさやさんが覗いている。
「え、あ、え?だ、大丈夫です?」
??????え?なんでさやさんがいるの?
わぁ、寝間着かわいい……じゃなくて、え?なんで?
「よかった。じゃ、下行くよ」
さやさんの後ろについて階段を下りた。
「二人とも起きたか。朝ごはん食べるぞ」
下に降りると、父と義母が朝食を並べている。
なんでみんな当たり前のようにしてるんだ?
訳が分からない……本当に分からない。
私は、父のもとに駆け寄った。
「なんで二人ともいるの!?」
「え?昨日みんなで食べているとき話したじゃないか。夜に荷物まとめてうちに来るからって」
そんな話してたの!?
確かに昨日は、頭がいっぱいで何も聞いてなかったけど。
「それに荷物運ぶの手伝えるか聞いたとき、うんって返事したじゃんか。まぁ、その前に寝てしまったけど」
……なんも言えない。自分に非があり過ぎる。
「ほら、ご飯食べるぞ。椅子に座って。」
私は言われるがまま席に着く。
「よし、全員揃ったな。いただきます」
「いただきまーす」
なんでこの人たちは、こんなにも順応が早いんだ。
起きたばっかりだが、もう眠くなってきた。
「しおりは、今日何か予定はあるのか?」
「え、特になんも無いけど……」
「そうか。さやちゃんは、することあるのか?」
「いやー私もないなー」
「お、じゃしおりに勉強を教えてくれないか?今年受験なのに全然勉強してる風に見えないからさぁ」
「はい。いいですよ」
は?え、なんで勝手に……そんな……え?
「ちゃんとお礼言うんだぞ」
私は、少し父を睨みながら頷いた。
「あ、それと俺たちはこの後デート行くから二人とも留守番頼むね」
うん……ん?二人で?留守番?
「へーさすが、ラブラブですね」
「ふふふ、いいでしょ」
この人たちは、ホントに……もういいや。
「ごちそうさま。先に上がっとく」
私はそう言って部屋に戻った。