表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/49

[ルートY] broken crystal 2





それから数週間が経った。


相変わらずレーナという少女は私を一日中看病し続ける。


雨の降る日も、雷のなる日も。


乾燥した日が続くと10分おきに水を持ってくる。


レーナは、優しい子だった。


そんな彼女に自然と私は心を開いていったのかもしれない。






「_______孤児院?」



「はい。ここは恵まれない子達の家、Abels Haus(アベルスハオス)


「私がこの僻地に作りました」




「...慈善事業とは感心だな」




「子供を引き取るというのは...傲慢で烏滸がましいことではありますが」


「彼らのことを見ると、どうも見捨てることが出来なかったのです」




「...それが君なりの正義ってやつか」




「違います」




「...?」





「_________私なりの意地です」





「...」


「君は...私とは違うようだ」


「思想や感情に縛られず、人として生きている」





「...全てあなたから学んだのです」


「覚えていないでしょうが...昔のあなたはそうでしたので...」





「...」





「...申し訳ありませんでした。出すぎた真似を」


「私はクロズコップ様にこれを渡そうと。精神的にも安定してきたご様子なので」





静かに、小さな白い箱を渡される。


それを痩せた手で開けてみた。





かぱっ






「これは...眼帯...」





「私は少々裁縫に長けておりますので、今回制作させていただきました」


「黒染めしたシープスキンにタンニン鞣しを施しております」




「これを...君が?」




「はい。丹精込めて作らせていただきました」


「付けてみてください。採寸が合ってるか分かりませんので...」





「...」





するっ




ぎゅっ





「...すごい。ぴったりだ」


「...ありがとう。レーナ」





「...」


「良かったですっ」





彼女は初めて、芍薬が花を開くように笑った。








ガンガンガンガンッ







「レーナさーん。いるんでしょー?」


「さっさと金払ってくださいよー」






「なんだ?」





「...この孤児院の融資を取り立てに来た人です」


「もう既に代金は支払ったはずなのですが未だ取り立てに...」







カキンッ




じじぃ...






「すぅ...ふぅ...」


「_______頼め」





「...え?」






「ここに軍役を終えた一人の人間がいる。しかも君に借りがある」


「______素直に頼め。奴を追い返して欲しいと」





「そんなっ、あなたはまだ病人で...!」





「君は優しすぎるのが玉に瑕だな、全く」


「しかしその優しさが子供たちを傷つける結果になりうるとは思わないか?」






「...っ」


「...分かりました。あの人を...追い返してください」





「...」


「今からこの力は君と孤児院のために使う。君はここで子供たちを安心させていろ」





がばっ






「それまでどうか、私の帰りを待っていてくれ」






そう言って、レーナの頬にキスをした。






「ひゃっ!?」






「言っておくが、君のようなお淑やかな淑女は大好物だ。私に頼ったことを後悔するなよ」






コツ コツ コツ コツ...






「ぁ...」






ゴシャッ バキッ ガギッ ブチャッ







「________」







ドア越しのその音を聞いて、やはりクロズコップ様の精神的病は治っていなかったと確信した。


しかし不思議とそこに恐怖はなく、安心感も無かったが__________







_________より一層彼女に愛情を注いであげたくなったのです。


























評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ