[ルートZ] 覚醒
_______ガチャとフキのアパート
「あ...ぉ...」
腹から流れ出した大量の血液。
さっき紫呉が私を刺した傷だ。
恐らく子宮まで到達しているのだろう。
「あの...クソ...ガキ...っ!」
玄関用に置いていた害虫冷却スプレーを患部に噴射する。
「ぎぁぁああああッッ!!」
冷たいはずのスプレーが灼熱のように感じる。
ただ、これで患部の血液流出は一時的に止められたようだ。
ぐぐぐ...
「...ペズに...電話を...」
「奴を...紫呉を...殺さなきゃ...っ」
小型携帯を取り000と番号を入れる。
プルルルルッ プルルルルッ...
「...出ろよクロズコップ...ッ!」
ピッ
「うぅん...クロズコップですがぁ...」
「...ガチャだ...今すぐ、タバコ屋に...来て...」
「ガチャ...?大丈夫か...?」
「何か苦しそうだが」
「...フキが...シグレに、攫われた...っ」
「奴はやはり...極悪人だったんだ...っ!」
「...あ?」
「ちょっと待て、状況が掴めない」
「とりあえずそっちに行く。だが、一日はかかる」
「それまで耐えられそうか?」
「無理...かも...」
「救急車は呼べない...私の顔は日本政府に割れてしまってる...」
「...ちっ」
「待ってろ。水分は摂れ」
ピッ
「...」
「(ペズは呼んだ...後は、どうする...)」
「(考えろ。フキなら...あの人なら...っ)」
ブヂンッ
「...ぎゃッ!!」
ドロ ドロロ...
「(なに、今のペンチでちぎられたような感覚...ッ)」
あまりの痛さに顔面に触れる。
ずるっ、とした触感で血を感じた。
「は、鼻血...」
「(なんで...辻褄が合わない...刺されたのは腹なのに...)」
ジジ、ジュユゥウン...
突如、視界がカメラのスコープのように暴れ出す。
両眼視力1.0の私が。
そして、今までに見たことない程高画質の風景がカメラに写る。
それは埃の長さまで。
「なに、これ」
そして脳からだらっと何かが垂れる。
これが...全く気持ちがいい。
今までに感じた快楽より数百倍...いや
_______1000倍気持ちがいい。
「...これが...」
「_____これが、フキの世界なの...?」
それが...感覚過敏の体に深く焼き付いた。




