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[ルートX] The Russian Roulette:2



[_______1発目______]
















__________カンっ













「空砲」


「次、ペシューコフ。撃て」




ガチャッ





「ふぅっ....ふっ...!」





「大丈夫だ、ガチャ」



「________弾は出ない」




「...ッッッ!!」





________カチッ





「はぁ...!はぁ...ッ!」



「ほら、弾は出ない」



「...」


「(...こりゃ一人ぶち殺さないと始まらないな)」





カチョッ カチョッ



ぼっ...



ジジ....




「ふぅ...」


「...次」



さっきまで喋っていたクラシコフはつまらなそうに紙タバコに火をつける。


そいつはコリブリのフリントオイルライターを使っていた。


素材は鉄色のニッケル。




「...」


「なぁ、一本くれよ。そのタバコ」



「...」


「構わん」



一人のクラシコフが近づいて、私にキャメルを咥えさせる。





カチッ カチッ




ぼっ...




「へぇ、コリブリ使ってるのかお前」




バシッ




「貴様...ッ少将のライターだぞッ!」


「返せッ...!」





するっ





ガシャンッ




「あぁ...!」



「...あーあ、引っ張るから...オイルまで漏れてしまってる」


「悪いな少将、壊してしまった。今拾うよ」




ヌチ...





「も、申し訳ありませんでした少将...!自分の不注意で...!」



「...」




パァン パァン パパァンッ!





「がぁッ...!」




クラシコフはタバコを口でふかしたままMP44ハンドガンを部下に向けて4発発砲した。


その流れ弾か、私は左肩を撃ち抜かれたらしく血がドクドク流出している。


私は左手で傷を抑えたが思わず砂利まみれの床に手を着いてしまった。




「悪いな。流れ弾が当たっちまったらしい」


「でもこれでチャラだろ?」


「あのライター、結構気に入ってたんだ」



「...あぁ...いいぞ...」



「くく...さぁ、続きだ」


「面白くなってきた」


「おい、タオルを持ってこい」





私は肩を押さえて椅子に戻った。





カツ カツ カツ カツ




「ああ、別に出血なんか気にすることじゃ...」






「______君はその手で銃に触れるつもりか?」






「______!!」






「ふっ...バレないとでも思ったのか?」


「ライターのオイルを銃弾に付着させ暴発させるつもりだったろ」




「...っ」




「くく...猿芝居が過ぎたな」


「そいつの手を拭け」





ゴシゴシ...ぐっ、ぐっ




別のクラシコフがやって来て私の右手を力強く拭う。




「...これで満足か?」



「続きだ。君からだぞ」




「...」







[______2発目_______]





「...っ」








__________ガチッ





「...」


「...は...っ」



「くく...焦りが見え始めたな」


「イカサマがバレてもう打つ手は無しって感じだ」




「...」




「次、ペシューコフ」






チャコッ






「ぅ...うぅ...っ」




またもやぽたぽたと下に落ちる水滴。


汚れたタンクトップを着たガチャは目をつぶりながらこめかみに銃口を突きつける。


このロシアンルーレットというものの真の恐ろしさというのは、生き伸びれば伸びるほど恐怖が増大するというところだ。


死神がじわじわと音を立てて近づいてくる感覚。


それが不快でたまらない。






「...っ」


「いあぁッ!!」






ガチィンッ





「ぁ....はぁ...っ!!」


「生きてる...私...」






ガチャは安堵の表情を浮かべ、頬をぴくぴくと痙攣させた。


半狂乱になっているのかもしれない。







「...」




そのガチャを横目に、クラシコフは私らを見つめた。










「...」


「_____銃を変えよう、新しいのを用意しろ」





「なに...?」


「イカサマはしていない。いい加減にしろ」





チャキッ





「...これがいい加減に見えるか?」




「...」





「それでよし。次に使う銃はこれだ」





ゴトッ





「(M686...)」



「こいつはパイソンよりメンテナンスが容易で愛用している軍人も多い」


「つまり、君はイカサマが容易ではなくなるわけさ」



「随分と...余裕な様子だな」



「君は勝てるギャンブルに怯えるのか?」











「...ぶふ...」



「...くく...」
















「「ぶはぐかかはははッッ!!!」」













ジャキッ







「______行くぞ3発目ッ!必ずお前をぶっ殺してやるからなぁッ!」




「_____面白いやってみろゴミムシがッ!!!」








[________3発目________]










回り始めた運命のシリンダー。


そうして草間フキは、"覚悟"を決めた。

























_______ガキッ










「...ッ!」







ハンマーが振り下ろされる。


刹那、ガチャは思わず目をつぶった。








ギ...








「...」


「...は?」







が、しかし。


弾は発射されない。


ハンマーが落ち切っていないのだ。







「______」





ギギギギ....





シリンダーが震える。


瞬間、少将に銃口を向けトリガーを引く。













_______バギョンッッ







「...」




「...ぁ...あぁ...」


「...草間ぁ...貴様...」




「...」




クラシコフの胸の中心に空く風穴。


空間は静まり返り、リボルバーの銃口から煙が出ているだけだった。





「________言ったはずだ。必ず殺すと」







「ご....ぉえ....」


「なんだ...なにが...っ」







「...冥土の土産に教えてやる、自称ギャンブラー」


「この血まみれの左手に付着した砂利をシリンダーの隙間に挟め、僅かな動作不良を起こさせた」








「あ"...?」








「お前に撃たれた瞬間、倒れた拍子に床に手を着いて付着したのがこの砂利だ」


「その時思いついたんだよ。込められたはずのM686の一発目の弾丸を空砲だと混乱させた後発砲すれば確実にお前を殺れるとな」






「なぜ...一発目に弾が、込められてると分かったんだ...」







「____お前、退屈そうな顔をしていただろ」


「お前みたいな奴は一人ぐらい死ななければ面白くないと感じるような人間だ」


「一発目から弾を込めにくるに決まってる」




「...す、すごい...すごいよ、草間フキ...」


「やはりお前は...天性の博徒(ギャンブラー)だ...ッ!」







「...もういいか、話は」


「正直お前が喋ってるだけで反吐が出そうな気分なんだ」


「_______命を弄んだガチャの家族に詫びながら、血を大量に流して朽ち果てろ」








「...ぉ...ぅ...っ」


「ぶげぇ...ッッッ!」








クラシコフは口から血を大量に吐き出し床にへたりこんだ。






「行くぞ、ガチャ」






ぱしっ






「あ...」






ガチャの細い腕を掴み、肩に抱きしめる。


そして錆びたドアに手をかけた。







「...この...部屋から...出られるとでも...?」




「忘れたか、クラシコフ」


「今の私は脳に電極が刺さってる」


「部下を私に消しかけようとしても...」


「______メキシコの二の舞だ」










___________ギィッ








バタンッ____________









「...」


「...くっ...くかかっ...」


「草間...フキ...かははっ...」


「...なぜこんなにも、面白い奴を...知らなかったのか....」





「でも...残念ながら...」



「______私はまだ...負けていない」



「...なぜなら...」


「______死んでねぇからなぁ...ッッ!」















ブスッ





倒れたクラシコフの心臓に別のクラシコフが注射をする。





「おが...ッ...ぎッ...!」


「がぁッ...!!」






瞳孔を開き、苦しさにその場をのたうち回る本当のクラシコフ。


部下はそれを、表情を変えずに見つめる光景だった。





「ッ!」




「......」






ぐぐ...っ...




すっ....






「...」


「...さぁ、賭けの続きをしよう」



















「_______草間フキ」














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