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門番令嬢は夜会の舞台裏で治安維持したくない  作者: 宇和マチカ


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7/22

不法侵入者はノリノリ

お寒い中、お読み頂き有難う御座います。


 薔薇……モドキの咲き乱れる芝生も美しい庭に可愛い動物(亀)がたわむれ、白く美しい木製の四阿も静かに佇む。


 此処で、籐編みの椅子とテーブルに小洒落たティーセットとか設えてあればさあ。もう、……リゾートよね。高級なお品を揃えてあったら素敵! 


 残念ながら携帯ボトルと短槍と縄とバスケットを横に、折りたたみ椅子に座ってるだけだけどね! 

 長い槍だと小回りが効かないから、見つけ次第侵入者を制圧していいらしいわ。

 でも、高位貴族のお屋敷よ? そんなに不審者が忍び込むのかなぁ。


 と、ね。門番いえ、四阿番をして3分位はそう思っていたんだけど。


「きゃふっ! あれ、ココはどこかな。あーれー?」


 ……コッテコテなメイド服(勿論ここのお屋敷のではない服よ)の女がいつの間にやら湧いて出たり。


「みゃあん! え、何この女? どうして!? ミシーは!?」


 コッテコテなミニスカート? に何故か作り物の猫耳の女が湧いて出たり。

 他にも……何か村娘っぽい割には髪も肌もツヤッツヤで仕立てのいい服を着た女が湧いて出たり。


「いや、どういう事!? 何なのよ、この変な刺客共は!!」

「見事ですな、お嬢さん!」


 どう見ても場違いなコスプレ女が出るわ出るわ、計5名! バリエーションが豊かであざとくて気持ち悪いわ! まさか、街にあるコスプレイメクラ(しょっちゅうモメて騎士団が駆り出される)の従業員なの!? 何の為に!? でもあの店、滅茶苦茶態度悪いから、こんな悪徳派遣をやりかねないわ!


「失礼ですが、このお屋敷は治安が悪すぎやしませんか!?」

「今日はよく湧いて出ますな」


 この感心してるジェントルマンは執事さんなの。

 ミシー様はお仕事に行かれてしまったわ。……結局何のお仕事をされてるのか聞き忘れた……。おお、私ったら何て迂闊なの。いえ知ったところで、単なる好奇心だけど。


「身分は大概女官なのですよ、これらは」

「じょ、女官……!? アレが!?」


 女官って、まあまあ身分高めの貴族女性(次女以降)よね。露出狂なの? 城内で見たら楚々としてる癖に、きゃあんみゃあん? 見る目変わるわー。何やっとんのよ。


「ええ、手を変え品を変えて。ミシエレ様にお情けを貰おうと忍び込むのです」

「……は、はしたない……」

「おお、若いお嬢さんに失礼な事を申しました」


 ……無垢な乙女だもの!そんな赤裸々なお言葉には思わず顔を赤らめてしまうわ!

 いえ、犯人はイメクラ娼館? とか考えていたけど其処はね。仕事による弊害で耳年増なだけよ。箱入り深窓の令嬢……ではないけど、純粋培養なのよ!


「ですが、この四阿は何ですの? 何故、人が湧きますの?」


 垣根の切れ目とか、壁を乗り越えるとかならまあ、分からなくもないわ。

 ……本当に、みょ~んって出てきたのよ。あの四阿の空間から湧いて出たのよ!!


 驚きすぎて最初の獲物……いえ、侵入者の肩を串刺しにしそうでね。咄嗟に、ちゃんと柄でボコ殴りに切り替えたのよ。

 流石に初回でお屋敷を血で染めるのはね。門番は基本不審者を捕らえるのが仕事なのよ。弁えてるわ。


「当家は門ですので」

「……当家は、モン……とは?」

「おや、ご存知ありませんか」


 し、知る訳ないわ……。でも、何だか重大で聞いたらイケナイ予感がヒシヒシするの!!

 ダメ! 収まって! 疼かないで私の好奇心!!


「移動術の秘を預かっております」

「移動術、の……?」


 ……って、何!!

 この世界、魔法の類が殆ど無くて、使える人はレアなのよ!

 ……あ、だからか。

 だからミシー様は厚遇されて……でもそれお姉さまの件でよね。ど、どういうことなの。


「しかし、本来のこの四阿は王宮が緊急自体に陥った際の逃走門なのです」

「……それが、悪用されているのですか」


 あ、ボケっと驚いている間に聞き損ねたわ。でも、また聞き捨てならない事を聞いてしまったわ……。どうも私は弁が立たないのよね。まあ、思ってることを口からパッと言うと、お先真っ暗! 社会生活を送れないのだけどね!


「ええ、ですが。断ち切りたい遠きご縁の方がミシエレ様を派閥に組み込もうとお立場を顧みず、このような不用物をお贈り頂くので困惑しております」


 ……ぶ、ブチギレていらっしゃるわね。

 確かに執事さんたら侵入者をお引取りに来た時、然りげ無く足蹴にしてたわ。でも仕方ないわ。犯罪者に掛ける慈悲はないものね。


「かと言って閉じる訳にも行かず。ですが、押し留める奔流を留める事など出来はしませんのにな」

「そ、そうですわね……」


 わ、私、この場に必要かしら?

 出る幕も無い位に、お屋敷の方々が殺気に溢れているじゃないの。ストレスが溜まっているのね。まあこんなのが四六時中湧かれたらストレスマッハよね。滅茶苦茶分かるけど! こんな殺気に囲まれると、流石に怖いわ!


「ただいま」

「うぉっ!? キャッ! み、ミシー様!?」


 何処から湧いて出たのよ!? つい野太……いえ、吃驚して可愛げのない声が出てしまったじゃないの!


「お帰りなさいませ、ミシエレ様」

「今日も出た?」

「はい、残念ながら5頭湧いて出ました」


 ……か、数え方に人権がないわ。侵入者を害獣扱いとは……。


「コレで実証出来たな。俺が居なくても湧く。門番が身内でなくても湧く」

「そ、そんな実験だったんですのね……」


 この後、ガチの人体実験だったら走って逃げようと思っていたのよね。


「男でなくて腕の立つ御婦人が番してるなら出てこないかと思ったけど、変わらず湧くんだね」

「わ、湧きましたわね」


 納得される笑顔が、眩しい……。

 ……でも私をそんな理由で、見初めて頂きたく無かったわー。いえ、見目で見初めるとは思えないけど。乙女心は複雑なの!


「よくもまあ、此処まで毒花ばかりを詰め込んで贈りつけられる」


 し、執事さんの笑顔が怖いわね。

 足元のトゲトゲガメの可愛さと沼薔薇が美しいから、意識をそっとそっちに向けましょう……。お花と動物の組み合わせは最高よね。


「男を誑かしたい魔性の色気無しのガキ女だっけ。その手の書物をなぞってるらしいな」

「男を誑かしたい魔性の、ガキ女……」


 ……属性多いわね。いえ、確かに来た人選は何故か低身長、童顔、足出しの……ロリ志向だったわね。胸は色々だったけど、総じて足出しだったわ。もうヤブ蚊も増えてきたのに、足を虫に噛まれないのかしら。

 じゃなくて、あの手の女性、ミシー様はお嫌いみたい……。


「ハニトラ……いえ、美人局にしては、容姿と衣装の傾向が似通ってましたわね」

「即物的で気持ち悪い。あんな風が吹いたら消し飛びそうなのより、頑固で固い方がいい」

「ゲフム!?」


 な、何故こっちを見るのよ!! でも、そんな熱い視線は悪くない……わ!

 ……あ、亀ね。一杯私の後ろに寄ってるわ。

 そ、そうね、ミシー様は、亀ラブだものね。

 ……はあ。


 しかし、書物……。書物をなぞる……?

 もしかして、転生者が山盛り来てるのかしら? 

 乙女ゲーム略称イモダンを知ってる、転生者が……。


 ……でも、攻略対象とはいえ、余所のお屋敷に不法侵入するシーンは有ったかしら?

 流石に、犯罪万歳なゲームでは無かったわよ。

 しかも今、お昼だし。


 攻略対象と陽の光の下で逢えるのは、ラストダンス以降。

 ……何だか……こう言うと。罪人と、罪人のお勤め待ちしてる人みたいね。闇稼業とか裏社会とか。

 実際ヒロインを目指した人達は、犯罪者になったけど。

 でもね……。何故、恵まれた立場なのに目指してしまったのかしら? と疑問に思ってしまうわ。


 だって、女官の地位は概ね高位貴族の娘が占めているのよ。流石に公爵家(おうけのしんぞく)は就かれないでしょうけど。


 高給なのに。

 そして、ミシー様と釣り合う家格の筈なのに。

 どうして、婚約を申し込むとか正当な方法を取られないのかしら。

 黒幕とやらがこの茶番をゴリ押ししたのかしら。でも、脅されたように見えなかったわね。脅された人間は、ノリノリで不法侵入した上あんな科白出ないわ。


「本当にミシー様がお好きなら、犯罪に手を染めるまで思い詰めず、正当な手段を取れば宜しいのに」

「好き? 思い詰める? そんな訳無いだろ」

「思い詰めた人間は何をするか分かりませんのよ」

「そうみたいだね。俺も何をするか分からない」


 ……こ、怖いわ。



ミシーはミニスカ装備は好みではないらしいですね。

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