表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
門番令嬢は夜会の舞台裏で治安維持したくない  作者: 宇和マチカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/22

悪役令息、来襲す

お読み頂き有難う御座います。

事務職に戻ったルーキアの元に誰か来たようです。

「ルーキア、ジドが復帰したぞ」

「ん? ま、まあ、良かったですわね」


 騎士団事務官のゆったりした上着に、タイトなスカートを装備し!キチンと机に向かって羽ペンを優雅に動かす!!

 本来のルーキア、此処に推参!! ビシッ!!


 とか椅子の上に片足上げてポーズ付けてたら後ろから声が!!

 うう、見られたかしら。マッケイさん(同じ事務官員男性)が昼休憩で居ないから気が抜けた!!


「ルーキア、何か……滅茶苦茶世話になったみたいで」

「え!! え、ええ、ええとも! 滅茶苦茶大変でしたわ」

「ええとも?」


 そうよ、あんなバイザー付き兜に板金鎧フル装備なんてイレギュラーな格好!!

 偶々兜の在庫が有って良かったわ! 他の兵士の使用済みは恐ろしい臭いだったもの。

 鎧兜は何を置いても早く洗って!! って啓蒙活動しなきゃならないわね。チラシを作って、給料明細に挟もうかしら。許可を取らなきゃなー。


「そこは……大丈夫でしたよとかは言わないんだ……」

「大人しいだけでは駄目だと、キリエの件で自覚致しました」


 これからちゃんと自立した事務でいなきゃね! キリッ! としてみせるわよ。さっきはちょっと油断しただけよ! 忘れろ!!


「それであの……何でオレの鎧が……何で訓練所の……真っ黒な大鍋の中に?」

「ああ、アレですか。あまりにも不潔な臭いだったので、廃棄予定の柑橘の皮と炭の粉を混ぜたお湯で煮てます」

「……」


 そうなのよね。

 あの時は色々有って気づかなかったけど、あの着せられてた板金鎧、ジドのらしかったのよ。背格好が似てるからって、似てないわ!! 失礼な!!


 でもまあ着れたから着てたけど。

 何と! 手入れされていたのは、表側のみ!!


 ……アドレナリンが切れて正気に戻ったら、臭うの何のって。

 ええ、宿舎のお湯を使いすぎだと怒られた位にね。

 だから、訓練場に置き去りにしてあった古い鍋で、つい! 憎き臭いの鎧を煮ちゃってたわ。ええ、許可も兵士長に頂いたし、ちゃんと消火もしたわよ! 今は浸け置き中なだけ!


「あの臭いのせいで石鹸が2個消え失せましたの。弁償して頂けます?」

「……こ、こんな子……だっけ? ……ええと、石鹸……。さっき買ってきたから、あげるよ……」

「……」


 冗談だけど、言ってみるもんね。ちょっと申し訳無かったかしら。

 でもお鍋で消臭するのも大変だったんだから!!


「あの、でも、キリエを蹴飛ばしたのは良くないよ……。アイツも苦労していて」

「黙らんか部外者が。お前は職務中に不埒な手を伸ばしてきたキリエを! 庇うというのか!? 下郎!!」

「ヒッ!?」


 あらしまったわ。この間の余波(伯父様を意識した殺気)が漏れちゃったかしら。んもう! ジドったら変な事ばっか言うんだから!


「ル、ルーキア! 病み上がり! ジドは病み上がりだから!!」

「でも兵士長!正当防衛なのにジドったら、酷いですわ」

「さ、さっきの……殺気……」

「シッ!! 馬鹿!! キリエの二の舞いに……」


 兵士長がジドを連れて行ってしまったわ。何だったのかしら。また事務室が静かになっちゃったわ。


「全く……」


 腹立たしいわ、ジドったら、キリエの肩を持つなんて!! そうそう、キリエは職務怠慢の罰は……。

 今、彼は第一から第五まで、全ての訓練場の清掃をしているわ。

 壁に生えた草抜きが特に大変らしいのよ。壁に生える草って硬くて棘が有るのが多いからねえ。

 仕方無いわよね、罰則規定の軽めの罰だしちゃんと受けて貰いましょう。


 ……キリエも流石に、訓練場の壁の草抜き中にヒロインとニアミスしないでしょうしね。

 そもそもゲームの設定では、どんなペラペラな会話でも、夜会で無いと意味がない……んだものね。昼間は勉強に当てなきゃならないし、歩き回る暇もない……。


 今から思うと……昼間にデートが出来ないとか、何てつまらないゲームなのかしら。夜会オンリーって、不倫の密会ぽいじゃないの。


 んん?でも待てよー……?

 攻略対象って、夜会にしょっちゅう来れるクラスの高位貴族よね。

 高位貴族の……三男位迄のお生まれなら。……大体、お家同士で交わされた婚約者様、居るわよね。貴族は家の結びつきが大事だもの!!

 つまり、攻略対象は恐らく99%売約済。

 そんな殿方と、夜会で親しげ薄っぺらいトークを交わす新興貴族の女……。


 怪しーい!! 怪しいわ!! とっても後ろ暗いわ!!


 その場限りの薄っぺらい関係、とか。結婚までの気楽な関係、とか……過るわあ。

 どう考えても……誰が見ても……。

 彼らがキャッキャウフフする夜会の会場は……不倫の密会現場……よね。


 やべえ……。

 やべーわ、ヒロイン……。ヒロインのこれから、やべーわよ。


 良くて別宅監禁愛人エンド……。

 悪くて……婚約者様のお宅からの指先一つでダウンしちゃうような即死エンド……。いや、即死なら未だマシかしら?

 ネチネチジメジメ生かさず殺さずエンドなら、怖すぎるわ……。


「……其処の君」

「うはい? 何か御用でいらっしゃいますか?」


 あら、お客様かしら。

 いけないわ、職務に邁進しなきゃ。


「此処は第三騎士団で合っているかな」

「はい、左様でございます……」


 んおお!?

 あらあ!?

 ……この前バルコニーにいらしたイケてないイケメンで有名な、ティナー侯爵令息ミシエレ様じゃないの!!


「何か何処かで見た? 立ち居振る舞いだね」

「ま、まあ……。何処かでお目にかかりましたかしら? ウホホハハハフフフ」


 まさか……昨日の鎧兜姿の立ち回りを見て、私を覚えていたと……!? や、止めて欲しいわ。顔バレしてない筈なのに、どうして!! まさか伯父様が私を見破っていたとでも!? 酷いわ!!

 もっとこう、花屋で花を買っていたとか、可愛い笑顔で同僚と話していたとか! そういう素敵な記憶で覚えておいて欲しいんだけど。


「……ああ思い出した。その大型猿的ムサさが滲み出る変な笑い方、第四の騎士副団長にそっくりだね」

「……かっ……たじけのう御座いますわ……」


 そう、この方のイケメンなのにイケてない所はね。

 一言も二言も多いって所なの。

 銀髪に緑の瞳が美しくて、滅茶苦茶美少年から美青年への美しさ的な……兎に角同世代からしたらキャーキャー騒ぎたいイケメンなのにね。


 言い方ァ!! って言いたくなる方なのよね。

 それも貴賤関係なく、忖度無しで! 誰にでも!!

 天然でどうしようも無いよ、てへっ! とかじゃなくて。

 単に、普通に! 性格がお悪いと評判なの。只今私、実感中!!

 まあ、天然の方がタチ悪いわね。治しようが無いもの。


 でもね。

 それはそうと、ブッ飛ばしたいわあ!!

 この前、この野郎に庭で絡んで返り討ちに有ってたご令嬢と熱い握手を交わせそう!!


「何だ、君だったのか。思ってたのと違うな」

「さっ……ようで御座いますか。生憎と兵士長は見回りに出ておりますが、急用でしたら連絡致しますわ」

「んー、急用と言えば、急用かな。だって、俺の頼みだから何よりも優遇されて然るべき?」

「畏まりました……」


 ……いけないわ、怒りで椅子の足を蹴っ飛ばしそうになったわ。

 我慢よルーキア。社会人淑女たるもの嫌味な来客にはビジネスライクに慇懃無礼!! 何時ものクールでやり手の私を思いだして!!


 そう手早く丁寧に!!

 すぐ横の鳥籠に入れてある、本日の担当鳩、鳩騎士37号(鳩の名前)に手紙を括り付けて!!

 早く帰って来い兵士長!でないとちょっと恨んじゃう!! そんな想い、お空に放つわ!!


「鳩、足怪我してる」

「え?」


 ……あ、本当だわ。

 ピンク色の足の擦り傷から、血が滲み出てる……。

 しまった、確認してなかった……。

 鳩用傷薬、未だ有ったかしら。


「よしよし、早くよくなーれ」


 ぽわーん、ほわわん、と。音にしたらそんな感じかしら。

 柔らかくて形容しがたい音なのよね。


 ……うわー、生で初めて見たわ。聖女様の奇跡の回復術。いや、振り返ったらちょっと緑の光が横切っただけで終わってたけど。

凄い! もう何処に傷が有ったかどうかも分からないわ。


「何見てるの。代わりの鳩は? 治したけど、弱ってるんだよ」

「た、只今!!」


 そう、この方は……ミシエレ様は、聖女様のお力をお持ちなの。

 ……正真正銘、殿方なんだけどね。


 そもそも、本来の聖女様はお姉様であられるクローニャ・ティナー侯爵令嬢だったんだけど……。

 なんだけど……。


 何だっけ。

 ヒロイン関係なかったかしら?そもそもゲームに出てたっけ?あんまり騎士団に関係ない方々だから、情報がイマイチ……。悪役令息的な感じかしら?


「そんなに『聖女の色違い』が珍しい?」

「うはっ!?」


 銀の睫毛が触れそうな位に近!! 美し! 怖!

 ……あ、足音が聞こえなかった!! ボーッとしてても、その辺の敵なら張り倒せるのが密かな自慢だったのに!!


「手続きとか何か面倒だな、君。そうだ、この俺が直接頼むんだし、良いよな」

「ななな、何がで御座いましょう」

「ヌルッポー!」


 鳩を抱えて困ってるのに! 誰も帰ってきやしない!! 何時もはアホ程兵士が出入りしまくってるのに!! 何処行った!?


「俺の周りを変なのが彷徨いてる。門番してくれよ」

「……え、すと……」


 何ですって!? ミシエレ様、ストーカーされてんの?いや、そもそも……あっ。


「も、門番ーーー!? あっ、鳩騎士32号!?待って!!」

「ブフッポー!!」

「そう、門番」


 思わず鳩を離しちゃったじゃない!! 自由気ままにバサバサ飛んでったけど、手紙を付けてない!!

 それでも誰か!! 私の危機を察して、帰って来て!!





門番しに来いと誘われてしまいましたね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ