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62着目 リベンジ! マイスター!!

 各種装備を調えたオレ達は、ドラゴンになったクレハに乗り再びマイスターの本体を目指していた。

 クレハは戦闘に出すことは出来ないが、オレ達を乗せる程度には回復できたらしい。


「また来たのか。私には勝てないってわかっただろうに。いくら人員を二人増やしたところで、埋められる差では無いぞ?」


「それはどうかな?」


 オレは竜騎士の衣装から新たな衣装へとチェンジした。

 その衣装は白いシャツとミニスカート、そして時計をあしらったコートで構成されていた。

 手には、公園に設置されている時計をオレの伸長程度に短くしたような杖を握っていた。


「何をする気か知らんが、その前に片を付ける」


「やってみろよ」


 マイスターは銃を取り出し、引き金に手をかけた。

 ……だが、いくら経っても発砲される気配がない。


「今だ、エルマ、ローザ!」


「OK、食らえ!」


「わかりました!」


 エルマはブーメランを、ローザは肥大化させた植物の根をマイスターに当てる。

 その攻撃はマイスターにクリーンヒットしたのだが……何かおかしい。

 確かにマイスターは吹っ飛ばされつつあるのだが……飛ばされ方が以上に遅い。


「もういいかな。そら」


「ごはっ!」


 オレが能力を解除すると、マイスターは至って常識的な速さで吹き飛んでいった。


「お前……一体何を……」


「何って――お前の時間の進み方を遅くしただけだが?」


 現在のオレの衣装の名前は『時空師の衣装』。時間を操る能力を振るうことが出来る。

 かなり強力な衣装だけあって、値段は今まで買ってきた衣装の中で最も高く、ドレスメダル千五百枚もした。


 インナーは、『ウォッチ・スタンプ・パンツ』と『ウォッチ・スタンプ・ブラ』を選択。両方に『負担軽減』の効果を付与し、時間を操作するときにかかる負担を極限まで軽減している。

 ちなみにこのインナー、『スタンプ』という同じ絵柄を無数にプリントしてあるデザインのカテゴリーに入っており、文字通り時計柄をたくさんプリントしてあるのだが……パンツだけちょっとおかしい。

 フロント部分に懐中時計をデカデカと描いており、鎖がクロッチを通して尾てい骨まで伸びている。そして余白に時計柄をプリントしてあるのだ。

 つまり、なぜかアニマルのカテゴリーに近いパンツのデザインなのだ。理由は知らない。


 その後も一方的にこちらが攻撃する展開になったのだが……。


「……わかったぞ。お前、その服だと攻撃力がほとんど無いな? だから仲間に攻撃させているんだろう?」


 図星だった。

 実は時空師の衣装、攻撃にはほとんど向いていない。せいぜい身の丈もある杖で殴るぐらいなのだが、腕力に補正がかかる衣装では無いため素の力しか出ない。

 何らかのやり方で一対一の戦いに持ち込まれると、非常に弱い衣装なのだ。


「正解のようだな? ならば!」


 すると、マイスターはなぜか上に向かって発砲した。

 しばらく訝しんでいたオレだったが、すぐに気配を感じ自分の周囲に時間が遅くなるラインを設けた。

 そして次の瞬間。


「危ねぇ……」


 ライン上をゆっくりと飛ぶ銃弾が、十数発あった。


「瞬間移動か?」


「そのような物だよ。別の所に飛ばした銃弾を、視界が届く範囲で転移させる。そこの二人を相手にしなくても、お前だけを最初から狙える!」


 そしてマイスターは、さらに追加で銃弾を送り込んできた。


「レオナ!」


「今、銃弾を落とします!」


 エルマとローザがスローに飛んでいる銃弾をお年にかかるが、そのせいでマイスターへ攻撃する機会を失ってしまった。

 こうしている間にも、続々とあいつは銃弾を送り込んで着る。

 攻守逆転。今の状況を端的に示すならば、それがピッタリだった。


「どうした! さっきまでの威勢の良さは!!」


 マイスターは、発砲を続けることを辞めていない。このままオレ達の体力切れを狙うつもりだろう。

 少なくともオレは……実は時間の進み方を遅くするだけならそんなに辛くなかったりする。

 時間を操作する場合、単純に時間の進み方をいじるだけなら比較的負担は軽いのだ。もっとも、効果範囲が広がれば負担が大きくなるが、現在は効果範囲を限っているので負担は軽い方だ。

 さらにインナーのパンツとブラを両方とも『負担軽減』の効果を付与しているおかげで、別のことをしながら、むしろ片手間で時間の進み方を操作できてしまうのだ。


 さて、ではそんな状態で、銃弾落としをエルマとローザにやらせておきながらなぜ逃げたり動かなかったりしたかというと、ある準備のためだ。


「――よし、準備完了! 行くぞ!!」


 オレは杖をマイスターに向け、技を発動した。


「……何をしたんだ? 別に私はなんともないが……なんだと!?」


 マイスターは、顔に出るくらい驚愕した。

 なぜなら、銃弾がワープしなくなったからだ。


「なら、直接狙うまで……照準が付けにくい!? 銃弾も出てこない! 魔法も出ない……」


 なぜかマイスターが出来ていたはずの魔法や技術が、出来なくなっている。

 もちろん、原因はオレだ。


「さっき、オレお前の状態を過去に戻したんだ。色々なジョブ能力を得る前の状態までな」


 そう。オレはマイスターの身体を過去に戻したのだ。

 マイスターのジョブ能力の特性上、時間をかけて様々な人と交渉し、ジョブ能力を次々と得ていく。

 ということは、過去に戻して様々なジョブ能力を使えるようになる前まで戻せば、あの驚異的な、大量のジョブ能力を有する状態を無効化できると考えたのだ。


 ただ、時間の進行を操作する術と違い、過去や未来の状態に飛ばす術は負担が大きい。

 いくらインナーの効果で負担を軽減し、人一人だけの範囲に限定していたとはいえ、術の発動に時間がかかってしまった。


 まぁとにかく、これでマイスターはジョブ能力に詳しいだけの、ただの成年になった。


「今です! エルマさん、合わせて下さい!」


「いいよ、任せて!!」


 そしてローザが油を吹き出す植物を大量に配置し、エルマが金属製ブーメランを二つ投げた。

 金属製ブーメランは空中でぶつかり、盛大な火花が散る。それが植物の吹き出す霧状の油に引火し……耳をつんざくほどの轟音が響いた。


「ああああああぁあぁぁぁぁぁぁ!!」


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