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突き進め頂点へ! 日本競馬のゆめへ!  作者: シャルシャレード
1章 当歳〜2歳
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主戦騎手、初騎乗

ーー厩務員の1日は早い。



朝3時に起きて支度を始める。


朝は強い方だったが、まだ慣れていない。

さらに冬になると本当にきつい。

起きる時間が1時間ほど遅くなるとはいえ、寒さに押しつぶされそうになる。

ただ今は夏なのでその心配はない。


その後、4時くらいに厩舎に行き馬体の確認をする。

足元に不安があるとそれだけで引退に追い込まれてしまう馬がいるくらいなので特に足はチェックする。



中島の場合、ホワイトジェム以外にもう一頭担当しているのだが、レース中の転倒によりそちらの馬は北海道にて長期休養中のため、今は一頭に専念している。



次に馬房にある寝藁の乾燥や入れ替えをする。

フンなどの掃除も併せてする。


それが終わると次に調教がである。

まずは体を慣らすために軽く歩かせる。

その後の本格的な調教は騎手や調教助手に任せる。


調教中は馬体に異常が起きてないかを無いかをずっと観察する。

私が管理していた馬が不慮とはいえレース中の故障により長期休養を余儀なくされているので特に入念に行う。


調教とそのクールダウンが終わった後は、

今度は馬の手入れをする。まずは馬体をホースで洗う。

ホワイトジェムは綺麗好きなので特に入念にする。

次にブラッシングだ。ホワイトジェムは問題ないのだが、もう一頭の暴れ馬はどうにもまだ慣れない。

そして、最後に飼葉を与える。


お昼休憩を挟んだ後に馬体検査や飼葉やブラッシングなどをもう1度行う。


そして、翌日に響かぬように早めに寝る。

家も近いので帰ろうと思えば帰れるが大体は泊まり込みである。


朝は早く、責任もあるけどとても充実した生活です。



しかし、今日はホワイトジェムの主戦騎手となる予定の騎手が初めて乗るのだ。


幼なじみの高村清弘騎手だ。

保育園からの同級生のただのご近所さんだったが未だに縁がある。


幼なじみとはいえ、主戦騎手の初騎乗。

緊張する。


ホワイトジェムも何かを察したのかいつも以上に元気そうだった。

いつも以上に馬体検査や軽いウォーミングアップを入念に行った。



そして、高村騎手が来た。


『お疲れ様です。高村騎手。』

『中島さん、おはようございます。』


2人の間でぎこちない敬語を使った会話が続く。


『高村騎手、わざわざ、ありがとうございます。』

『いや、気にするなって。』

というのも、高村騎手は本来はこの厩舎にいる別の馬に騎乗予定であったのだがホワイトジェムに乗ることになった。


『期待の馬のデビュー間近の調教なんだ、そりゃ来るって。それに中島も元気無かったぽいしな。』

そして、高村は私の横のホワイトジェムを見て、

『早速乗るよ。ウォーミングアップは終わってる?』

『うん、ばっちり。』


早速、高村はメニューを消化していった。

単走馬なりで行ったがスピードはある、高村はそう感じた。

次に坂路追いを始めた。坂路追いとは文字通りの坂道を使った調教である。

1985年から導入され、坂道を登ることにより筋力アップが望める。

足元に負荷がかかるとはいえ、とても意義のある調教である。


そんな坂路追いを一本終えた後、やはり走らなくなってしまった。

押しても動かないので私の方へゆっくり歩ってきた。


疑問を持った顔であったため、これは何か言われるだろうなと覚悟したが、

『動きはいい、とても素質がある感じがする。』

思ったようなことは言われなかった。


ただ、それに続けて、

『さっきのこと?』

高村は一言言ってきた。

私は頷いた。


すると先ほどの疑問を持った顔が、少し晴れたように見えた。

『なるほど、どこに先生いる?』

先生とは調教師のことを指す。


『いるよ、多分事務所の方から見てると思う。』

よし、と一言言った後、

『わかった。ホワイトジェムのこと頼む。』



そういうと、調教師のいる方へ向かって行った。





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