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突き進め頂点へ! 日本競馬のゆめへ!  作者: シャルシャレード
1章 当歳〜2歳
6/37

中島さんの悩み

書くのとても楽しいです!

ーー時は流れ2062年6月。


コハクはホワイトジェムとして。

阪神1800mの10頭立て5番人気。

鞍上は高村清弘。

ついにデビューとなった。


牧場、馬主、騎手の期待を受け、待ちに待った

ゲートが開かれた。



ーーコハクは、デビューの2ヶ月ほど前、美浦の松崎厩舎に入厩した。


厩舎とは調教師が馬を預かり、管理する場所を指す。

調教師とは預かった馬を調教したり、レースに出るローテーションを考えたりしている。

そのほかにもセリで見かけた良い馬を知らせること。

これは人脈を広げる上でとても大切なことなのだ。



そして、大田は長年この厩舎を贔屓している。

馬主生活30年弱、本当に良い馬に巡り合えた。

大田は常々周りに口にしていた。

大田は、あれから暇を見つけては厩舎に顔を出していた。


750万円の安値で取引され、血統も決していいとは言えないこの馬にかなりの期待する大田を見て

最初は厩務員もかなり驚いていた。



担当の厩務員は、今年で6年目を中島真花。

若いがとても優秀な厩務員である。

ホワイトジェムで2頭目の担当馬である。


『大田さん、こんにちは。今日もわざわざありがとうございます。なにも無くてすいません。』

大田を見かけ、いつものように挨拶をする。


『いやいや、私が自分勝手にきてるだけだから気にしなくていいよ。』


大田は、ホワイトジェムの方に目をやった。

『ホワイトジェムの調子のほうはどうだい?』


中島は一瞬、返答が詰まったが、

『順調だと思いますよ。スピードもパワーもありますし。』

『そうか、そうか。デビューが本当に楽しみだ。』


入厩してからすでに1ヶ月、デビューも1ヶ月後に

迫っていたのだ。

たしかに、スピード、パワーは確かにあるけど…。

中島はホワイトジェムを測りかねていた。


『これからご飯あげるんですけど見ていかれますか?』

『いや、これからまだ仕事が残っているんでね。今日は大丈夫だよ。では、失礼するよ。』

『本日はありがとうございました。』



帰り際に、

『中島さんには、とても期待しているから。』

大田さんはこう言った。


言われて嬉しいはずのその言葉なのだが、中島は素直に受け取れなかった。




その夜、中島は布団の上で考えていた。

もちろん、ホワイトジェムに関してだ。


松崎厩舎は、スパルタ調教として知られていて、ホワイトジェムも例にも漏れずスパルタ調教を受けるはずだった。


しかし、ホワイトジェムは調教に着いて行けなかった。

正確に言えばこれ以上は走りたく無いとゴネてしまうのだ。

そのため、かなり軽い調教のみで終わってしまう。


ただ、走ること自体は嫌がってはいない。


一応、メニューをこなすのだが、ある程度走るとピタリと止まってしまうのだ。



おそらく闘争心が無いせいなのだ。

併せ馬などで闘争心をあげようとはして見た。

しかし、その効果はほとんどなく中島はただただ頭を悩ませるばかりであった。


多分、能力はあると思う。

でも、その馬の力を引き出せないのは自分のせいだと責めてしまっている。



『私、厩務員向いてないのかなぁ…。』

その言葉を発した後、中島は眠りについた。


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