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突き進め頂点へ! 日本競馬のゆめへ!  作者: シャルシャレード
1章 当歳〜2歳
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産まれた仔馬

書きたかったのでいろいろと妄想が捗ります。

ーーベストスマッシュの仔が無事産まれた。

その声が聞こえ、2人が安堵の表情を浮かべた。

『牡馬だ、牡馬だ。しかも、芦毛だ。』



3月21日、春を迎えたとは言えまだまだこの時期は冷え込む、父の清は体が冷えないように必死に産まれた仔馬をタオルで拭った。子供は立ち上がることができ、母子ともに健康。

母馬が仔馬を愛情を持って舐めるところは何度見ても泣きそうになってしまう。



『父さん、また泣きそうじゃん。』

息子に言われて、ハッと気を戻し、急いで目に溜まった涙を拭う。

『うるさいぞ雄太。お父さんはドライアイだから涙が出てるんだ。』

息子に言われるとついつい意地を張ってしまうものだ。


男の名前は高村清。パワーファームの牧場長であり、かつては騎手をしていた。


今生まれた仔馬の母ベストスマッシュは現役時代は未勝利戦に勝つもそのまま鳴かず飛ばず。血統的にも非常に地味である。

父のシークダーサーも現役時代はわずかに一勝。

近親にも活躍なし。

しかし、シンボリルドルフ、トウカイテイオーが直系で繋がる非常に貴重な血統を持っていた。

そして母の方には35年前、日本が最後に世界を夢見た芦毛のサイレントホープの全妹の血が繋がっていた。



正直ロマンだけの血統と言っても過言ではないほどであり、普通の牧場であればこの馬の評価は限りなくゼロであろう。

しかし、ベストスマッシュの仔が生まれたこの生産牧場は家族経営をしていて、繁殖牝馬がわずか9頭しかいないのである。


そんな牧場なので仔馬が無事産まれただけでもとても嬉しいことなのだ。ここでは、馬も家族なのだ。


『今日生まれたのは2頭だから後1頭だな。』

今年受胎したのは6頭そのうち5頭が今日までに無事に出産をしている。

出産は命がけで母子ともに命を落とすこともある。

なので出産の間は生産者にとって1番大切な時間なのだ。



『この馬は丈夫そうだな。父も母も丈夫だっだし。』

緊張が解けたのか大きく息を吐いた後に清が独特の訛りでそう言った。



『そうだね、ベストスマッシュは子供のことちゃんとお世話するし、成長するの楽しみだね。』

息子の雄太も楽しそうにそう答えた。


この馬はどんな成長をするのだろうか。

どんな活躍をしてくれるのだろうか。



満点の星空の下、

清と雄太はこの馬の将来に想いを馳せた。



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