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7:私、クエスト受けました!

 ヴェルさんと別れて一人建物に入ると、直ぐにピコンという音が聞こえた。

 そして視界には【クエスト:アルケミスト協会を探せを完了しました】という文字が浮かぶ。

 更に【クエスト:協会員に会おう】という文字が。

 続くってことなのね。


 えぇっと、協会員の人ぉ……ってことはNPCさんだよね。

 見えるのは数人の人。

 みんなまったく動かず、じぃっとしてるだけ。


 もしかして、全員NPCさんだったりする?

 じゃあ、私が一番乗りのアルケミストってことかな。

 ふふぅ〜、やったぁ〜♪


「あ、あのぉ、協会員さん」


 話しかけるとそれまでまったく動かなかったNPCさんが瞬きをし、まるで命が吹き込まれたように動き出す。

 声を掛けたのはカウンター台に座る眼鏡を掛けた女の人。


「はい、いらっしゃいませ。ここはアルケミスト協会でございます。ご用件はなんでしょう?」


 ピコンと音がして【クエスト:協会員に会おうを完了しました】と出たかと思ったら、直ぐに次のクエスト指示が浮かんだ。

 次のクエストは、協会でアルケミスト用のクエストを受けろってもの。

 うぅん、クエストでクエストを受けろって……。


「あのぉ、アルケミスト用のクエストを受けたいんですけど……ありますか?」

「ございます。あなたはアルケミストですね?」

「はい。アルケミストです」


 NPCさんがじぃっと私を見た後、瞬きをして「確認できました」と言う。

 何を確認したんだろう?


「あなたは当アルケミスト協会に最初にお越しになった方です。ありがとうございます。お礼として『錬金術師セット』を贈呈いたします」

「あ、やっぱり私が一番乗りだったんですね。えへへ、ラッキィ」


 プレゼント包装された箱を受け取り、リボンから包装紙まで丁寧にほどいていくと――。

 何も入ってなかった……。


「箱はただの演出でございます。錬成陣用紙三十枚をアイテムボックスにお送りしましたので」


 とNPCさんに言われた。

 そ、そうだったんだ。うん、でも嬉しい。


「それではクエストの説明をいたします」


 協会員のNPCさんの紹介で、アイテム集めのクエストを受けることになった。

 そのアイテムはなんと――。


「草、ですか?」

「はい、草でございます」


【クエスト:草を十枚集めろ】


 草……そんなものをいったいどうするんだろう。

 草ならなんでもいいって事なので、さっそく外に出て探すのです!

 

 が……。

 無い……どこにも草は生えてない!

 協会の建物の周辺はもちろん、あちこち歩きまわっても全然見つからない。

 木はあるんだけど、葉っぱまでは手が届かないしぃ。

 私の住んでる町だって雑草ならいくらでも生えてるのになぁ。

 はうぅ、町の外に行かなきゃダメなのかなぁ。


 仕方なく町の外を目指して歩きだしたけど……。


「出口どこぉ〜!?」






「た、ただいまです……」

「……随分と掛かりましたね。町の外に出ればいくらでも生えていると思うのですが、何故二時間近くも?」

「そ、それは……」


 町を出るのに三十分以上掛かったとは思うんです。

 外に出たら当たり前のように草ぼうぼうで、嬉しくてついむしり過ぎちゃった……その頃には町から結構離れすぎてて戻るのに十分ぐらい。町に到着して協会(ここ)まで来るのに迷って……。


「で、遅くなったのですか?」

「はい……」

「マップを開いて目的地をタップしますと、ナビ機能がON状態になって可視化された矢印で案内してくれますよ?」

「ほえぇっ、本当ですか!?」


 協会員さんが頷き、試しにマップを開いて雑貨屋をタップしてみてくださいって。

 やってみると、ピコンという音が聞こえてUターンのマークが視界に現れた。

 回れ右すると、建物の外に向かって矢印が続いている。


「解除する際はマップをもう一度開き、右下にある『解除』というボタンをタップして頂ければナビ機能がOFFになりますので」

「ほえぇ〜、すっごい便利ぃ」


 ありがとうございます、開発会社さん!

 私みたいな方向音痴には、とっても有難いですぅ。


「それで、この草ってどうするんですか?」


 アイテムボックスから取り出した草をカウンターに並べていくと、十枚になったところでクエスト完了の文字が浮かんだ。

 でも草はまだまだあるよぉ〜。

 

 そして次のクエストでは、この草を使って錬成しろっていうもの。

 ロビーでもやったクエストなのに、またやるのかぁ。


「じゃあレッツれんせ――」

「お待ちください」

「ほえ?」


 錬成陣用紙を取り出しいざってところで、NPCさんに呼び止められちゃった。


「ただ錬成するのではありません。この中から薬草に分類される草をまず探して頂かなければなりません」

「え……薬草、ですか?」

「はい。『鑑定』はお持ちですか?」

「も、もちろん!」


 なるほど。『鑑定』のアビリティで調べれば分かるんだね。

 ではさっそくっ。


 一枚目――。


【その辺の雑草】物量1


 二枚目――。

【その辺の雑草】物量1


 三枚目、四枚目、五枚目……十枚目!


「ほえぇっ、全部雑草ですぅ〜」

「では追加でもう十枚、お持ちください」

「はいっ! 続けて十枚行きますっ」


 だってたっくさんむしってきたんだもん。

 じゃんじゃんいっちゃうよぉ〜♪


 ・

 ・

 ・


「け、結局百二十枚鑑定して、薬草はたったの八枚……」

「『採取』のアビリティがありましたら、薬草を選別して摘み取る事ができるようになります」


 採取かぁ、取ってないなぁ。


「では薬草一枚とこの空のポーション瓶、そして水を錬成して『ポーション』を作成してください。これがクエストです」

「ポーション!!」


 お店屋さんの第一歩!!

日間総合24位、ジャンル別1位にランクイン!

ありがとうございます。


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