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43/50

43:私、お殿様?

「はぁ、はぁ。な、なんとかギリギリ間に合ったねぇ」

〔あぎゃぁ〜〕

〔もっるるぅ〕

「ラプトルさん、お疲れさま」


 頭を撫でてあげると嬉しそうに喉を鳴らすラプトルさん。

 なんだか猫みたい♪


 そのラプトルさんの横で、ござるさんは顔を真っ青にさせて立ってるけど……大丈夫かな?


「大丈夫?」

「――かい」

「え?」

「高い……」


 橋を渡り切ってすぐの場所。振り返れば当然島の外、空が見える。

 

「空の上に浮かんでる島だから、高いのも仕方ないよ。でもここまで来ればもう落ちる事もないし、大丈夫だよ」

〔あぎゃ〜?〕

〔もぉ〕

「え?」


 私の言葉に何か言いたそうなラプトルさんとモルさん。

 こういう時、言葉が分かるといいんだけどなぁ。

 とりあえずこの子をもう少し空から離してあげなきゃダメっぽいね。


 腕を引っ張って歩き出すと、橋の上とは違って今度は一緒についてきてくれる。

 で、島の縁から五十メートルぐらい離れた所で――。


「拙者、服部 楓(はっとり かえで)と申す者でござる。命を救って頂き、感謝しても感謝しきれないでござるっ」


 と、突然土下座をしはじめるござるさん――服部さん。

 さっきまで顔を真っ青にしていたとは思えないほど、動きが機敏で顔色も凄く普通になってる。

 絶対落ちないって所まで来て安心したのかなぁ。


 って――。


「ほ、ほえぇぇぇっ!? い、命の恩人って、大げさだよぉ」

「そんな事はないでござる。アナウンスでは橋の上に残ったままだと、町に強制転送されると言っていたでござる」

「あ、ちゃんと聞こえてたんだ」


 こくこくと頷く服部さん。

 町に強制移動されるのは戦闘不能になった時だから、きっと橋が落下して死ぬのでござると、ここで顔色がまた青くなってぷるぷると震えだす。

 よっぽど高い所が怖いんだね。


 でも……橋を渡ってる最中に突然足場が無くなって落ちたら、確かに怖いかも。


「であるからして、貴殿は拙者の命の恩人でござる!」

「いや、でもぉ……あ、ほ、ほら。セーブ。あの町でセーブしておかないと、ここで戦闘不能になってもファネスの町に戻されちゃうもんね」

「え!? そ、そうなのでござるかっ」


 あ、この子、知らないんだ。

 えへへ。いつも人から教えて貰ってばかりだったから、ちょっと嬉しい。


「そうなんだよ。橋を渡っただけじゃダメなんだって。セーブさえ出来ていれば、町にある転送装置で簡単に移動も出来るし、便利なんだよ」


 便利なんだと思う。

 また実行したことないし、そもそもセーブもまだな私だけど……。

 きっと便利なはず!


「なるほどぉ。それは良い事を聞いたでござる。いや実は拙者、レベルはまだ15でござって」


 そういう服部さん。服は洋風なんだけど、真っすぐ伸びた黒髪は後ろで一本に束ね、瞳と同じ赤い紐で結んだ、ちょっと古風なイメージが漂う女の子。

 年齢は私と同じぐらいじゃないかなぁ。身長も…………き、きっと同じ!


「ん? 命の恩人殿はその……思ったより小柄でござるな。拙者より少し背が低いかも?」

「がぁーんっ! うそっ、小さい? 私の方が? お、同じじゃないかなぁ?」

「拙者。151センチでござる」


 ……2センチ負けてる……。


「か、変わらないよぉ〜。えへへ」

「ふむ。そうでござったか」

「そうだよぉ〜。えへへぇ〜。さぁ、町に行こう〜♪」


 服部さんの背中を押してさささっと移動を開始。

 私だって150センチ欲しいっ。

 うぅ、高校生になったら伸びるもん。きっと伸びるんだもん。


 そんな事を考えながら歩いていると、本当にあっという間に町へと到着した。


「ファネスよりこじんまりした町だねぇ」

「そうでござるなぁ。マップを見ても、必要最小限の施設しかないようでござる」

「ふぅ〜ん。私も見てみようっと」


 マップを開く動作をしている間に、【ファーネの町へのセーブが完了しました】というメッセージが視界に浮かんだ。

 ここはファーネって言うのね。


 開いたタウンマップは以前の時とちょっと画面が違うような?

 以前は無かった、左端にメニューみたいなのが出てる。

 メニューには【全施設】【武具屋】【雑貨屋】……と、各種施設を簡単に探せるようにボタンが。

 そのボタンを触ると、タウンマップのどこかが光って、そこにあるってのがすぐ分かる。

 こ、これは!?


「迷子防止ボタン! 嬉しいぃ」

「探しやすくなったとは思うでござるが、迷子防止のためでは無いと思うでござるが……貴殿、方向音痴でござるか?」

「ほえっ。……あっ、アルケミスト協会が無いぃ。他の鍛冶や裁縫なんかの生産組合はあるのにぃ」

「仕方ないでござるよ。錬成は道具さえあればどこでも出来ると聞くでござる。対して製造は、工房という専用の作業場が無いと出来ないでござるからな」


 ほえぇっっ!?

 は、服部さん物知りぃ。

 他にも、製造に必要な道具なんかも、錬成で使う道具とは比べ物にならないほど種類が多く、それを売る施設と工房が必要。しかも鍛冶や裁縫、他にもいろんな種類の製造があるので、それぞれに必要と。


「製造で作った物は、拙者たち戦闘系職にとっても必要不可欠な物。いつでもどの町でも購入できるほうが有難いでござるからな」


 だから生産職に関係する施設は、どの町にでもあるのでござろう――と服部さんは話す。

 ほえぇぇぇ…………えぇっと…………お、お客さんが嬉しいからどこの町にも生産施設はある――でいいのかな?


 だ、だったらアルケミストだって〜。

 ポーション作って売るのも、錬成陣用紙がいるし、空の瓶だって要るんだからぁ。

 ぶぅ。


「さて、無事にセーブも出来たでござるな」

「う、うん。これでいつ死んでも大丈夫!」

「い、いや、出来れば死にたくはないでござるが」

「あは。そうだね」


 私だって無駄に死んじゃったりするつもりはないけど。

 で、でも万が一って事もあるからね。

 さぁて、私はファネスに戻らなきゃ。

 このエリアでのレベル上げは、今の私には無理過ぎるし。


 だって、町に到着する間に見たモンスターって、レベルが20だったんだもん!

 ただ、橋から真っすぐ伸びた道近くに寄ってくることはなくって、安全に歩けたんだよね。

 そこはすっごく助かりました!


「では改めて」

「うん?」

「拙者、姓は服部、名は楓と申す忍びの端くれ。この命救って貰った恩を返すため、おぬしにお仕えしとうござる!」


 ???

 え?

 は、服部さんって、本物の忍者なの!? 

 お仕えって、どういう事?

 ま、まさか、ラプトルさんたちみたいに……ホムンクルスになるってことなのぉーっ!?


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