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34/50

34:私たち、ピンチです!

 被害者はゼロ。

 狙われたのはヴェルさん、ワンワン王くん、ラプトルさん、最後にもう一度ワンワン王くん。

 そしてここで凄い事実が分かっちゃった!


「ワンワン王くん、番人の位置が匂いで分かるの!?」

〔わふ〕

「すっごぉ〜い!」


 狼タイプを意識して錬成したからかな?

 砂煙の中でワンワン王くんは、鼻をひくひくさせながらひらりひらりと躱してた。


〔あぎゃ〕

「え? ラプトルさんも!?」

「ホムにそんな能力まであるとは……確かにヴェロキラプトルの嗅覚が優れているからね」


 ヴェルさんも大絶賛です。


 番人の猪突猛進が終わると、じょじょに周囲の土煙が収まり視界もハッキリしてきた。

 その途端、番人の攻撃が始まる。

 さっきまでの攻撃パターンとは全然違う!


 さっきまではとにかく顔を振り回して牙で突き上げようとしたり、前足でモグラ叩きのように踏みつけようとする攻撃だけだったのに。

 今はその踏みつけ攻撃に、何故か地面がボコボコと一直線に盛り上がる効果が追加されてる。

 そのぼこぼこに触れると当然ダメージを受ける訳で。

 更に真っ赤に染まった番人は、その体を震わせて――えぇっ、尖った毛を針のように飛ばしてくるのぉ!


「ミントちゃん、落ち着いて! 軌道をよく見て躱すんだっ」

「は、はいっ」


 高ぁ〜く飛び出した毛針は、弧を描きながら意外とゆっくり落下してくる。

 軌道……軌道……あ、体操でもこれと似たような事ある!


 リボンやクラブを投げて、ちゃんと軌道を見て落下地点に駆けて行ってキャッチ!

 まぁあれは自分が狙った場所に投げるっていうのもあるんだけど。

 でも慣れるまではしっかり見て、どこに落ちてくるか考えないと頭の上に――なんてこともあるからね。

 軌道を読むのはいつもやってた事じゃない。


 ほら、来た!


 たっと駆け出した私は、毛針の落下する位置で待ち構えま――あっ!


 キャッチしようと差し出した手の平に毛針が刺さった。


「痛いぃ〜っ」

「何やってんだミントちゃん!? 受け止めちゃダメっ」

「すみませんすみませんすみません。新体操の事考えてたら、思わず――」

「いや、そりゃあ新体操じゃキャッチしなきゃならないんだろうけどさ。っぷ。ほんと、面白い子だねぇ〜」


 うぐぅ。かっこ悪過ぎるよ私ってばぁ。

 でも、キャッチしちゃダメだってちゃんと意識すれば、軌道を読み、当たらない位置なら動かない。当たりそうなら逃げる。

 次からはちゃんと出来るようになった。 

 でも一度に十本ぐらい飛んでくるから、それを避けるのも大変。

 一本当たるとダメージは150。

 突進にぶつかるよりも痛くないけど、無視できるようなダメージじゃないんだよね。

 ポーションを飲みつつ応援を続け、35%目前で猪突猛進に備えなきゃ。


 そして始まる地団駄。

 砂が舞い、視界を遮ります。


〔あっぎゃ〕

「ラプトルさんのところ!? 大丈夫?」

〔くぅぁかぁっかぁっかぁ〕

「ヴェルさん!?」

「オケ。――躱せた」


 どどどどどっと地面を揺るがす番人の突進はあと二回。

 再び地鳴りが鳴り響き、ワンワン王くんの短い遠吠えが聞こえた。

 ちゃんと避けれたみたい。

 あと一回――。


 どどどどどっという地鳴りが聞こえた瞬間、ラプトルさんとワンワン王くんが叫ぶ。


「ほえぇぇぇっ!?」


 見えないっ。

 どこから来るの?

 そう思った瞬間、真後ろから激しく突き飛ばされるような衝撃が――。

 ほえっ……体が浮いてる?

 と思ったら地面に叩きつけられて、もの凄く痛い!


 ダ、ダメージ650!?

 ひ、瀕死だよっ。


「ミントちゃん!? っく。攻撃力が上がってるの――かはっ」

「ヴェ、ヴェルさん!?」


 ポーションを取り出そうとアイテムボックスを開いていると、目の前でヴェルさんが宙を舞った。

 ずさぁーっと砂埃を上げて地面を転がるヴェルさん。

 でもすぐに起き上がって態勢を整え、ポーションを手にしてる。

 凄い。


 ヴェルさんを攻撃した後、番人はラプトルさんの方に。


「ラプトルさん!?」

〔ブボオオォォォォッ〕

〔くぁーっっかっかっか〕


 ラプトルさんをその牙で突き上げようと首をもたげる番人。

 ダダダっと走ってその番人の顔によじ登るラプトルさん。

 鋭い後ろ脚の爪で顔面を引っかかれた番人は、なんとかラプトルさんを振り下ろそうと首を振ってもがきます。


 頑張ってラプトルさん!

 でも……でも怪我しないでっ。


 そんな私の祈りは通じなかったのか――番人の下顎から生えた大きな牙が、ラプトルさんの下腹部に突き刺さってしまった……。

 

「い、いやぁあぁぁっ、ラプトルさん!」

〔ぁぎゃっ〕

〔うおおぉぉぉぉぉんっ〕


 駆け出したワンワン王くんに反応してか、番人は串刺しにしたラプトルさんを放り投げてしまった。

 私は慌ててラプトルさんに駆け寄る。


「『鑑定っ』――やだ、HP250しか残ってない!? エンブリオに――」

〔あがっ〕


 ラプトルさんは立ち上がって尚も番人に挑もうとする。

 ダメ。血が出てるじゃない。

 ダメだよ!


「もうすぐ30%!」


 ヴェルさんの声が聞こえた。

 ラプトルさんを早くエンブリオにっ。

 なのにラプトルさんはエンブリオに戻ることを拒否して、『シィール』を受け入れてくれない。

 どうしよう。

 突進がはじまったら、私がラプトルさんを抱っこして逃げる?

 うぅん、無理。

 自分一人の時でもやっと躱せるぐらいだもん。

 抱っこなんてしてたら躱せるものも躱せなくなるし、寧ろラプトルさんが危ない。


 さっきみたいに番人が動けなくなれば。

 でも今はリボンが無いし……。


 ううん。

 無いなら錬成すればいいじゃない。

 そうだよ!

 だって私、錬金術師なんだもんっ。

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