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33/50

33:私、やりました!

 85%、80%と番人の突進を見事攻略できたのですが、75%ではモルさんが、70%で私が被害にあって重傷。

 私はまだしも、モルさんは戦闘中に回復が出来ないのでエンブリオに戻って貰いました。

 代わりに出て貰ったのはワンワン王くん。


「ワンワン王くん。番人のHPが5%減る度に、突進攻撃してくるからねっ」


 その攻撃は直線的で、走り出した後に真横に逃げれば大丈夫――とワンワン王くんに伝える。

 わぉっと短く返事をしたワンワン王くんは、ラプトルさんとヴェルさん、一人と二匹で番人を囲むような位置で戦闘を開始。

 私はポーションを飲みながら、少しの時間でも踊って応援します。


 65%……60%……。

 幸運な事に一度も狙われずにすみました。

 ラプトルさんとワンワン王くんもスピード系なので、回避は余裕みたい。それにヴェルさんも。

 そして55%が近づく。

 前回前々回と攻撃されなかったのでHPは満タン。

 応援ダンスを踊りながらリボンでビシバシ攻撃しますっ。

 えぇい!


 くるくるっと番人の足に巻き付いたリボンは猛毒性。

 リボンの棒をしっかり握ったまま、くるくると踊ることだって出来る。

 うん。ダンスをコンパクトにすれば、リボンを巻き付けたままでも応援できちゃうみたい。

 よぉし、このままぐるぐる巻きにするぞぉ〜っ。


 そう思った矢先。

 番人が地面をガシガシ蹴り始めて、目がピッカーン。


 ……リボンが右前足をぐるぐる巻きにしてるんだけど、どうしよう?


 そしてそのまま猪突猛進する番人!

 しかもこっちに来るぅーっ。


「ほええぇぇぇっ」


 リボンを巻き付けたまま走ってくるっ。

 ど、ど、どうしようっ。


〔あぎゃっ〕


 その時です。

 ラプトルさんが全速力で番人の後ろ脚に体当たり。

 そのせいか、番人の軌道がずれて私は命拾いをした。


「ほえぇっ。ラプトルさぁん。ありがとう、ありがとう!」

〔あぎゃぁ〕


 ぎゅ〜っと抱き着くと、ラプトルさんは困ったように手足をじたばたさせる。


〔わふぅ〕


 ワンワン王くんが次の攻撃に備えるよう、短く注意を促してくれる。

 そうだね。まだまだ気を緩めちゃダメだよね。


 くるりと振り返り番人の次なるターゲットが誰なのか観察し……あれ?

 右前足をとらえていたリボンが、何故か前両足に絡まってる?

 そして私の手にあったリボンの棒はいったいどこに?


「ミントちゃん、無意識とはいえ、番人の足を封じちゃってるよ」

「ほえぇっ? ど、どうしてあんな事に?」

「ラプトルさんが番人を突き飛ばしたとき、君は手に持っていたリボンを放り投げたんだよ。投げた事も無意識?」


 ほ、ほぇぇ。私、投げちゃったんだ。

 その投げたリボン……というか棒なんだけど、突進してきた番人の前に落下していったリボンは、そのまま左前脚に絡まってしまった、と。

 元々右前足に先端が巻き付いていたから、これで番人が動けなくなってしまったみたい。


 まるで奇跡のような光景です。

 両方の前足にリボンが絡まった番人は、急停止したままプルプル震えて動こうとしない。

 でも、すごく鼻息が荒いよぉ。ちょっと怖い。


「今のうちに畳みかけるよっ」

〔あぎゃ〕

〔おぉーん〕

「は、はい!」

「ミントちゃん、舞踏っ」


 あ、はい。

 そうですよね。

 だって私の武器は今、番人の足に絡まってるんだもん。

 今私が出来る事。

 それはみんなを応援すること!


 一人と二匹が番人に攻撃する姿を見ながら、私は一生懸命踊った。

 頑張って。

 私の分まで頑張って!


 番人のHPが50%まで減り、猪突猛進に備える――けれど、まだ足にリボンが絡まったままで動かない。

 ヴェルさんが歓声を上げて攻撃を再開すると、ラプトルさんとワンワン王君もそれに続きます。

 私も応援を再開。


 けれど……番人の様子が……。

 ぷるぷる震えていたその体が、なんとなく紫から赤に変色している気がするよぉ。


 45%……番人はまだ動けないけど、ビリッという不吉な音が聞こえ始めた。

 そして40%を目前に奇跡は終了。

 ビリビリっというまさに布を切り裂く音とともに、番人の前足は解放されてしまったのです。

 同時にそれは、私が錬成したリボンがずたずたに引き裂かれたという証。

 つまり、武器ではなく、ただの棒と布切れに。


「ほえぇぇぇ。私のリボンがぁ」

「あっちゃあ。耐久度がゼロになったか」

「た、耐久度?」

〔おぉぉんっ〕

「え? 40%!?」


 ワンワン王くんの一声で緊張が走った。

 自由の身となった番人が……さっきよりも地面をガシガシと蹴ってる!?

 絶対怒ってる。すっごく怒ってるっ。

 みんな番人から離れて突進を躱す準備に入っていますが、なかなか走ろうとしません。

 それどころかずっと地面を蹴って、遂には土煙がもうもうと立つ始末。


「ヴェルさん、この攻撃は?」

「いや、ソロで二度挑んでるけど、50%削るところまで行った事がないんだ。猪突猛進も毎回自分に来るからね」

「そ、そうだったんですか」


 二往復来る猪突猛進を、一人で挑めば四回全て躱さなきゃいけないんだよね。

 たしかに厳しいかも。


 砂埃が辺りを包み、視界も利かなくなってしまった。

 そんな中、番人の足音だけがどこからともなく聞こえてくる。

 ドドドドドっという、突進してくる足音が――。


 どこから来るの?

 誰に向かってるの?


「ひゃっ」

「ヴェルさん!?」

「大丈夫。ギリで躱せたっ。気を付けて、直前まで見えないからねっ」


 ちょ、直前まで見えないって……どうやって避ければいいの?

お読み頂きありがとうございます。

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