23:私、ホムさんを増やしました!
予定より早くメンテが終わってて、慌ててログインしたんだけど――。
「ほえぇぇっ」
「……うわぁっ!? ど、どうかしましたか?」
目の前にホムンクルス担当の協会員さんが居ました。
ビ、ビックリしたぁ。
あ、そうか。
メンテ前にエンブリオを買おうと、協会員さんの所に走ってたんだった。
そして「エンブリオくださいな〜」って行くと、協会員のお兄さん……カッチカチに固まっちゃってるんだもん。
ヴェルさんに聞こうと思って振り向いたら、ヴェルさん居ないしぃ。私も動けないしぃ。
はい。メンテ時間になってサーバーっていうのが停止したんですね。
「ということでエンブリオ四個、くださいな〜」
「はい。四個ですね」
ふふふぅ〜。エンブリオ四個ゲットです。
さぁて、錬成錬成。
まずは狼さんを錬成しちゃおう。
アイテムボックスから『草原ウルフの毛皮』と『草原ウルフの牙』を取り出します。
角も欲しいからラプトルさんとお揃いの『一角キャンサーの角』。『草原ザウルスの爪』も付けちゃおう。
物量35にするために――
角は一本でいいから一個っと。爪はじゃあ二個で。牙は多めのほうがいいよね。なら十本! 残りを毛皮にして――
「レッツ『錬成!』」
錬成陣がピカっと光――あ、毛皮ってどんな色になるんだろう。
銀色だとカッコよさそう。
あ、でも銀狼って、ありがちすぎ――。
「ほえぇぇぇぇっ! エ、エンブリオがぐにゃんぐにゃんになっちゃったぁ」
「あはははは。錬成中に迷ったんじゃないかい?」
協会員のお兄さんに笑われてしまった。
うぐぅ、迷いました。狼さんの毛皮の色で迷いました。
しっかりイメージを固めてからじゃないと失敗しゃうなぁ。
銀色が当たり前すぎるなら……逆に真っ黒にするのはどう?
それで目はすっごい綺麗な青にして――強そうだけど、優しそうでもある、そんな感じ。
よし!
今度こそ大丈夫っ。
新しい錬成陣用紙に材料を乗せ、再チャレンジ!
「もう一回、レッツ『錬成♪』」
錬成陣の白光はやがて黒くなり、四足歩行の動物を形どった。
うん♪ 大成功!
「うわぁ〜ん、もっふもふだよぉ」
ぎゅ〜っと抱きしめた狼さんは、微動だにしない。
あれ?
ま、まさか錬成、失敗したの?
と思ったら、尻尾がぶんぶんしてる!
「か、可愛いよぉ〜」
そう言うと、更に尻尾がぶんぶんぶんぶん。
寡黙なホムさんなんだね。
真っ黒で威厳たっぷりに胸を張る寡黙な狼さん。
「じゃあ名前は、ワンワン王くんね!」
〔わぉぉ〕
きゃ〜、返事してくれたぁっ。
よぉし、次もガッツリ錬成しますよぉ〜。
黒い羽根があるから、鳥さんタイプのホムさんに。
黒っていえばやっぱり烏さんだよね♪
こっちは物量25サイズでいいや。
うぅん、でも使えそうなのが羽根しかない……。
あ、烏さんって光ってる物が好きだっておばあちゃんが言ってたけど……『キラキラした石』も使おう。
角じゃなくって、この石をオデコに嵌めてぇ。
あ、この石からビームが出るとか!?
うんうん。魔法攻撃タイプってのもいいよね。
あと翼でばっさばっさして風を起こしたりとか。
「よぉし、レッツ『錬成』」
ふふふぅ〜。さっき失敗したばかりですからね。同じ過ちは繰り返しません!
光はこちらも黒くなり、そして翼を広げた烏さんへと変身します。
〔かぁーっ〕
「うふふぅ〜。真っ黒じゃなくって青光りする感じにしてみたんだけど、すっごく綺麗。オデコの黄色い石はトパーズっぽいねぇ」
〔かかぁー〕
翼を広げくるりと回って見せる烏さん。
なんだか女の子みたい。
「よし、じゃあ烏の英語クロウから取って、あとは女の子っぽくクミさん」
〔かぁ〜〕
よかったぁ、喜んで貰えて。
「じゃあさっそく――」
薬草集め、行くぞぉ〜。
せっかくだし羊さんの羊毛、欲しいです。
ってことで、また浮島の絶壁に向かったのですが……。
「ひ、羊さん……強すぎる……」
〔かぁぁ〕
寡黙なワンワン王くんも、ちょっと辛そうです。
羊さんを見つけていざ戦闘! となったら、強いのなんのって。
危うく死にかけた。
全員が。
うぅん。羊さんのレベルは7だし、私は10だから楽勝かなって思ったんだけどなぁ。
レベル……あぁ!?
「そ、そうだった。ワンワン王くんもクミさんも、まだレベル1だったんだぁ。ごめんなさぁい」
〔かぁ〕
〔わぉ〕
来た道を引き返して、レベルの低いモンスターで経験値稼がないとね。
戻りつつ、兎さんやイモイモムーさんを探していると――。
「わぁっ。あれ! あれスライムだよね!?」
〔かぁ、かかぁぁ〕
「だよねぇ〜。うぅんでもおかしいなぁ。スライムなんて、見たっけ?」
絶壁方向に向かう途中にスライムなんていなかったような?
「ここ、さっきの道じゃない……かも?」
〔わふ〕
ワンワン王くんが短く応え、そして頷いているのを見るとやっぱりそうみたい。
ほえぇぇぇっ。
道間違えちゃったぁぁ。
「ま、いっか♪」
スライムさんのレベルは2。
ホムさんは実際のレベルより強いって言ってたし、いっけるっかなぁ〜。
「よぉし、行っくよ〜」
〔かぁ〕
気合を入れてリボンを構えたら――。
〔おぉぉぉぉぉん〕
ワンワン王くんはスライムさんに噛みつき、そのまま首をぶんぶん振り回してぽいってしちゃった。
ぽいされちゃったスライムさんは……七色に光って消えてしまいました。
「うわぁお……」




