20:私、節約方法を見つけました!
レベル上げに励む最中、それは突然やってきた。
≪こんばんは。『フロート コンティネント オンライン』運営チームです≫
運営チーム?
空のほうから聞こえる、穏やかな口調の男の人の声。
≪ゲーム内において重大な不具合が発生いたしましたので、二十二時五十五分より緊急メンテを行わせていただきます≫
重大な不具合……もしかして?
「ヴェルさぁ〜んっ」
「んむ。生首現象もこれで終わってしまうのか」
何故か残念そうなヴェルさん。
≪同時に一部グラフィックの改善も行わせて頂きます。詳細は公式サイトをご覧ください≫
≪それに伴いまして、現在『フロート コンティネント オンライン』をお楽しみの皆様には大変申し訳ありませんが、速やかにログアウトをお願いいたします≫
ほえぇっ。ログアウトしなきゃいけないのかぁ。
あ、でもお母さんとの約束の十一時もそろそろだし、ちょうどいいかな。
≪なお、メンテナンス終了時刻は、明日午前九時を予定しております≫
「おっそ!? 寝る気だな、運営!」
「ほえ? 運営会社の人って、夜も寝ないでお仕事してるんですか?」
「まぁ交代勤務だけどね。ゲーム内で何かあったら困るから、二十四時間体制……のハズなんだが」
≪メンテ開始までに安全な場所でのログアウトをお願いいたします≫
安全……
辺りを見渡すと、蟹さん、巻貝。他にもキノコのお化けや烏さんのようなモンスター、大きな蟻、大きなトカゲ……。
そんなモンスターさんたちがじぃっとこっちを見つめている。ように見える。
「安全じゃないですヴェルさん!」
「そうかなぁ。まぁアイテム整理もしなきゃならないし、戻ろうか」
というと、突然ヴェルさんの姿が消えた。
え……えぇ!?
もしかしてログアウトしちゃった?
ピコンっと音が鳴ってヴェルさんがチャットを送ってくる。
【ヴェル:ありゃ? もしかして帰還方法しらないとか?】
「帰還方法? あ、チャットチャット……」
えぇっと、システムメニューを開いてぇ〜。
【ヴェル:システムメニュー開いて『スキル』の項目出すと『帰還』ってのがあるから、それ押してごらん】
チャ――とは開かず、言われた通り『スキル』画面を出す。
あ、『錬成』のずっと下の方に『帰還』ってのがある。
えぇっと、最寄りの町に帰還する、冒険者共通スキル。CT1800秒。
ほえぇぇ、こんなスキルがあったんだぁ。
知らなかった。
じゃあ、えいっ。
あっという間にファネスの町に到着。
ここはどこだろう?
「おぉい、ミントちゃん」
「あ、ヴェルさん」
ヴェルさんに合流して、アルケミスト協会に戻って来た。
あ、数人のアルケミストさんがいる。
うあぁうわぁ、私だけじゃなかったんだぁ。
感動。
「メンテまであと十分だから、さくっとやっちゃおう。まず手持ちのアイテムを言うから、欲しいのがあったら言ってね。まぁラプトルさんが戦ってたし、ミントちゃんも持ってると思うけど」
「あ。はいっ」
アイテムは『硬い甲羅』『美味しそうなハサミ』『一角キャンサーの角』『巻貝』『貝柱』『食べられそうにないキノコ』『神経毒キノコ』『黒い羽根』『キラキラした石』『草原ザウルスの皮』『草原ザウルスの尻尾』『草原ザウルスの爪』。
草原ザウルス?
え、恐竜さんなんて見なかったけどいつの間に?
「あとさっきとは別の狩場で拾った『草原ウルフの毛皮』と『草原ウルフの牙』ってのがあるけど、ホムの錬成に使えそうかな」
「お、狼さん!?」
狼さんかぁ。いいなぁ。
「じゃあ――」
欲しい素材をヴェルさんに伝え、残ったものはヴェルさんに。
清算を終え少し懐が潤ったので空のポーション瓶と用紙を買えるだけ買い込んだ。
急いでポーションを……あと五分ぐらいじゃ無理ぃ。
あ、そうだ。
錬成陣用紙を一枚床に敷き、空のポーション瓶と薬草を同じ数、乗せられるだけ乗せる。
で、レッツ錬成!
「やったぁ〜、出来たぁ」
「え、うわっ。二十本ぐらい同時に錬成!?」
「じゃあ次ぃ〜」
「うわぁ……錬成陣一枚につき一つしか錬成できないとばかり思っていたよ」
「ふふふぅ〜。これなら時間の節約になりますねぇ」
こうして無事時間内に百本の錬成に成功。
私の懐には2100Rが入りました!
さぁて、エンブリオ買っちゃうぞぉ。
二階へ駆け上がり、お兄さんの元へ。
「エンブリオ四個、くださいな〜♪」




