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2:私、賢者の石をゲットしました!

「なるほど。新体操部所属でしたか」

「は、はい。リボンが得意だったので、もしかしてそれなのかな……」


 女王様と勘違いされちゃう前に、ナビゲーターさんの誤解が解けて一安心。

 私、五歳のころから新体操を始めて、去年までずっと続けてたんだよね。

 大怪我して続けられなくなっちゃったんだけど、リボンは一番得意な種目なの。


 小さい頃見たアニメの魔法少女の主人公の武器がリボンで、それが大好きで真似るようになったんだ。

 今でも時々くるくるやって楽しんだりしている。


 まさか得意分野がゲームで生かされるなんて……しかも鞭さばきで。


「鞭は中距離扱いのため、命中率補正に係わるアビリティをセットするべき武器ではありますが……先ほどのチュートリアルを見る限り必要なさそうですね」

「命中率を補正? そんなアビリティもあるんですか?」

「はい。『ターゲットロック』というアビリティがございまして。アビリティをセットした状態で遠距離や中距離攻撃用武器を使用しますと、戦闘中にはターゲットにロックオンマークが付きます」

「ほえぇ」


 攻撃はこのマーク内に飛んで行く仕様なんだって。アビリティのレベルが上がればマークの範囲は小さくなっていって、攻撃はもっと当たりやすくなっていくと。


「ターゲットマークが無くても当たるようでしたら、不要なアビリティです。もし必要と感じましても、ゲーム内で獲得できますのでご安心ください」


 そうなんだ。じゃあ今はいいや。

 アビリティはナビゲーターさんの説明とお勧めを聞いて最終的に選んだのは――。


「『鞭』『薬学』『鑑定』『研究』『舞踏』でよろしいですか?」

「はい、よろしいです」


 ふふふぅ〜♪

『薬学』を持っていると完成したポーションの効果が少し上がるんだって。お店を出したいんだし、必須だよね。

『研究』はいろんな物を錬成したり生産することで、知識を得て、成功率や質、数を上昇させてくれるの。アルケミストや生産する人に嬉しいアビリティね。

『舞踏』は踊りながらパーティーメンバーの戦闘を支援できる効果が。

 しかもホムンクルスにも有効と聞いたら、取るっきゃないでしょう。


 こうして私――キャラクターネーム『チョコ・ミント』はこうなった。




 チョコ・ミント

 職業:錬金術師 レベル:1

 HP:100 MP:100


【アビリティ】*セット中の物には●マークが付きます。

『●鞭』『●薬学』『●鑑定』『●研究』『●舞踏』


*最大セット枠:5


【スキル】

『錬成:LV1』




 アビリティは現時点では最大五つまでセットできる。

 五つ以上アビリティを取っても、セットしていなければ成長はしないんだとナビゲーターさんに教えて貰った。

 セットは非戦闘時ならいつでも出来るっていうので、その時々で切り替えて効率よく育てましょう、だって。

 うぅん、私にそんな器用な事が出来るのかなぁ。


 他にもナビゲーターさんは、レベルアップの時に『アビリティポイント』が貰えるので、少しでも早くレベルを上げたいアビリティに振ると言いですよと教えてくれた。

 アビリティは使う事でもレベルが上がっていくんだけど、それとは別にポイントで上げる事も出来るって事……でいいんだよね?


「それでは最後に――」

「ほえぇっ。ま、まだ何かあるんですか?」

「はい。アルケミストとしての最後の試練です」


 し、試練!?

 ごくり。

 な、なんだろう。私にも出来る事かなぁ。


 そんな事を考えていると、突然目の前に大きな箱が出てきた。


「まずはそちらの『くじ引き箱』からくじを一枚お取りください」

「はぁ……」


 くじを引くぐらいなら私にだって出来るもんね。

 丸く開いた穴に手を突っ込んでみると、中が扇風機でも回っているみたいに紙がぐるぐる飛び回っているみたいだった。


「中に入っています紙を開くと『錬成』に使えるアイテムがランダムで出現します。そのアイテムを使って自身の武器を錬成してください。成功するまでロビーを出る事ができません」

「え……ほええぇぇっ!?」

「余ったアイテムはそのまま贈呈されますので、少ない回数で成功する事を祈っております」


 せ、成功するまでここから……出れない……。

 思わず驚いて箱から引っ込めた手には、三角形に折られた何とも禍々しいブラックな紙が。


「おや、黒ですね。おめでとうございます」

「え、ありがとうございます?」

「先にご説明しておくべきでしたが。中に入っている紙は、白赤青黄色黒がございまして」


 はうっ。黒ってこの場合、絶対ハズレだよ。

 ん、でも……ガラポンくじッて白がハズレな場合が多いよね。


「黒い紙は比較的レアアイテムが出やすいものとなっております。とはいえ、0.1%ですが」

「……それって出やすいっていうんですか?」

「その昔のMMOですと、レアアイテムのドロップ率が0.02%なんてものもございましたからそれを考えますと幾分マシかと」


 0.02……それがいったいどのくらい低いのか、私にはさっぱり分かりません。

 難しい事は考えないことにしてくじを広げてみる。

 広げた瞬間、紙が別の何かに変化した。

 それは握りこぶし大の、これまた赤黒い禍々しい石……。


「石……です」

「おめでとうございますっ!」

「あ、はいっ。あ、ありがとうございます」


 ナビゲーターさんの大きな声に驚いて、反射的にお礼を言っちゃったけど良い物なの?


「そちらは『賢者の石:大』でございますっ」

「賢者……ほええぇぇぇっ!?」


 VRには不慣れな私でも分かる。

 賢者の石って、錬金術師が出てくるアニメなんかにも出てくるすっごい物だって。

 ラスボスも欲しがる、不老不死を実現させる。

 え、じゃあ私、絶対無敵なアルケミストになれるってこと!?


「間違っても不老不死にはなれませんので、先にお伝えしておきますね」


 ……ナビゲーターさんの無慈悲な声が、薄暗いロビーに響き渡る。


「不老不死などになられたら、そもそもゲームとしてバランスが崩壊しますから」

「そ、そうですよねぇ。えへへ」


 確かにそうだ。

 無敵になんてなったら、冒険っぽくないもんね。

 生死を掛けた戦い!

 これこそ冒険ファンタジーだよ、うん。


 じ、じゃあさっそく錬成のやり方を教わろう♪

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