17:私、お母さんに怒られました・・・。
「ホムンクルスのお兄さぁ〜んっ」
ファネスの町にある教会に移動させられると、モルさんとラプトルさんが居なくなってたっ。
もしかしてあの崖っぷちに置いてきちゃった!?
大変! 大変! たいへぇ〜んっ!
慌てて外にでてさっきの場所に向かったけど、モルさんもラプトルさんも居ない。
なのに羊さんは健在で、私は今、またもや教会に移動させられたばかりだった。
ホムさんたちが居なくなって、もしかしてここに居るかもと思ってアルケミスト協会に来たんだけども……。
「どうかしましたか?」
「あのねっあのねっ。モルさんとラプトルさんが居なくなっちゃったんですっ」
その経緯を協会員のお兄さんに話すと、
「アイテムボックスをご確認ください。エンブリオが二つあるはずですから」
「エンブリオ?」
アイテムボックスを開くと、確かにエンブリオあった!
「アルケミストが戦闘不能になりますと、ホムンクルスはエンブリオに強制封印されてアイテムボックスの中に入るのです」
「なぁんだぁ、よかった。じゃあさっそく――『コールホムンクルス』」
二つのエンブリオを手にし唱えると、モルさんとラプトルさんが復活!
「ごめんねぇ〜。落ちちゃってごめんねぇ〜」
〔もきゅぅ〕
〔あぎゃぁ〕
「落ちたんですか? 浮島から?」
「あ、はい。落ちました」
お兄さんは頭をぼりぼり掻く仕草をし、呆れたような顔で私を見つめる。
うぐぅ。分かってます。
おバカだって分かってますよぉ〜。
「この世界は大地の構成上、落ちると確実に戦闘不能となりますのでお気を付けください。またその場合、他者からの蘇生も不可能ですので」
「蘇生? あぁ、復活の魔法ですね!」
こくりと頷くお兄さん。
そして次にお兄さんは、とても怖いお話をしました。
「ホムンクルスにも死は存在します。特にホムンクルスには自己再生能力以外でHPを回復する手段がございません」
「え……ポーションで回復できないんですか?」
「えぇ、出来ません」
そ、そんなぁ。
あ、でも自己回復能力があるってことは、大丈夫だってことだよね。
そう尋ねると、お兄さんはなんとも複雑そうな顔をして言った。
「エンブリオから出したままの状態ですと、ほぼ回復は見込めません。戦闘行為をしていない状態が一時間続いて、やっとHPが1回復する程度ですから」
「そ、そんなっ。じゃあ、どうやって回復させてあげるんですか!?」
お兄さんは懐からエンブリオを取り出す。
「エンブリオに封印しておくことで、HPは回復していきます。回復量は三十秒でMAXHPの1%」
「はや……いのかな?」
「そうですね、瀕死であっても五十分もあれば全快しますから。そりゃあ我々人間のように、ポーションだ魔法だで一瞬にして回復、なんてことは出来ませんが」
うぐぅ。五十分かぁ。
お兄さんは、その為にホムンクルスは数体持ち歩くのがいいでしょうと言う。
「同時に出せるホムンクルスは二体までです。予備としてもう四体錬成しておけば安心ですよ」
「よ、四体……エンブリオ代と、錬成に必要な素材が……」
ポーション屋さんをして、お金を貯めなきゃ。
っとその前に――。
「うぅん、なんとなくお腹空いたなぁ」
「そうですね、現在夜の八時を少し過ぎておりますから、夕飯の時刻としてはいささか遅いかもしれませんね」
「そうなんだぁ……ほええぇぇぇっ!? は、八時過ぎてるんですか?」
「はい。過ぎております」
ほええぇぇぇっ!
晩ご飯の時間、過ぎちゃってるぅ。
お母さんに怒られちゃうよ〜。
「食事に行かれるようでしたら、ホムンクルスをエンブリオに封印してから行かれる方がいいですよ。一体はHPが幾分減っておりますので」
「そ、そうですね。えぇっと――」
「『シィール』です」
「は、はい。『シィール!』」
モルさんとラプトルさんが光り、そのまま小さな丸い球体になって消える。
急いでアイテボックスを確認すると、ちゃんと二つのエンブリオが入ってた。
ふぅ、じゃあログアウト。
「由希! 春休みだからって、ご飯の時間を忘れるほど遊び過ぎるのもどうかと思うんだけど?」
「ほえぇぇ、ごめんなさぁい」
「もう八時よ!」
「ごめんなさぁいっ」
「ゲームに夢中になり過ぎて、ご飯食べなかったりとか絶対許しませんからね。それと夜は十一時まで。いいわねっ」
「ふぁ〜い」
十一時まで……お風呂は後にしちゃおう。
急いでご飯を食べ、直ぐにログインしたい衝動を抑える。
だって、食べてすぐ横になったら牛になっちゃうもん!
十五分ほど待ってからログイン!
うん、十五分程度で何が変わるのかって気はするけど……。
ログインして出たのは、アルケミスト協会の二階。
協会員のお兄さんのアドバイス通りホムさんを増やすべく、まずは――。
一階に降りて消耗品の仕入れ!
「うぐぅ……165Rしかない……どうしよう」
ヴェルさんにポーション錬成頼まれた時、追加で十本分の瓶とか錬成陣用紙を買ったもんなぁ。
どうしよう。先立つものが余りにも少なすぎる。
「ドロップアイテムの買取も致しますよ?」
「え、いいんですか?」
「はい」
でもでも、錬成に使えるかもしれないしなぁ。
「錬成に使えるかも、とお考えですか?」
「ほぇっ。そ、そうです、まさにその通りです!」
うわぁ、この協会員さん、私の考えている事が分かるんだぁ。
消耗品販売の協会員さんは三つ編みの女の人で、にっこり微笑みながら「アルケミストの鑑ですね」なんて言ってくれた。
「では、こちらのクエストなどは如何でしょうか? 成功報酬として500Rが支払われます」
「ご、ごひゃく!? 受けます、受けさせてくださいっ」
こうして私は金の亡者と化すのでした。
【クエスト:外壁の錬成】
【ゲーム裏事情】
ホムに対し回復魔法やポーションが可能だった場合。やはり強すぎるという事になってしまいます。
また回復の為に長時間使えない状態があれば、必然的に多くのホムを用意する事になるだろう・・・という事で、回復は自己のみでしか出来ないという事になっております。
つまり、ご都合設定なんですね!
よろしければカクヨムのほうでも・・・




