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14/50

14:私、武器をもっと強くしました!

「ハロー」

「ヴェルさん、さっきぶりで〜す」


 アルケミスト協会からすぐ近くの武器屋さんで待ち合わせした私たち。

 ヴェルさんは今買ったばかりの武器のデザインを変更したいんだって。


「デザイン、ですか?」

「そ。これなんだけどね」


 ヴェルさんが取り出したのは、大きな扇子。

 先端にふわふわのフリルが付いてて、ちょっと可愛い。


「これね、鉄扇なんだけどさ。このフリルが邪魔なんだよ」

「え、これ鉄なんですか?」

「そう。持ってみるかい?」


 手渡された鉄扇を持ってみ――ほえぇっ、も、持ちあがらないぃ。


「はははは。剛腕っていうアビリティが無いと、重くて扱えない類の武器なんだよ」

「ほぇぇ、武器にそういう制限があるんですか」


 私では重くて持ち上げられないような鉄扇を、ヴェルさんは軽々と片手で持っている。

 なんでも鉄製の武器や防具だと、特定のアビリティを持ってないとまともに扱えないっていうシステムになってるんだって。

 ほえぇ。奥が深いなぁ。


「出来ればシンプルなデザインに変更して欲しいんだ」

「シンプルですかぁ」


 骨部分が鉄みたいでその上に普通の扇子と同じように紙が貼られてるけど、綺麗な赤い花の絵が描かれている。

 で、ふりふりっと。


「同じ武器でも性別によってデザインが用意されているんだよ。私はこういう可愛いのはちょっと、ねぇ」

「鉄扇が武器って、ヴェルさんの職業はなんですか?」

「ん、格闘家だよ。まぁ格闘家でも武器が持てるからね」


 か、かっこいい!


 うぅん、シンプルにかぁ。

 でもできればかっこいい物にしたいなぁ。


 ふりふりを取ると……赤い花柄模様の鉄扇……。

 赤い――赤――。

 錬成で色を変更することは出来ないから、この赤をちゃんと利用しなきゃいけないんだよね。

 花弁の黄色もあるし。


 赤と黄色から連想できるもの。


「よぉし、レッツ錬成!」


 錬成陣用紙の上に鉄扇を置いてもらい、それから両手を突いて錬成を開始。

 ピカっと光った錬成陣の上には、赤と黄色のグラデーションが鮮やかな、炎に似た鉄扇――と、ピンクのリボンとが。


「ほぉほぉ。花柄が炎にねぇ」

「はい。赤と黄色があったんで、この色を利用して再構築するとなるとこれかなぁと」

「いいじゃん。好きだよ、こういうの」


 そう言ってヴェルさんはバサッと鉄扇を開き一振りする。

 ぶわぁって風が吹いて心地いい。


「ありがとう。頼んでよかったよ。もうちょいレベルが上がれば、結構女物でもかっこいい鉄扇があるんだけどねぇ」

「ヴェルさん、今いくつになってるんです?」

「ん。私は10だね」


 ……ほえぇぇっ!?

 じ、じゅう。

 私なんてその半分も無いのに。


「え、なに、ミントちゃんは4なの? ふむふむ、兎と芋虫か。町からすぐ近くのエリアで狩りしてたんだね。もう少し奥に行けばレベル3から4のモンスターが居るから、効率は上がるけど」

「はぅ。でも兎さんや芋虫さんを倒すのもやっとですし」

「ふぅむ。武器の性能かねぇ。っていうか、それリボンだろ?」


 私の腰を指差しヴェルさんが言う。

 はい、リボンです。

 でも武器の種類としては鞭扱いなんです。


「それ、錬成なんだろうけど、素材は?」

「チュートリアルで出てきたゴブリンさんが持ってた木の枝と、腰布……」

「あぁ……チュートリアル産の奴か。通常の素材より質が劣るだろうからねぇ」


 そうなんだ。


「これ使って再錬成してごらん」

「え、これ――」


 ヴェルさんが取り出したのは『硬い木の枝』という、ゴブリンさんが持ってた物より頑丈そうな物。

 それから私も持っている『丈夫な糸』。

 やっぱりこの糸でリボンを作るのは正解だよね。


「素材によって武器の攻撃力も変わってくるだろうし……あ、何なら先端を薄い鉄板でコーティングしたら切れ味も良くならないかな?」

「コーティングですか?」

「ほら、紙だってさ、指先を切るぐらいは出来るし」


 紙で――うん、確かに新品のノートや教科書を捲っていると、うっかり手を切ることってあるね。

 なるほどなるほど。極薄の鉄をリボンの先端部分にだけ……ううん、鉄の糸! それを先端部分にだけ縫い合わせたような、そういうリボンにすれば!


 あ、でも鉄なんて持ってない……


「ほい、鉄」

「え、これは?」

「お古になった鉄扇。錬成代だと思って、使って」


 ほえぇぇ。

 ありがとうございますっ。


 このままじゃ使えないから錬成して、鉄と紙に再構築。

 そこから鉄を糸状の物にまた錬成してぇ……うわぉ、大きな糸玉になった。

 必要分だけ錬成したら、残りはまた糸玉状にして取っておけばいいか。


 貰った『硬い木の枝』と『丈夫な糸』『鉄糸』、それから持続ダメージ目的で『毒草』を今度は二枚、錬成陣用紙に乗せ――


「レッツ錬成♪」


 パンっと手を付き出来上がったのは、先端がギラリと光るリボン。

 鑑定してみようっと。



【アイアンシルクのポイズンリボン・ウィップ】

 先端に縫い込まれた鉄糸によって殺傷能力がアップ。

 毒による持続性ダメージは絡めとっている間、毎秒3ダメージ。

 物量7

 素材:硬い木の枝??個 / 丈夫な糸??個 / 鉄糸??個 / 毒草??個

 耐久度:110/110



 クエスチョンマークが入っているけど、自分で錬成数は知っている。

 枝一本、糸三個、鉄糸は適量で、リボンが出来た時一緒に鉄糸玉が少しだけ小さくなって残っている。毒草は二枚。

 持続ダメージが1から3に上がったのは嬉しい。


「ふふふぅ〜。あとはホムさんを錬成できれば、向かうところ敵無し!」

「ほほぉ。何を作る気だい?」

「はいっ。強くてかわいくてふわもこな子です!」

「……欲張りだな……可愛いか強いか、どっちかにしたら? 寧ろ二種類作って、それぞれに役割を決めるとか」

「役割、ですか?」


 ヴェルさんは、ホムンクルスにも攻守支援タイプが居るんだと教えてくれる。

 しかもこのタイプ、錬成するときにアルケミストが自分の意思で選択できるんだって。


「なるほどぉ、可愛い子とカッコいい子で使い分けるんですね」

「そうそう。素材、足りないならこれ使って。面白そうだから錬成するの見せてよ」

「ほえぇっ、い、いいんですか? あ、でもエンブリオはまだ一個しか……」


 またポーションの販売でもしようかな。

 と思ったら、ヴェルさんが買ってくれるって!?


「いやぁ、早くレベル上げたくて、草原の奥の方で無茶狩りしたからねぇ。今日中にもうちょっとレベル上げたいし、ポーションがぶ飲みしたいんだよ」

「ほえぇぇ……じゃあ、空のポーション瓶なんかも買い足したいんで、アルケミスト協会にいいですか?」

「オケオケ」

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