嗤う人間
「ほら、あいつがきたぞ。」
「あ、ほんとだ。」
「早くどっか行ってくれないかな。」
「マジで、邪魔なんだけど。」
「ほんと、うざいよね~。」
あ、こっち向いた。マジキモイ。
どっか行けよ。
あっ。すごいキョドキョドしてる。
「ハハハ、ハハハハ。」
「キャハハ。キャハハハ。」
どうやら、ぼくは馬鹿にされてるようだ。
道を歩いているだけなのに、
ぼくを嘲笑する声が聞こえる。
ぼくは気にしないふりをして、
歩きつづける。ただ何の目的もなく。
人はなぜ嗤うのだろう。
それは純粋な楽しさからではなく、
愉悦を含んでいる。
一体何が人を嗤わせるのだろう。
ぼくは考えた。
そして一つの結論に達した。
それは酷くも誰もが持っている感情。
劣等感。
自身に自信がないため、
他人を低めたくて仕方がないのだ。
人間とは何て馬鹿な生き物だろう。
そんな人間を見ていると、
ぼくは嗤い出さずにはいられなかった。
「ハハハ。ハハハハ。ハハハハハ。」
そうだ。ぼくも人間なのだ。
そいつらと同様に。