パーティー結成!
〈5章〉 パーティー結成!
扉を開けてそこに居たのは八重歯が可愛らしい金髪に赤眼の獣人の女の子だった。トウキはその姿に思わず見とれてしまう。彼女は獣人と行ってもロエド程ではなく、人間に獣耳が生えただけのような姿である。
そしてシドが彼女の紹介をはじめまる。
「彼女はフェニア! トウキ君の魔法の先生、そして君のパーティーのメンバーさ! 」
トウキはフェニアと呼ばれた彼女の方を見て、これからこの可愛らしい女の子と一緒にパーティーを組めると思うと、前も後ろもわからないこの世界でも生きていける気がした。
「ほら、フェニア、ちゃんと自己紹介しなさい 」
「誰なの、 コイツ? 」
見た目とは打って変わって強気な口調で喋るフェニア。 トウキはそのフェニアの言葉を聞いて耳を疑う。
「こちらはアマネ・トウキ君! 今日からシルテティアに入団した新人さ。 そしてフェニアにはこのトウキ君とパーティーを組んでもらうんだよ 」
シドがフェニアに耳打ちするようにフェニアに近づき、
「ほら、フェニアいつもパーティーを組みたいって言ってただろ? 」
「な、なんで私がこんな新人とパーティー組まなきゃいけないんだよ!? しかもこんな"ひょろっちい"やつと! 」
"ひょろっちい"と言われ少し傷ついてしまうトウキ。そんなトウキを無視して話は進められる。
「こら、フェニアあんまり愚痴をこぼすなよ。 もう決まったことなんだから。それにこのパーティーは二人だけじゃないよ..... 」
シドがそう言った時、部屋のドアがノックされた。
「お、ちょうど来たみたいだね。 このパーティーのもう一人のメンバーが 」
ドアが開かれ、一人の少女が姿を現す。その子は長く伸ばした青髪をなびかせ、可憐に立っている。背中には体の半身以上もある杖を背負っている。身長はトウキと同じぐらいだろうか、目線が一緒だ。
「シドさん、私のパーティーが決まったというのは本当ですか? 」
彼女は見た目同様、綺麗な声でシドに問いかける。
「ああ、本当だよ。 ここに居る二人がサナのパーティーさ 、これから三人で頑張ってくれたまえ! ほら、まずは自己紹介! 」
シドがパチンと手を叩き、三人の自己紹介を促す。相変わらずシドはにこにこしている。
はじめにサナが一歩前に出て、
「私の名前はサナ・ジ・ホーク、 炎の魔法使いよ 。サナでいいわ 」
"ジ・ホーク"という言葉にトウキは聞き覚えがある。だがどこで聞いたのかまでは思い出せない。
思い出そうとしているトウキを傍にフェニアが驚いたように、
「"ジ・ホーク"ってまさかお前..... 」
そのフェニアの言葉でサナは少し微笑んでいる。
「ええ、そうよ。 私はグラド・ジ・ホークの娘、 つまりこのギルド、シルテティアの団長の娘よ! 」
ひれ伏せと言わんばかりの高笑いをしているサナ。
凄いというよりもその自信に溢れた姿を見て少し呆れてしまう。
そんなサナを無視してフェニアは自己紹介を続ける。
「私の名前はフェニアだ。 近接型でハンマーを使う。 あと、風の魔法が使える 、呼び方は好きにしてくれ、 私はそんだけ。 で、お前は? 」
フェニアに呼ばれ、トウキは慌てて自己紹介を始める。
「俺はアマネ・トウキ、今日から入団したバリバリの新人です。 あ〜、魔法とかよくわかんないけど、シドさん曰く、治癒魔法が使えるみたいです。 あっ、俺はトウキで大丈夫です 」
トウキが話している間もずっと高笑いをしていたサナが"治癒魔法"という言葉に反応し、笑いが止まる。
「あなた治癒魔法が使えるの!? 」
「ん? 治癒魔法ってそんなに凄いのか? 」
サナの驚きに相反してフェニアは全く理解していないようだ。
「ええ、凄いことよ! 一般的には生まれつき炎、風、水、光、闇の五つから属性は決まるんだけど、稀にこの五つとは別の治癒に特化した魔法を使える子が産まれてくるの。それが治癒魔法よ 」
「おお、よく知ってるね 」
サナの説明を聞いていたシドが褒めるよな口調で喋る。そしてドアの方へ歩き出し、ドアの前で止まる。
「それじゃあ僕はこの辺で退室しようかな。 三人とも仲良くやっていくんだよ 」
手をひらひらさせて部屋から出ようとするシド。
閉めかけたドアを止めてシドがまたこちらに顔を見せる。
「あっ、そういえば、 トウキ君は魔法の使い方が分からないようだからフェニアとサナでちゃんと教えとくんだよ 」
「それじゃあ」と言ってドアを閉めたシド。最後のシドの言葉を聞いた二人はトウキの方を見ている。
サナがトウキに向かって、
「トウキ、あなた魔法の使い方もわからないの? 」
「まぁ、そうです 」
そのトウキの言葉を聞いてフェニアが馬鹿にしたように笑う。
「ハハハハ! お前魔法の使い方もわからないのか、 このご時世子供でも使えるぞ 」
初対面では可愛かったフェニアも今はもうトウキの中では"口悪の子供"という印象になってしまっている。
「フェニアちゃん、あんまり笑うと俺も傷ついちゃうんだけど…... 」
イライラを隠しきり、大人の対応でフェニアを注意するトウキ。 笑顔を作るも引きつってうまく笑えない。
だがフェニアの口は止まらない。
「だって、そこらの子供でも使えるんだぜ。 あと、ちゃん付けとか気持ち悪いからやめてくんない 」
フェニアのその言葉で堪忍袋の緒が切れてしまったトウキは声を荒げてしまう。
「うるさい! このガキ! 見た目がちょっと可愛いからって調子に乗るなよ! この見た目詐欺め! 」
フェニアもそのトウキの言葉で怒ったようで、トウキに言い返す。
「誰がガキだ誰が! だいたい私はもう十四なんだよ! もう立派な大人なんだよ! 」
「ふん! 残念でした〜、俺は十八ですぅぅ、ほら、もっと年上を労いなさい 」
「年上って言っても四個しか変わんないじゃん 」
言い合っている二人を見ていたサナが、背中に持っていた杖を使って二人を殴る。殴った強さは結構なもので"ゴツン"という音が鳴る。
「いたっ 」
「いてっ 」
頭をさする二人を怒ったようにサナが見ている。
「こら! 二人とも、いい加減にしなさい! そんな小さいことで言い合わないの! 二人ともここに正座しなさい! 」
二人を正座させてサナのお説教が続く。その姿はまるで母親に怒られているようだった。トウキもフェニアも普段正座しないため、すぐに足が痛くなる。痛いのを和らげようと足をもぞもぞすると、サナがそれをまた怒る。
サナに怒られている中、トウキはこれから先の心配をしていた。
(本当にこのパーティー、大丈夫なんだろうか? フェニアは口悪いし、正直今の俺は戦力外だし、サナはまだよくわかんないけど..... てゆうか説教長くね..... )
その後サナの説教は三時間続いた.....
ついにトウキ君のパーティーのメンバーが出揃いました!これから討伐やなんやらでこのパーティーで活躍するトウキ君を乞うご期待!
この度もライフtoファールを御精読いただき誠にありがとうございました。
これから先も応援よろしくお願いします!