異世界転移!
〈プロローグ〉 転落
その日、アマネ・トウキの人生で一番最悪な一日だった。
「124、125.......127.........」
何度くり返し見てもトウキの受験番号である「126」は見当たらない。
そして思わず。
「なぜだ!? なんでないんだぁぁぁぁぁ!!!!!」
思わず心の声が漏れてしまったトウキは周りの注目に耐えきれずその場から立ち去った。
「くそっ! なんで落ちたんだ! ゲームの時間を一時間も減らして勉強に専念したというのに!?」
そうトウキは大学受験に落ちたのだ。
むしゃくしゃしたトウキは近くのファミレスでヤケ食いをすることにした。
「いらっしゃいませ。ご注文お決まりでしたらお伺いいたします」
「え〜と、じゃあハンバーグステーキに揚げ鶏チキン、ピザにオムライスで!」
吐き気をおさえ全て胃の中に押し込んだ。
「やばいこれ.....マジで吐く.....」
代金を支払い店をあとにしようとした時.....
ダン!
勢いよく開けられたドアから三人の男達が現れる。
その三人は皆片手に拳銃を手にしている。そしてその拳銃を天井に向かって撃ちながら。
「強盗だ! 大人しく金を出せ!少しでも妙なまねしやがったらコイツを撃ち殺すぞ!」
そう言って銃口が向けられたのは.....
「えええ!? 俺!? 」
トウキだった。
「うるせいなガキ! 死にたくなきゃ大人しくしてろ!」
そんなやり取りの最中店の非常ベルがなった。
「誰だ! このベル押したやつは! 」
銃を乱射しながらそう叫ぶ。
「出てこい! じゃなきゃコイツを撃ち殺すぞ! 五秒数えるまでに出てこい! 」
(おいおいまずくないか! こんなの絶対誰も出てこないよ絶対俺撃たれちゃうよ!? )
カウントダウンはもう残りわずかだ。
「さぁぁん、にぃぃぃぃぃ.....」
(おいおい! 待て待て待て! 本当に撃たれちゃうのか? 俺死ぬのか!? )
「ぃぃぃぃぃぃち.......」
「えっ、ちょっ.....」
バァァァァァン!!!!!
その日、アマネ・トウキの十八年間の人生に終止符が打たれた。
〈1章〉 異世界転移
彼の名前はアマネ・トウキ。歳は十八。
彼の家は柔道場になっており彼もまたその道場の生徒である。
幼少期から父に仕込まれた柔道の腕はなかなかで大きめの大会でも優勝してしまうレベルだ。
そんな彼が抱える大きな問題、それは大学受験だ。
頭は悪くは無い、だが決して良くもない彼は志望大学に受かるか落ちるかの瀬戸際だった。
「えぇ〜と、Xがここに代入されて.....えぇぇぇ答えが4.34343.....ってこれ絶対違うな」
そしてそんな彼は見事に大学受験に落ちたのであった。しかも大学に落ちたその日、彼は命まで落としてしまったのである。
秒針が上を指し昼の十二時になった瞬間
バァァァァァン!!!!!
その音とともに彼の意識はいっきに遠のいてゆく。
(あぁ、俺は死ぬのか? まぁいいか.....前から死んだらどこに行くのか気になってたし.....)
その日、アマネ・トウキの十八年間の人生に終止符が打たれた.....
...はずだった。
目を覚ましたらそこは一面黒に覆われた世界だった。
(どこだここ? あぁそうか俺は死んだんだ。あれ?だとしてもここはどこだ? 地獄? )
突然目の前に光が現れた。
「うわっ! まぶし! 」
それに応えるように光が語り出す。
「私はこの世界この宇宙を作りし神、ウルドなり。喜べ少年.....君は選ばれたのだ.....」
「え、選ばれた? なんのことかさっぱりなんだが.....」
「無理もない少年。ここは常人では決して立ち入ることの出来ない場所.....生と死の狭間の領域に君はいる。そして君が命を落とした今日、私が君に使命を与えたのだ。だから君はここにいる」
そう言って突然一面真っ黒だったこの空間に映像が流れ出す。
それは綺麗な街並みの映像だった。街の建物はレンガで作られており、中世ヨーロッパをにおわせる作りだった。
「この世界は君の住む世界とはまた違う世界。そしてこの世界にある危機が訪れている。それはこの世界を壊しかねない.....」
そして映像が消える。
「本来ならば世界の創世者であるこの私が解決しなければならないのだが私も忙しくてね.....そこでだ!私は代理を立てることにしたのだ!そしてその代理人に君が選ばれたのだ! 」
神と思われる光が急激に光だしそして収まる。その後にまるで「決まった! 」と言わんばかりの沈黙が流れる。
「......... 」
「選ばれたのだ! 」
「いやわかったよ! 二回言わなくてもわかってるよ! 言ってることはわかるけど理解が追いついてないだけだよ! 」
頭をかきむしりどうにか理解しようとするトウキ。
「あ〜、つまりは俺がこの世界を救えと? 」
「そういう事だ 」
「わかった、そこまでは理解した。でもなんで俺なんだよ? 」
率直な疑問を神に問いかける。なぜか神はすぐに応えようとしない。そして神は少しの間のあとにその口を開く。
「それは..... 」
「それは? 」
「それは君が若くて動けそうだったからだよ 」
さっきまでの重い声とは打って変わってお茶目な声を出す神。
「はぁ? 」
「あっ、あと候補リストの一番上にあったからっていうのもあるかな 」
「はぁ!? なんだよそれ! めっちゃ適当じゃないか!?」
「いや〜神も忙しくてね、あっそうだ!こう言うのはどうだ。この件を解決出来れば願いをなんでも一つ叶えてやろう! 」
上手いことを言ったと言わんばかりに神は高らかに笑う。
「願いを叶えてくれるのは嬉しいけどなんか腑に落ちない..... 」
「まぁ一度なくした命だ。第二の人生だと思って頑張ってくれたまえ! それに君にはあの世界で生き残れるよう治癒魔法の能力を与えているからきっと大丈夫! 使い方はその世界で学んでくれたまえ!それでは少年さらばだ! 」
その言葉とともにトウキのしたに穴が開く。
そして.....落ちる。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
涙目になりながら手足を水をかくようにして動かすトウキ。
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ! 何考えてんだあのアホ神! 」
地面が近くに見え死を覚悟したその時上昇気流に体を持ち上げられそして落ちる。
「いでぇ! 」
強打した腰をさすり痛みを和らげようとする。
なんとか立ち上がり目の前に広がる風景に驚きを隠せないトウキ。
「ど、どこだよここは..... 」
アマネ・トウキ十八歳。彼の人生はこれまでとは真逆と言っていいほど過激なものになってゆく。
皆様はじめまして天色アゲハと申します。
このたびは私の第1作目である「ライフ to ファール」をご覧頂き誠にありがとうございます!
毎週日曜日の午後7時に一話づつ投稿予定なのでよろしければご覧頂けるとありがたいです。
またレビューやコメントなどを頂けると嬉しいです。
今後も全力をつくす所存です。どうか応援よろしくお願いします!
今後ともよろしくお願いします!