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ReverseFlag 病床の王編  作者: 居村 るみ
三つ巴と始動
2/18

深山緑 その不幸

西暦2135年 8月18日

深山道場 (深山家)


「気を付け! ありがとうございました!」

『ありがとうございました!』

道場内に元気な声が響く。

「お疲れ それじゃあ次回まで自主トレ怠らないように」

『ハイ!』

全員が帰宅したのを確認して自室にて着替える。

「アニキィ メシまだぁ!?」

ダイニングから弟の蒼也が叫ぶ。

「少しぐらい待ってろよ!」

稽古が終わるのはいつも昼だからすぐに腹が減る。

すぐに飯を食おうとインスタントを食べるのは体に悪いのでいつも手料理を作っている。

彼の名は深山緑 この道場の師範で数少ない崩破と呼ばれる格闘術をマスターした人物だ。

今は崩破を広めようと道場を開き様々の人に教えている。

もっとも崩破をマスター出来るのは深山家の者かそれ相応の力を持った者のみなのだが。

「できたぞ 残さずたらふく食えよ お前学生なんだから」

「わーってるって 飯おかわり」

「はいよ」

「おかわり早っ」と思うかもしれないが深山家の食事はいつもこんな感じである。

ちなみに深山蒼也は17歳の高校二年生 緑は19歳である。


緑は道場を経営している傍ら午後はある職場に行っている。

民間の警備会社…と言うのは表向きで

その実態は人害未確認生命体駆除隊。

つまり人に害を与える謎の生命体を駆除するのが仕事である。

『普通なら』危険なので誰もやらないがそこには普通じゃない人が集まっているので問題はない。

だがそんな普通じゃない人は緑を含め三人しかいないのだが…

昼食を済ませた緑は

「じゃ 行ってくる」

「おう 行ってら」

そんなやり取りをして家を出る。


職場までは(緑にとって)徒歩で行ける距離だ。夏の快晴の中清々しい気分で通勤していると。なにやら野次馬が集まっていた。

通りすぎる時、耳に入った話によると 燃料もなしに燃えた焼死体があったらしい。

(おっかない、おっかない)

緑はそんなことを思いつつ職場に足を運ぶ。


「深山緑 只今出勤しましたー!……ってなんだこの空気は」

緑が感じたのはまるで重力を倍にしたかの空気。

その部屋にはいつも通り二人の社員と社長がいた。

「ど…どうしたんすか?」

と聞くと社員の内のゴーグルを首にかけている人が緑に飛びつき肩を揺さぶった。

「ここが! 無くなるんだってよ!」

彼の名は山吹黄土 日本に古来からいた鬼の末裔である。 あとマッドサイエンティストでもある。

「え?」

「だから! この会社! 潰されんだってよ!」

「はいぃぃ!? どうゆうことですか社長!」

だが社長は答えない。よく見ると魂が別の場所に行ったような顔をしている

「ダメだ!社長が別のところに旅立ってる!何が起きたんだ!」

「それについては俺から話そう」

そう言って立ち上がったのは革ジャンを着て腰に刀を携帯している男だった。

刃・リード 剣の国と呼ばれる別世界の王子で10年前にここに来たらしい。

「俺らはいろんなやつらを相手にして来たが最近は変な力を持つ輩が目立ってたらしく、そいつらも含めて警察が新しくつくる「特課」ってのがやるからいいって政府から」

「ハァ!?」

ところで先ほどから淡々と説明しているが鬼や別世界などと話しても普通はさっぱりだろう。(彼らについてはまた別の日に説明しよう)

だが緑は過去にとてもじゃないがあり得ないことを経験しているため大体のことは飲み込める。

だが現状は飲み込めない。というか飲み込みたくないようだが。

「じゃあ どうすりゃいいんですかこれから!」

「オレは鍛冶屋として働く」

「おれは溜まりにたまった論文を出して金貰うん」

「二人とも凄いな じゃあ俺は何するといいんですかねぇ…」

すると二人は声を合わせ

『定食屋を経営しろ』

緑の作る料理は絶品である。グルメはおかわりをして常人なら気絶するレベル。

でも一回食べれば耐性が付き緑の料理に病み付きになる。

周りの人間もよく知っているが本人はそのうまさに気付いていない。

だから

「いや 道場運営すれば儲かるか」

『なぜそうなるんだよ』


「一先ず今日は解散しようか 社長には後で連絡するよう置き手紙出すから じゃあ解散!」



「これからは午後の部も必要になるかな?あ、バイトの子にも連絡しなきゃいけないか」

と呟いていたらいきなり後ろから視線を感じる。

後ろを振り返ったら緑がいた。

「…なんだ 俺かよ ビックリしたなも~」

と一拍置いて気づく

「…?何で俺が?」

そして後ろからまた視線を感じ振り返るとまた緑がいる。

よく見たらその二つは鏡だった。挟むように鏡があるため合わせ鏡になっていた。

すると耳元で声が聞こえ

「知ってるか?合わせ鏡に13番目の顔は自分の死んだときの顔なんだとよ」

驚き横を見ると男が立っていた

「今の私はイライラしてるからすぐに殺したりしない 少しずつ表面から炙りながら殺してやる」

男が言った瞬間 鏡が光だし熱を放出させた。

「私の造り出した鏡は日光を吸収して放出するんだ 燻製になって死ね!!」

だが緑は取り乱さず言った。まるでいつも友人と会話するかのように

「今日は暑かったってのに…なんで日が暮れてからもこんな熱い思いしなきゃいけないの…」

「飄々としてられるのは今のうちだ!跡形もなく消し炭になれッ!」

流石にヤバいか?

そう思い、拳を握りしめたその時

「見つけたぞ!鏡男!」

聞きなじみのある少年の声が聞こえた。


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