物語の始まり ②
その名もないゲームに…俺はどんどん吸い込まれていった。
正直怖い。何か変なサイトなのかもしれない。
だが、何故かクリックする指は止まらぬまま、キャラクターの設定画面にきた。
「名前は…登録しなくてもいいのか」
主人公…自分の分身に対してこちらから設定できたのは何故か性別のみ。
さらに怪しさが増してきた。
次に出てきたのは……ルーレット?
「なんだこれ?」
回さないと進めないらしい。
仕方ないので回した。
………80
「なんの意味があるんだ?」
次に出たのは…色々な項目とさっきの 80 という数字だった。
「ここで使うのか?」
試しに[獲得経験値上昇]のところをクリック。すると[上昇ランクⅠ]となり 79 となっていた。
「これを使って買う…ということでいいのか?」
そこから色々つけていった…
そして…
「やっと終った…。」
結局…つけたのは
[獲得経験値上昇:ランクⅢ]
[獲得コル上昇:ランクⅠ]
[スキル:識別]
[スキル:世渡り上手]
[獲得経験値上昇]は読んで字の如くだ。
[獲得コル上昇]このコルとは、恐らくお金の単位なのだろう。
[スキル:識別]これはアイテムがどんなものか分かる…とかか。
[スキル:世渡り上手]は多分交渉に関するものだろう。そうだろうと思って入れたのだ。
残念ながら武器や防具、特殊な呪文やジョブなどは決めれないようだ。
ここまでで 60 のポイントを使っている。
残りの 20 はというと、
「この…???? はなんだろうか。」
最後の項目にある[????] これだけで 20 も取られるのだから、何かすごい効果でもあるのだろうか。
「まぁ…せっかくだし取るか」
これでポイントは 0 だ。
ここまでにかなりの時間を使った。
こんなゲームは最近あまり無かったので、純粋に興味が増してきていた。
そこからさらに諸設定を行った。
何故か言語の項目は無かったのだが…大丈夫なのだろうか。
ついに…
〈全ての設定が完了致しました。〉
「終った…。」
もうかなり時間が経っているが…まだ風呂の時間までかなりある。 少しくらい様子を見ても大丈夫だろう。
恐らく次は確認画面だろう…と思っていた。
その画面が出てくるまではそんなことを思える余裕があった。
〈あなたはこの世界に未練はありませんか。〉
一瞬思考が停止した。
「なんなんだ…このゲームは…」
とりあえず はい を押す。
〈本当にこの世界に未練はありませんか。〉
はい
〈もう後戻りは出来ないかもしれません。本当によろしいですか。〉
しつこい。 はい
〈では、これよりあなたの物語が始まります。〉
〈頑張ってください。〉
その瞬間…俺の意識はフェードアウトしていった…。