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ダメージディーラー  作者: 広森千林
間章 人
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序 人というレールから外れた元人間

某所に投稿したもので、今読みなおすと修正したいところ満載ですが、新作のほうを優先したいので、読みにくい文章のままです。ご容赦を。

そちらがおちついたら、こちらもじっくり修正したいところですが、いつになるやら……

 人間という生物と、その他の生物を区別する要素とはなんだろう。水、炭素、アンモニア、石灰、リン、塩分、硝石、イオウ、フッ素、鉄、ケイ素、その他少量。

 どこかの錬金術師が言っていた気がする、人体を構成する要素を満たしていれば、人間という事になるのだろうか。

 それとも、高度な知的生命体だから?

 言葉でコミュニケーションをとるから?

 物を作る技術があるから?

 そんな──どうでもいい事をたまに考えてしまう。

 人というレールから外れた『元人間』を沢山見てきたから。

 その脱線は、偶然の産物。

 たまたま、偶然、『別の生物』に『人』として殺され、自らを殺した『別の生物』に生まれ変わる。その行為は、決して悪意がある訳ではなく、本能の命令に従うだけ。

 悪意がないから余計に質が悪い。悪いことをしたから成敗する! なんて、そんな大義名分が成り立たないのだから。

 善人に危害を加える事ほど、勇気のいる事はないと思う。

 それでも、やめる訳にはいかない。躊躇する訳にはいかない。

 誰かがやらなければ、その不幸な連鎖、拡散は止まることなく、悲劇が、悲しみが広がっていく。

 実際のところ、そんな悲劇に見舞われる確率なんて、微々たる物だ。運が悪かったと諦めるしかないほどの、低い確率。

 それでも、ゼロでない限り、いつ自分の身にその不幸が降りかかるか、分からない。自分の家族や友達が被害に遭わないとも限らない。そんな自分の身近な人達が、『人ではない別の生き物』に、明日、明後日、一年後、数年後になってしまうかもしれない。

 だから、その確率をゼロにしたいのだ。

 最悪な手段で。

 元々が『人』であった『別の生物』を狩りつくし、拡散を防ぐ。

 そのために自らの『人としての倫理』を殺し、『別の生物』を殺す。

 人としての倫理を自ら殺してしまっている段階で、もはや自身も人ではないのかもしれないけれど。

 蒸し暑い真夏の夜。見上げれば、雲ひとつ無い綺麗な満月が世界を照らしている。これほどに相応しい狩りの場面はそうそう無いだろう。

 人ではない別の生物──吸血鬼。ヴァンパイア。赤目。夜の住人。実在なんてしないと思っていた、そんな呼び名の生物を狩るのだから。

 ひとけのない暗い路地を若い男が歩いてくる。

 どこから見てもただの人間だ。

 その赤くて紅い、朱い瞳を除けば。

 もっと厳密に言えば、先に述べた水や炭素、アンモニアなどの配分も人とは全然違うのだろうけれど、そんな物をいちいち計測する訳にもいかないし、その瞳の確認だけで十分だ。

 男が目の前を通り過ぎていくのを目だけで追いながら、左耳に付けているインカムを起動させ、作戦本部に連絡を入れる。

「DD222(ディーディートリプルツー)よりOCオーシーブイ発見、MCエムシーをたのむ」

 隠語を満載した言葉で作戦開始の報告をする。

 見つけてしまった以上は、仕方がない。見過ごせない。見て見ぬ振りは出来ない。

 二度と後悔しないために。

 さあ、狩りを始めよう。

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