第175話 アリスの過去(後編)(S!)
今回はサイドエピソードです。
(……?)
後でわかる……一体どういうことでしょう?
という疑問を抱きつつも、見張さんについていくことにしました。
それから歩いて行くこと2分後……
「ごめんねぇ……長く歩かせちゃって……うちの会社広いからさぁ」
「いえいえ、全然大丈夫です!これぐらいは歩けますので!」
「頼もしいね。さて、それじゃあこの部屋の中に入ってよ」
「わかりました」
私はドアについているガラスから部屋の中を見てみた。
部屋の中に明かりはついておらず、人はいなかった。
なのでノックはせずそのまま中に入る。
(……!)
「ここは……?」
「『手術室』だよ」
「えっ!?手術?ここ病院なんですか?」
「いいや違うよ。ここはただの会社。すごいでしょ!会社なのに手術室があるんだよ!」
「でも、どうして手術室が……」
「それはあれだよ。万が一職員がけがをしたら、ここまで医者が来てくれるんだよ。だからすぐに手術ができる。病院に行く方式だと、待ち時間とかの関係があるからね」
「なるほど……」
救急車を使ったら待ち時間とかあまり関係ないのでは……?
って思ったけど、あえてつっこまないことにしました。
「じゃあ次の部屋を案内するよ」
こうして私たちは次々と部屋を案内された。
これは一種のオリエンテーションなのでしょう。
しっかりと会社の中を覚えないとです。
一通り見た後、休憩室へ案内されました。
「お疲れーこれで紹介したい部屋は以上だよ」
「ご案内ありがとうございます」
「それじゃあこのお茶でも飲んで、そして少し早いけど昼食の時間としよう。ごめんねぇ少し早いけど許してねぇ」
「わかりました!」
見張さんが入れてくれたお茶を飲んだ後、
昼食のためにコンビニへ向かいました。
そしてコンビニでお弁当を買って、元の場所へ戻ります。
その時見張さんはいませんでしたが、さほど気にせず、
ゆっくりと昼食をとりました。
そして昼休憩が、あと10分で終わるって言う時。
(…………)
(……あれ?)
ふと大きな違和感を感じました。
(……おかしいな……いつもこの時間は眠くならないのに……)
ゆっくりと瞼が重くなっていく。
昼休憩の時に眠くなるなんてこと、少なくとも私はなかったので、
不思議に感じました。
そしてついに……完全に瞼が閉じてしまいました。
「おーい!起きろー!」
(……!)
私は上司に起こされ、ついに目が覚めました。
「おいおい、大丈夫かい?ずっと寝てたんだけど」
「……え?」
「ほれ、俺のスマホの画面を見てよ」
(……!)
時刻は……既に18時を回っていた。
私は約7時間も眠っていました。
「仕事中に寝るなんて、普通の会社だったらクビだよクビ」
「すっすみません……!本当にすみません!」
「いいよ。別に。残りの説明は明日するからさ、今日は他の職員に自己紹介だけしたら上がっていいよ」
「あの……本当にすみません」
「いいって、初日からクビにするのは俺も気が引けるしさ、さ!自己紹介自己紹介!」
(…………)
不気味なほど優しい上司……少し心配になってきました。
もしかして他の人も仕事中に寝たりするのでしょうか?
(……?)
そういえばここ……『手術室』だった。
もしかして寝るときは皆ここで寝るのでしょうか?
まあ普通会社にベッドは置かないから、寝るとしたらここなんだって考えた方がいいのかもしれません。
「さあ!休憩室に戻ろう。そこで皆待ってるよ」
「わかりました」
そして休憩室へ到着すると……
「こんばんはー」
「……!こんばんは」
「じゃあ自己紹介してね」
「はい!私の名前は『アリス』です。よろしくお願いします」
「私の名前はペリーです。よろしくお願い申し上げます」
「僕の名前はスピアルです。どうぞよろしくお願いします」
「私はイルミナです。よろしくお願いします」
「僕はラパンです。よろしくお願いしますです」
「私はワグネルです。ラパンと私は双子なんです。よろしくお願いします」
「よし!じゃあ最後は俺が、どうも皆の上司になるデバードだぞぉ!よろしくな!」
デバードさん……この優しい人はそういう名前だったんですね。
「よし!それじゃあお互いの仲良し度を上げるために、どうしてここで働くことを決めたのか?皆語っていこう!」
(…………)
本当はあまり言いたくないけれど……まあ会社の方針なら従うしかないですね。
「私はつい最近まで夫に暴力を振るわれていました。そのことを誰にも言えなくて……困っていたら……上司が来て助けてくれたんです。それがきっかけでここで働くことになりました」
(…………)
皆は静かに私の話を聞いてくれた。
喋り終わると、今度はペリーさんが話し始めました。
悲しい……自ら人間であることを捨てる決断……それはどんな感情だったのでしょう?




