第174話 アリスの過去(中編)(S!)
今回はサイドエピソードです。
「死ぬぐらいなら……新しい環境で第2の人生を歩んでみようと思わないかい?」
「新しい……人生ですか?」
「うちで働きなよ!生活する場も与えるからさ」
「えぇ……!?」
それはいきなりのことでした。
よくわからない男から、スカウトを受けてしまったのです。
「おっとごめん……まだ名前を言ってなかったね。俺は見張 林太郎。あなたは?」
「山岸 桃子です」
「OK~それで仕事やってみないかい?」
「あの……仕事内容はどんな感じなんですか?」
「ニートのお世話だよ。こう聞くと物騒なこと考えちゃうよね……でも心配しなくて大丈夫。護身術渡すから命の危険はないよ」
(…………)
ニートのお世話?をする意味がよくわからないけど、
いずれにせよ生活する場を与えてくれるというのなら、
もうDVを受けなくて済む……これはいいことなのかもしれません。
「わかりました。そこで働かせてください」
「おお!良かった!マジで助かったよ」
「でも……すぐ仕事をやめられるわけじゃないですし、何より……」
「……?」
「うちの夫から……離れたいです」
「ほほーんさては自殺しようとした原因は、夫婦関係のようだね?」
「……はい」
「確認だけど、もうその夫と『2度と会いたくない』ってことでいいかい?」
「……はい」
「一度決断すると取り消せないけど、その心は絶対変わらない?」
「……はい」
「よしわかったじゃあこうしよう。絶対にうちで働くというお願いと引き換えに、別居させてあげるよ」
「どういうことですか?」
「早い話が住む場所を先に与えるってこと、まあ働く時に使う住む場所とは違うけど、ただ住むだけなら困らないと思う」
「……本当に……私なんかのために……いいんですか?」
「未来ある若者が死ぬぐらいなら……安い物さ」
「……ありがとうございます!」
「それじゃあ解雇予告とかもあるだろうから、仕事できるようになったら連絡ちょうだい。今LIME教えるから」
「ありがとうございます」
こうして私は、見張さんの提案で、新しい場所に住むことになりました。
会社には退職することを伝え、有給消化を始めました。
有給が足りない分は、もちろん働きました。
そして……
「じゃあ今日からここで働こうね」
「はい!よろしくお願いします」
私は見張さんが紹介してくれた会社で働くことになりました。
「もしかして……緊張してたりする?」
「まっまあそうですね……」
「なら安心して、もうすぐその緊張という感情は消えることになるから」
「……どういうことですか?」
「あとでわかるよ」
デバードも憎めない奴だったってことですよ。全てが悪の人は存在しません。




