第142話 俺ニート、史上最大の決断を迫られる
主役はまさかのニート!?堕落した生活を送るニートに、ゲームに勝利し続けるとお金を稼ぐことができるという、神のゲームに参加!そのチャンスをものにするために、早速リバーサル社にて契約を交わした!
父と兄を失った過去があっても!俺はめげずに今を謳歌する!
(…………)
バカな……!この俺が負けただと!?
それは突然のことだった。
全く想定していなかった。最後の戦いで負けるなんて……
あまりにも……虚しい。
今回は相手が悪すぎた。
あいつに勝てるやつなんているんだろうか?
って思ったけど、冷静に考えてみれば、
それは過去に俺が戦った人も同じように考えているのだろう。
俺は今日までは無敗だった。つまり昨日までは相手と同じぐらいの強さがあるように、
見えていたのかもしれない。
……いずれにせよ、とうとう負けてしまった俺は……俺は……
(…………)
俺はその場に崩れ落ちた。
なぜ俺がこんな目にあわないといけないのか。あまりにも理不尽すぎることじゃないか。
……だがそれは相手にとっても同じことだった。
俺は今まで何人もの相手と戦って勝ってきた。
勝った俺はお金がもらえてウハウハ、
だが負けた相手は……
そうだ、俺はすごい悪いことをしてきたんだ。
最低でも数人分の親または本人を、殺したようなものだ。
これは残された遺族の恨みとして、
逃れられない宿命なのかもしれない。
でも……辛いものは辛いよ……
ひどく落ち込んでいる中、
プルルルル……
俺のスマホに着信があった。
「はい」
「いやー実に残念だ。まさかこれが最後!っていう大事な戦いで負けてしまうなんてねぇ。予想もつきませんでしたよ」
(…………)
電話の相手は、最近やたら絡んでくるデバードだった。
「だからといって救済や免除はしない。しっかりとルール通りにやらせてもらいますよ」
「……わかっています。覚悟はできています」
本当は全然できていない。
……だけどどのみち今後の展開は覆らないだろう。
「さて、じゃあ単刀直入に聞きます。あなたは誰の『命』を選びますか?」
(…………)
俺の選択肢は3つ。
1.俺の命を差し出すこと。
正直これが最も正しい決断である。
自分が生きるために、親を殺すなんて、あまりにも親不孝ものだ!
2.母の命を差し出すこと。
母を殺せば俺は助かる。そして今後戦いはないから、2度とこういう死の危険は来ないだろう。
3.囚人である父の命を差し出すこと。
母と比べればまだましだが、懸念点として母が帰ってくる保証がないことだ。
母は人質に取られている。もし仮にここで父を選んで殺し、
母と俺が助かるルートになったとしても、母がなんかの理由でリバーサル社に殺されたら、
俺は一人で生きることになってしまう!
……そう、つまりどのルートを選んでも、『一番辛い選択肢』のように感じてしまうのだ。
……だがその理由で考えて、母の命を選んだとしても、
父は前科持ちである。つまりまともな職につけず、ものすごい辛い人生を歩むのかもしれない。
そして切羽詰まった父は、ハローニートと契約して……
そして負けたら……
「どうしました?決めてもらわないと色々困るんですけど……」
「少し考える時間をください」
これを今すぐ即決するのは荷が重すぎる。
少しぐらいなら先延ばしができるかも……
「ダメでーす。今すぐ決めてください」
(……!)
「今日中に決めてもらわないと困るんですよ。最悪3人とも死なないといけなくなってしまいますから」
「なんだって!?どういうことですか?」
「今日中に決めないと、3人とも死ぬってことです。あなたの優柔不断のせいでね」
(……!)
そんな……なんでこんな重すぎる決断を今すぐ決めなければならないなんて!
あまりにも酷な話だ。
今までのリバーサル社とはまるで別会社みたいだ。
まるでホワイト企業からブラック企業になったみたいだ。
(…………)
「このままだと日付変わっちゃうんで、そろそろ決めてくださいな」
って言われてもな……
くそ……!こうなったら無理やりにでも決めるしかない!
……最もいい決断は……父の命……なのか?
正直正解なんてないが、父の命を差し出すのが最も現実的なのかもしれない。
……そうだ、母はまだ殺されると決まったわけじゃない。
きっと母は帰ってきてくれる。
それにアリスが言っていたことを信じるのなら、
契約していない人間は殺さないのだろう。
リバーサル社は未契約者である母は『殺さない』はずだ。
「では……父にします」
「ほほうよくぞ決断してくれた!じゃああとはこっちで殺しておくんで、囚人だからあなたが殺すのは不可能ですからね」
(…………)
「じゃあそう言うことで、切りますね。おやすみなさい」
そう言って電話が切れた。
なんというか……あいつはアリスと違って、
『人の命を軽く考えている』気がする!
あいつは人が死ぬ悲しみを何とも思わないのか?
なんて最低な人なんだ!
せめてアリスが電話してくれたら、
きっとアリスも一緒に悲しんでくれただろうに……
だがこれで……もう俺は父には会えないんだな。
最後の死ぬ瞬間すら、見ることもできずに……
これは間違いなく人生史上最大の決断ですわ。




