第131話 南ひかりの重圧の責任(S!)
今回はサイドエピソードです。
私は……弱くてひどい人間だ。
目の前にいる人を救うことさえできない。無力な人間。
三上淳一君は私が小学生の時からずっと一緒だった。
小学生のころからずっと仲良しで、まるで幼馴染になったかのように。
いつしか頻繁に淳一君の家に行くようになり、そこで三上俊介君にも出会うようになった。
最初は俊介君を見て、少し緊張しちゃった。
「よっ……よろしく……お願いします……」
友達との関係が深ければ深いほど、
その人の家族との接するときに、緊張しやすくなってしまう。
「よろしくね!そんなに緊張しなくてもいいよ!」
「あっ……ありがとう……ございます」
私は俊介君が優しい人で、ちょっと安心した。
それからというもの、頻繁に淳一君の家に行き、
俊介君とも一緒に遊んでいくうちに、
気づけばクラスメイトのように親しくなった。
そして時がたち、私たちは高校生になった。
俊介君はもう大学生。
……でも……ここからが転落人生だった。
淳一君は……いじめられるようになった。
それなのに私は……幼馴染なのに……
淳一君を直接救うことはできなかった。
臆病だったから、こんな最悪な私なんて……『いなくなった方がいいのかもしれない』
日に日に元気がなくなっていく淳一君。
結局私は3年間、なにもできなかった。
そしてもう1つ、最悪なことが起きた。
それは私が……『俊介君に恋をしてしまったこと』
本当に私は最悪な人間だった。
淳一君はこんなにも頑張っているのに、あろうことか俊介君にも恋をしちゃうなんて。
わかりやすい言葉を使うなら、二股だろうね。
そこで私は、何度かそれとなく俊介君にアタックをしてみた。
結果は惨敗……俊介君は私のことに気づいていなかった。
これが因果応報なんだ。淳一君を救えなかった罰なのだと思う。
結局なにもできないまま、高校を卒業した。
そして私は就職した。
唯一の救いは、高校時代の成績が優秀なら、大学にいかなくても、
一部を除いた職場に簡単に就職できることかな。
私は問題なく働くことができた。
そしてある日……淳一君と……『初デート』をするときがきた。
私はとても嬉しかった。俊介君がこれなかったのが残念だけど、
それでも良かった。
だけど……最悪なことが……また起きてしまった。
淳一君が……交通事故にあった。
病院に搬送されたが……助からなかった。
ああ……これも因果応報なのね。
私が助けられないくそな人間だから……
ものすごく落ち込んで、そのまま帰った。
……だけど、落ち込んでいるのは、
俊介君も同じ。
だから葬式などが終わった頃合いを見て、
私は俊介君に会いに行くことにした。
だけど……様子がおかしかった。
最初は冗談かと思ったけど、どうもそうじゃないっぽい。
困惑してたところ、相手のお母さんがでてきた。
別の部屋へ移動して、2人きりになった後、相手のお母さんはこういった。
「俊介は……弟を失ったショックで、現実を受け止められなくなったみたい」
(……!)
そう……すべては私のせいだった。
いじめのときに、淳一君を救っていれば……
あのときに俊介君との恋に溺れなければ……
そして事故のとき……俊介君にもっと寄り添っていれば……
振り返るだけでいくつもの原因がでてきた。
その後の相手のお母さんの言葉が、あまり脳に入ってこないまま。
私は1つの決断をすることにした。
『しばらく……俊介君のそばを離れよう』
それはとてつもない悲しい決断だった。
私は思わず涙がでてきた。
でもこれは仕方ない。自分への戒めなんだ。
私は俊介君に一言別れを告げた後、
そのまま家を飛び出した。
ごめんね……こんな最低な人間で……
幼馴染だからこそ責任を感じやすいのかもしれませんね。




