第120話 俺ニート、アリスとパン完結編
主役はまさかのニート!?堕落した生活を送るニートに、ゲームに勝利し続けるとお金を稼ぐことができるという、神のゲームに参加!そのチャンスをものにするために、早速リバーサル社にて契約を交わした!
戦いに勝利し続け、快適な生活を送ることができるのか!
俺はてっきり、朝起きられない体質とか、
単純に朝はのんびりしたいから、トーストなどに頼ってると思ってた。
だから今まで、アリスに対してご飯にしてほしいということを、軽く要望として伝えていた。
……だが現実は違った。アリスは壮絶な過去を経験していたのだ。
「俺決めました。今まで通り朝にパンを出してきても、もう何も言わないことにします」
「ほ……本当ですか?」
「はい、さすがに壮絶な過去をお持ちの人を、悪く言うなんてできません。だから……これからは気にせず毎日パンを作ってください!」
「……淳一さん……」
だが一つ気になる。なぜアリスはパンを毎朝作る事情を『最初に説明しなかった』のだろうか?
普通配慮してほしいことがあれば、最初に言うべきだと思うが、ここが妙に引っかかる。
まあせっかく今は聞けるチャンスなので、聞いてみることにした。
「それにしても……そんな事情があるんだったら最初から言ってくれても良かったですよ」
「……えっ?」
「だって、アリスさんが言った朝が必ずパンになる理由は、全然恥ずかしい理由とか変な理由とかじゃないですから。全然最初の頃に言ってくれても納得できたと思います」
「それは……言うのが怖かったんです」
「どうしてですか?」
「中には、どんな事情であれ朝はパンはひどい!っていう人や、それは過去だから今は関係ねぇ!とか、理由さえあれば仕事をさぼれる!とか言われるじゃないかと……」
「安心してください。そんなこと言うわけないじゃないですか」
「いえ!いるんです!現に夫はそうでした!それに……」
「それに……?」
「別の働いていない方で、私のパンに文句を言う人は結構いるんです……」
「……もしかして、アリスさんが担当している別のニートのことですか?」
「はい……俺は朝は米が食いたいんじゃあ!って言う人が多いです。下手したら刃物まで持って脅してくる人までいるんです……」
「なんだって!?」
ニートの世界はそんなに物騒なのか?
……俺はじゃあ希少価値なのか?相手を優しくできるニートっていうのは。
「だからできるだけ……隠そうと思ったんです。本当の理由というのは……」
(…………)
「でも淳一さんは、個人的にかなり安心できる人だと思ってます。だから今回この場でパンのことを言うことができました」
「なるほど……そして安心できる人認定ありがとうございます」
「あの……他にパンのことについて聞きたいことはありますか?または要望でもいいですよ」
「いえ、特にないです」
「わかりました」
とりあえずこれで……アリスのパンの件は全て聞けたかな。
文句を言わないニートは、実はパン派だからっていうのがあるかもしれません。




