第118話 俺ニート、アリスのパンエピソード(前編)
主役はまさかのニート!?堕落した生活を送るニートに、ゲームに勝利し続けるとお金を稼ぐことができるという、神のゲームに参加!そのチャンスをものにするために、早速リバーサル社にて契約を交わした!
戦いに勝利し続け、快適な生活を送ることができるのか!
そして車を発進させた……が、
「うーん……困りましたね」
「ああ、渋滞にはまってしまったんですね」
まあ10分ちょっとではそんなに変わらないか……
俺たちは渋滞にはまってしまった。
「困りました……このままだと、夜にリバーサル社にいけなくなるかもしれません」
「夜も仕事なんですか?」
「はい……」
「じゃあ、今秘密の話し合いしましょうか。そうすればホテルについたらすぐにリバーサル社にいけますので」
「いいんですか?私のために?」
「はい、仕事は仕方ないです」
だってニートは仕事に口出しする権利ないもん。
「ありがとうございます!」
「それでは、早速始めましょうか」
どれぐらい続くかわからない渋滞の中、
俺たちは秘密の語り合いを始めた。
「じゃあまず俺から行きますね。アリスさんが朝にパンしか作れない理由を知りたいです。朝以外は普通に料理が作れるのに、なぜ朝だけパンになるんですか?」
「……わかりました。お話します」
(…………)
俺は少々緊張しながらも、アリスの話を聞くことに専念した。
「実は……パンしか作れないのは、全て『私が悪い』んです」
「……?どうしてですか?」
「私が……もっとしっかりしていれば……こんなことにはならなかったんです」
「そうなんですか……」
「これは昔の話なんですけど、私が別の場所で働いていた時に、夫と2人で暮らしていたんですが……最初は仲が良かったんですけど、段々と悪くなってきて……」
(…………)
アリスは結婚してたのか。
ちょっとびっくりした。ある意味これも隠れた秘密の話だな。
「そして仕事はシフトがばらばらなので、早い日にでることも多かったんです。そしてその日はどうしようもなくて、パンを用意してすぐ出発してました」
「なるほど」
「ただある日事件が起きまして……夫が朝にパンを出してきたことに……『激怒』したんです。
もともと夫は朝はご飯派で、不満自体はちょくちょく言っていたのですが、仕事の都合上どうしてもパンになってしまう日がありまして……それで激怒した夫が、いきなり私に『殴りかかって』きたんです」
「……!なんですって!?」
「それで私の顔はあざができてしまいました……」
「それは……辛かったですね。警察には相談したんですか?」
「いえ……怖くてできなかったんです。もし警察に通報したら、私殺されちゃうんじゃないかなって」
「……なるほど」
国内のDVに対しての罪は非常に軽く設定されている。
そのため、釈放後に恨んで殺害するケースを考えてしまうのは無理もない。
はい。アリスパンしか作れないの担当者失格やろって思った人は、心の中で謝ってもらえると幸いです(笑)




