第9話 かけつけた竜
アリオのライオンは強かった。
縦横無尽にかけて、敵を翻弄し。
武器だけを上手に取り上げていく。
密猟者は怪我をしなかったが、完全に気圧されているようだった。
「うわぁぁ!」
腰が引けていた密猟者達は、泣きべそをかきながら神様とか母親に祈っている。
けれど、竜なんて巨大な生物を狙おうと考えるだけの実力が彼等にはあったようだ。
少し追い詰めすぎたらしい。
背水の陣だと思った彼らは、気を取り直して反撃をしてきた。
「借金まみれで故郷から追い出された俺にはもう後がないんだ」
「恋人を寝取られた上に、領主のボンボンに殺人の罪を負わせられた俺に買えるところなんてあるかよ!」
「仲間に裏切られた俺には、もうこんな道しか残されてないんだ!」
なにやらそんな背景を語りながら、突撃してきた。
同情の余地はありそうだが、だからといってここで退くわけにはいかない。
「ガルルッ」
ライオンを取り囲む彼らは、もう怯えたりはしなかった。
「うわっ、大変だ。どうしよう。レオ、大丈夫かな」
アリオが自分のパートナーの名前を呼んで心配している。
「はーはっはっは、形勢逆転だぜ」
「だーっはっはっは。これで俺達の勝利は目前!」
「ぐわーっはっはっは。一攫千金も夢じゃねけな!」
一方、相手は完全にもう勝ったきでいるようだ。
「そっちの女は見た目がいいから、後でお楽しみさせてもらおうか」
「げへへ、酌でもさせようぜ」
「それか奴隷に売り飛ばすのはどうだ?」
「なっ、お嬢をお前たちなんかに渡すもんか。そんな事させないぞ」
ピンチどころじゃなくて大ピンチになっていた。
今逃げても、きっと見逃してはもらえないだろう。
あんな事やこんな事なんて、大変な事されるフラグが立ってしまっている。
乙女ゲームの世界なのに、男性向けのギャルゲーの世界になってしまう。
冷や汗をかいていると、上空から巨大な影が近づいてきた。
それは傷ついた竜だった。




