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7話~真実、俺の叫びは矛盾している。~

弥生「おい、師走。こっち来い。」


如月「師走くん!こっち!」


木陰さん「咲良くんこっちだよー?」


弥生「木陰、何言ってんの?師走は僕のものだよ。」


如月「違う!私の!」


木陰さん「2人とも何言ってるの?咲良くんならこっち来てくれるよね?」


弥生「僕だよな?」


如月「私だよね?」


あわわ!選べない!


けど、幸せ!


夢叶「お兄ちゃん何してるの。」


ハッ!!


視界が見覚えのある天井に変わった。


「お兄ちゃん起きて!」


......なんだ夢か。


夢叶。ダジャレかって。


ゴールデンウィーク。2日目。


5月3日。6時30分。


それはいつもより早い起床だった。


「お兄ちゃん起きてー!」


「んん......うるさっ!ちょっ、わかったわかった起きるって!(やかま)しい!」


夢叶はメガホンを使って大きい音をたてて俺を起こしてきた。


「起きればそれでよしなのだ。」


そう言いながらも夢叶もくわっと欠伸をする。


「お前も眠たいんじゃねーかよ。なんでこんな早く起きる必要があんだよ。」


夢叶は、見抜かれたか!と言わんばかりに驚くと、ごほんごほん。とわざとらしく咳き込んだ。


「陽向さんと木陰さんが来てるので朝ごはんをつくってもてなすのです!」


夢叶が小声で良いことしてるなぁとか言ってるが、それ言う時点で良いことはしてない。


「ってか、お前それ初日からやれよ。」


俺が正論をぶつけると、夢叶は目線をそらす。


「その、昨日は忘れてて......きょ、今日から毎日やろうとしてたの......」


あー、寝坊したんだな。わかったわかった。


「なるほど、わかった。でも、俺も起きる必要はないんじゃないか?」


俺は悪い笑顔で夢叶に問うと、


夢叶が頬を膨らました。


「ねえ、それわざと聞いてるしょ。夢叶が料理苦手なの知ってて言ってるしょ!」


そう、夢叶は料理がかなり苦手なのだ。


てへ!ばれちゃった!うふふ。


怒ってる夢叶も可愛いのでつい怒ってる姿が見たくなってしまったのだ。


あとで可愛いよとか言っときゃ機嫌が治る。


「怒ってる夢叶も可愛いよ。」


「......もう一回言って。」


「可愛いよ。」


「もうお兄ちゃん大好き!」


夢叶が抱きついてきた。


ほーら機嫌良くなった。


もう可愛い。なんで、夢叶が妹なんだろうって過去に何度思ったことか。


朝からイチャイチャして楽しみ、一緒にリビングに行く。


リビングに入ると、そこには既に弥生と木暮さんがいた。


「あれ?陽向さんと木暮さん起きてたんですか?」


すると弥生がいつも通りの男口調で答える。


「そりゃそうだ。あんな大きい音が聞こえたら寝れるわけがないだろ。」


そんな男口調のせいか、夢叶は少しビビり、ごめんなさいごめんなさいと精一杯謝る。


「まあまあ2人とも気にしないで!早起きは良いことだし!……もう陽向、その口調やめた方が良いって言ったじゃーん。」


やっぱ木暮さんは凄い。一瞬で双方を(なだ)めた。


木暮さんのコミュニケーション能力には小さい頃から驚かされていた。


木暮さんに初めて会ったのは10年ほど前で、木暮さんが12才位の時に会った。


もうその時から「優しいお姉ちゃん」という印象があった。


その時はまだ、弥生も今ほど刺々しくはなかった。


「無理にかわる必要ないじゃん。」


「違うの陽向。」


「違くない。僕の事なんだから別にいいだろ……」


「そう、だよね。ごめんね陽向。」


弥生はまだそっぽを向いたままだ。


正直、意外だな。と思った。自我の強い妹と、陽気な姉。


2人とも、今みたいに暗い空気になるようなタイプではないと思ったいた。


だが、よく考えてみれば、


空気に合わせない妹と、空気の読める姉。


そりゃこんな空気になって同然だとも思う。


姉は妹との暗い空気を察し、それに合わせる。


妹は姉の明るい空気に合わせない。


それが同時に起きたことによって、今のような空気が生じる訳だ。


流石に気まずいと思ったので1つ提案することにした。


「あの、せっかくみんな揃ってるんだし、みんなで朝ごはん作ればいいじゃねーの?」


まず最初に反応したのは夢叶だった。


「良いね!みんなで作ろう!」


続いて木陰さんも反応する。


「いいね!そういうの!レッツクッキング!」


もうほんと陽気な人はすぐ英語使いたがるよな。


特に上位グループの女子な。


英語使いたガール。


あらやだ。私も陽キャね。


弥生は黙ったままだ。


「おい弥生、お前はどうする。」


それでも、弥生は黙ったままだ。


弥生は俺対してシカトしているように周りからは見えているかもしれない。


だがそれは否、無視ではない。


さっきまで暗い空気だったのに急に明るい提案をされてもすぐに答えなんて出るわけがない。


俺は空気の読めない発言をしてしまったかも知れない。


だが、それを狙っていた。


弥生を更正するために。


更正するためには弥生が1人で抱え込んでいる事から変えなければならない。


だから、俺と弥生との関係を良好にする。


今まで俺が関係を良好にしようとして、1度でも成功したことがあっただろうか。


ない。だから、うまくいくかどうかわからない。


じゃあ絶対にやる必要はあるのか。


それもどちらかというとない。俺は今まで通り、1人で誰にも迷惑をかけないように生きていけばいいだけだ。


でも、弥生は違う。ああ見えて、俺ほど心が強くない。


弥生は強がってるだけだ。


弥生は1人で抱え込み過ぎている。


弥生が強がってるだけだというのは、さっきの木陰さんとの会話を見てて確信となった。


本当に俺は変わった。


迷惑をかけるリスクのあることを意識してやるのは初めてだ。


前々から弥生に声をかけるタイミングを計っていたが、今が最大のチャンスだ。


俺は目で木陰さんと夢叶にキッチンに行くよう指示をする。


こかさんが察してくれたのだろうか、夢叶とキッチンに消えていった。


リビングには俺と弥生だけ。


言うなら今だ。


「弥生、強がんなくていいんだぞ。」


弥生がはっとする。


「あの時だってお前が悪かった訳じゃない。かといって俺が悪かった訳でもない。お前も気付いてただろ。」


弥生はなにも言わない。


「だから、罪を被せられるのがイヤなら、耐えなくていいんだ。人に迷惑をかけないようにして、お前が耐えきれてないなら、別に迷惑かけてもいいんだぞ。」


弥生はまだ何も言わなかった。


だが、俺はもう言うべきことは言いきった。これ以上言うと傷つけるだけなのでもうこの事に関しては何も言わないことにした。


そして、俺は弥生に告げる。


「どうする弥生。お前も朝ごはん、作るか。」


口こそは開かなかったが、弥生は頷く。


きっと声を出さないのには理由があるのだろうけど、そこは察しないことにした。


「先、行ってるぞ。」


俺がキッチンの方に行こうとしたその時だった。


「……とう。」


弥生の声だろうか、何か聞こえてきた。


「ん?なんだ?」


「その、ありがとう。」


それは落ち着いた声で、女々しさがあった。


「俺はなんもしてねーよ。」


本当だ。俺は無理矢理弥生に近付こうとしただけだ。


弥生の為になるような事は一切していない。


でも、今回は誰にも迷惑をかけていないような気がする。


変わることはないと思ったいた俺だが、意外と変わることもあるんだな。と思った。


だが、まだ突っかかりが残っている。


それは、


俺が弥生に言った事が、矛盾しているということだ。



§



なんだかんだで、結局1時間もかけて、朝食が完成した。


あれだ。予想以上に夢叶がてこずっていたのが要因だ。


俺が知ってた妹はもう少しましだったはずなんだけどなぁ。


やっぱ、人の変化って面白いな。


今日の朝食はスクランブルエッグ、ウィンナー、焼き魚、味噌汁、白米だ。


夢叶はスクランブルエッグ担当だった。


俺、スクランブルエッグで焦がしてるやつ初めてみたぜ。


お兄ちゃん悲しい。


夢叶よ、これ以上兄を悲しませるな。


他の献立は素晴らしい。


焼き魚の微妙な焼き加減。白米のちょうどいい固さ。味噌汁の絶妙な味噌の風味。そして、タコさんウィンナーを作った人の素晴らしい器用さ。


もう最後は味関係ないんだが。まいっか。


ウィンナー切ったの誰だよ。器用すぎだろ。


はーい!俺でした!こう見えてわたくしかなり器用なんです。


だって、小学生の頃とか遊ぶのあやとりとかそんなもんしか遊ぶのなかったんだもん。


今ではあやとり名人です。


なんかのびのびしてそうな名前な奴みたいだな。


そして、朝食を食べ終える。


もう8時になっていた。


俺の以外は食っちゃべって一向に動く気配がないので、俺は1人でキッチンに行って食器を洗いにいった。


クレンザーとやらを駆使し、俺は次々と食器を洗っていく。


にしてもあれだな。いつもは食パンだから食器洗いはここまで手間かからないんだよな。


いつもは5分あれば食器洗いは終わるのだが、


今日はもっとかかりそうだ。


すると隣から声が聞こえてきた。


「あ、あの、その、僕手伝うぞ。」


声の持ち主は弥生だった。


「別にいいぞ、お前ら何してんだがわかんねーけど、夢叶達といていいぞ。」


これは優しさのつもりで言ったのだが、弥生は目を剥く。


「ちげーよ。強制的にあんたの所に連れてこられたんだよ。」


ああなるほどわかった。何かゲームしてて罰ゲームで俺の所に来たんだな。


罰ゲーム。か。


小学生の頃にもそんな経験があったな。


「ババ抜き負けた奴師 、師走に話しかけて来いよ!」


「よし、わかった!」


そして勿論負けた奴が現れる


「お前負けだから罰ゲームな!」


「えーまじかよーやだよー。」


そしてその罰ゲームの子は大泣きする。


これがもう心に突き刺さった。


俺の方が泣きたいよ。


騒ぎを聞きつけ先生が来るのだが、


泣いてる子には怒らなかった。


ちょっと?先生まで俺をいじめるんですか?


不登校になろうとか思ったけど俺の場合どっちにしろあんま変わんないからいーや。


下手したら師走の家にピンポンダッシュとかになりかねない。


それ、俺をいじめてるんじゃなくて師走家をいじめてることになるからな。


ちゃんと考えてからいじめろ。


いじめる必要のある奴だけにしろ。


いやいや、いじめはダメだよ。


もう、スクール相談センターとかに電話するべきなのだろうか。


あの、月に一回位貰うちっちゃい紙。なんかよく名刺交換の真似する奴絶対いるの。


なにあんたら会社につこうとしてる?


社畜になりたいの?


当時社畜という単語を知ったいたのは俺だけだった。そりゃそうだ。


弥生がこんなに恥ずかしそうにしているのは、きっとさっきの事があったからだろう。


「おい弥生、さっきは申し訳なかった。」


弥生がびくんと反応する。


恥ずかしさを増させてしまったか。弥生が余計に顔を染める。


だが、その答えは予想を外れていた。


「いや、謝る必要なねーよ。その、あの、ちょっと格好良かった。」


後半はかなり小さい声だったが、周りが静かだったので聞き取る事ができた。


なんか、照れる。けど、俺はそんな格好いいこと言ってない。実際、言った事を俺は出来てるかというと否だ。


あの叫びは矛盾していた。


弥生を勇気付けたのは弥生自身だ。


だから、格好良いのは俺じゃない。


「まああれだ。お前のその生き方。ちょっと好きだぞ。」


弥生は顔をこれ以上真っ赤にならないくらいに染めていた。


それはどんな感情なのか俺にはわからない。


わかったとしても、それが正解では。


そうやって早とちりして今まで失敗してきたんだ。


弥生は俺の肩をぺちぺち叩いてくる。


「ちょっなに言ってんの!?ちょっと!」


それは、いつもほど恐くは見えなかった。


むしろ、少しだけ可愛く見えた。



§



スマホを見るともう9時になっていることがわかった。


疲れたので、大通公園にでも言って休むか。


1人でバレないように玄関に行くと、夢叶レーダーが反応してしまった。


「あ!お兄ちゃんどこ行くの?」


「散歩だよ。」


「夢叶も行く!」


正直、夢叶は来るのはいいんだが、いやむしろ大歓迎、


だか、こうなると厄介なのが、


「夢叶ちゃん行くなら私も行きたーい!」


そう、木陰さんだ。本当にこの人成人してるのか?ってくらい幼い。


木陰さんが来るとなると残ったのは弥生だ。


「弥生、来客をお留守番させる訳にはいかない。お前も来い。」


「わかった。じゃあ行くよ。先出てて。」


「おう。」


結局、1人で息抜きしにいく予定だったのだが、4人でお散歩になってしまった。


仕方ない。弥生さんたちも札幌市に住んでる訳じゃないし、適当に案内してやるか。


俺達はまず大通公園に行った。


ゴールデンウィークだからか、沢山の人が来ていた。


なんらかの催し物も行われている。


大通り公園をしばらく歩いていると、


長蛇のこどもの列が並んでいた。


そう、札幌市民なら誰もが知る、「変な黒い滑り台」だ。


「夢叶乗って来ていーい?」


「私も行く! 」


中学生と大学生が走っていった。


はあ......大人気ない。


同じような溜め息が弥生からも聞こえてきた。


「ほんと、バカバカしいよね。」


それは、弥生の独り言なのか、俺に同意を求めているのかわからなかったが、おれは「そうだな。」と返した。


気が付けば夢叶達が次に滑ろうとしていた。


夢叶が行くよー!と言い、木陰さんが手を振ってくる。


俺と弥生は1度顔を見合わせて、ふっと笑いじみた溜め息をして手を振り返した。


彼女らは楽しそうに滑ってくる。


周りからの白い目が痛い。


降りてきた彼女達は一目散に俺達に駆けてきた。


「楽しかったよ!お兄ちゃん!」


夢叶がキラキラしながら俺をみてくる。


「おう。見たらわかった。」


俺は素っ気なく返す。


「楽しかったよ!陽向もやれば?」


木陰さんは弥生をいじってた。


「え!?僕はやんねーよ。」


案の定、弥生は焦っていた。


存分に楽しめたようなので大通公園を後にする。


「ああ、どっか行きたい場所あるか?」


「夢叶、サツエキ行きたい!」


札幌駅である。


「お前じゃねーよ。弥生姉妹に聞いてんだよ。」


夢叶がふてくされてると、木陰さんがアシストする。


「あ!じゃあ札幌駅で良いよ!私達、あんまりわかんないし。」


まあそれもそうだな。


「じゃあ、ちょっと歩くけどサツエキで良いか?」


俺の言葉に一同が頷く。


数分歩くと札幌駅が見えてきた。


札幌駅はリア充の聖地だ。


ショッピング街があり、フードコートがあり、映画館があり、もうカップルとか友達集団が沢山来る。


だから俺はあまり札幌駅が好きじゃない。


「映画みよ!映画!」


夢叶が目を輝かせながら皆を引き連れていく。


いや、もう夢叶メインになってるし。


まいっか、弥生姉妹も楽しめてるし。


「師走くん?」


どっかから俺を呼ぶ声が聞こえてくる。


その声は久しぶりに聞く声だった。


そう、如月真夏だ。


「おう、久しぶり、だな。」


「うん、久しぶり、だね。」


「ねぇねぇこの人、知り合い?」


夢叶が俺の袖を引っ張ってくる。


弥生姉妹もこちらを見ていた。


「まあ、そんなもんだな。少し話したい事があるから、悪いけど先いっててくれ。」


「りょーかい!」


夢叶が敬礼してくる。


「妹さん?」


如月が問うてきた。


「ああ。」


如月は質問を重ねる。


「じゃあ、後ろの2人は?」


「幼馴染みとその姉だよ。」


「そっか、仲良さそうだね。」


その如月の表情は暗く見えた。


「お前は何を?」


「ああ、私は待ち合わせ。」


待ち合わせ?如月が?


誰とだろう。


「誰と?」


「水無月和真と。」


その声は辺りの声を掻き消した。


俺はすぐに理解することが出来なかった。


そして、水無月和真の存在を


この時はじめて知った。

次回!新キャラ現る!


そして、物語が、またまた動く!


今回も読んでいただきありがとうございました!


......あと、昨日出せなくてごめんなさい。


インフルエンザとの闘病で疲れてたのか、途中で寝てしまった!


11時までは起きてたんだ!


まーごめんなさい。


次回もお楽しみに!


以上、札幌市内のカフェにて、榊原神でした。

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