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5話~そうして、俺はまた同じ失敗を繰り返す。~

まだこのシリーズを


1度も読んだことがない方は


プロローグから見ることをお薦めします。

 俺は今、駅前の喫茶店、「アモーレアマロ」に呼び出されていた。


 俺は待ち合わせ時間の5分前に来たのだが、彼女は時間通りに来た。


「ごめん、待った、かな?」


如月真夏(きさらぎまなつ)だ。


「いや、待ってない、気にすんな。」


 実際は5分待ったのだが待ち合わせ時間より5分早く来たのは俺なので別に気にしない。


 如月がなぜか立ったままなので、手で座れと合図をする。


 なんか、結婚の報告を受けているお父さんみたい。


 お前に娘はやらん!


1度言って見たかったんです。ごめんなさい。


 そして、しばらく沈黙が続く。


俺達が一緒になると沈黙になるってことは多いな。


 俺は普段静寂は好むが、沈黙は好まない。


 静寂と沈黙の違いはあまりよくわからない。


わかるけど、それは感覚的なものでうまく説明出来ない。


 「あ、あのさ、さっきはなんて言おうとしてたの?」


如月も気まずいと感じたのか、震えてはいるものの俺に問うてきた。


「もう少し考えをまとめたいから時間をくれ。帰りに話す。」


 これは嘘だ。考えなんて、とっくのとうにまとまっている。


 ただ、今この話をするとお互い面倒な事になるだろう。


 せっかく誘ってもらったのにそれは失礼だ。喫茶店では楽しい話でもして、如月の話し相手になってやろう。


 これが、俺のできる最大限の優しさだ。


「そっか、そうだよね。じゃあ私も帰りに言う。」


俺の言いたい事が伝わったのか、如月も話に乗ったようだ。


 「喫茶店だし、なんか頼むか。」


俺が提案すると、如月は「うん!」と元気よく(うなず)いた。


 その姿は実年齢よりも幼く見えた。


如月はメニュー表を広げてキラキラした目でこれかな?やっぱこれかな?とゴニョゴニョ言いながら選んでいる。


 俺はチョコケーキを頼むことにした。


師走家は全員甘いものが好きなのだ。


 一方で如月はまだ悩んでいる。


「これは高いけど美味しそうだな......」


 なんだそんな事か。


「お金は気にしなくて良いぞ、奢ってやる。」


「え、いいの!?」


「イヤじゃないならな。」


「イヤな訳ない!ありがとう。」


 如月が更に目を輝かせた。そして、メニュー表に目線を戻す。


こいつも甘いもの好きなんだな。


 「じゃあこれ!」


そういって如月はメニュー表にある写真を指した。


~スペシャルスイーツケーキ ¥1450~


 ちょっ、それは流石に高過ぎだろ......


まいっか、今まで1週間、如月には迷惑かけてきたしな。


お詫びって事で。



§



 「お待たせ致しました、こちらがチョコケーキと、スペシャルスイーツケーキです。ごゆっくりお過ごしください。」


ごゆっくりお過ごしください。というのに、私達カップルだと思われてないか?と思ったのだろうか、


如月が俺をみて笑ってきた。


「ごゆっくりだって。」


「そうだな。」


それにつられて俺も笑う。


 「さあ、食べるか。」


「そうだね。」


如月が手を合わせて口の動きだけでいただきますと呟き、ニコニコしながらフォークをとった。


 あれ?写真撮って映えるぅ~とか言わないの?


やっぱり、如月は上位グループの奴じゃないんだな。


 でも、なんでだろう。こんなに愛想がいいのに、なんで1人でいるんだろう。


 まあそれは俺には関係ない。俺にも俺の過去があるのと同じで、彼女にも彼女の過去があるんだ。


俺がそれを気にする必要もない。


如月はケーキの2分の1を食べ終えていた。


好き食べ物はめっちゃ早く食べ終わる。


これはよくある事だ。


「お前、ケーキ食うの早いな。」


俺は褒めたつもりだったのだが、なぜか如月は頬を膨らませる。


「な、なんでそんなこと言うのさ!」


「なんでキレるんだよ。」


微笑混じりで俺は言うが、如月はそっぽを向いたままだった。


あ、あれか?もしかして、太ってる的な意味で捉えられたか?


「えっと、なんか、変な意味で捉えたなら、悪かった。」


「い、いや別にもういいし。」


そう言いながらも、如月はまだそっぽを向いている。


と、思ったのだが、急に元気に戻り、視線もケーキに戻った。


もう、こいつわかんねーや。


 なんだかんだで、先に如月がケーキを食べ終えた。


それに続いて俺も食べ終える。


 その後は1時間ほど如月の雑談の相手をしていた。


相手すると言っても、そうだな。とかなるほど。とか適当に返しただけだ。


 それでも、如月は楽しそうに俺に話しかけてくる。


如月がいいなら、俺もそれで良い。


 「もうそろそろ帰るか。」


俺がそういうと如月も「そうだね。」と同意する。


2人でレジに向かう。


「お会計は2100円になります。」


げっ、お金足りるかな。


俺が財布をあさると、丁度2100円あった。


レシートを貰うと、レシートをポケットに突っ込んだ。


ここから家の近くまでは20分ほどかかる。


最初の10分はなにも話さなかった。


そりゃそうだ。さっきの如月のあんな笑顔を見たらこんな話切り出せる訳がない。


このままなにも起きず帰れたら、お互いに気分が楽だろう。


そして、もっと話しやすいときに話し合えるだろう。


10分たったころ、意外な事に、如月の方から口を開いた。


「あのさ、昼休みに言おうとしてた事って何?」


覚えてたんだな。


ただ、向こうから聞いてくるなら言いやすい。


おれはふうっと、1呼吸おいた後、立ち止まり考えを言った。


「如月、俺と無理して関わろうとしてるなら、もうやめても良いんだぞ。」


すると、如月も立ち止まった。


「無理なんか、してないよ。」


予想通りの解答だ。


だが、これは本当ではない。


「嘘はつかなくて良い。お前ならわかってくれると思うけど、ぼっちは人に迷惑をかけることが嫌いなんだ。」


「嘘なんて、ついてない。」


その声は微かに震えていた。


「迷惑もかけられてない。」


「如月がこれ以上俺と関わろうとすると、お前にもっと迷惑かけることになる。」


「そんなのまだわからないじゃん。」


如月が俺の方に振り返る。


如月の目には涙が溜まっていた。


「いや、わかるんだ俺の経験上そうだ。いっつもそうだ。俺が親しくしようとすると、みんな嫌がる。」


「違うよ、今回は違う。どうして、師走くんはそんなにネガティブなの?」


ネガティブではない。人に迷惑をかけないように生きている。


だから、ある意味ポジティブなんだ。


「お前はなにもわかっていない。」


「わかってないのは、師走くんの方だよ。」


その声は春風の音さえも聞こえるほどの声量だった。


そして、その吹いている風は春風なのに、暖かくなかった。


「私は、師走くんの適当な所とか、変に頑なな所とか、意外と優しい所とか、全部受け止めてた。それが迷惑だなんて思ったことない。けど、今は迷惑。」


俺はなにも言い返すことが出来なかった。


「もうさ、お互いに猫被るのやめようよ。私、もっと師走くんの事知りたい。もっと一緒にいたい。師走くんは変わらなくていい。迷惑かけたくないなんて思わなくていい。私は、素の師走くんと仲良くなりたい。」


俺はただ茫然(ぼうぜん)としていた。


俺はなにも出来ない。変える事なんて出来ない。変わる事なんて出来ない。


だから、素の俺なんていない。


俺には彼女をどうすることも出来ない。


「あのさ、もう私この際だから言うけどさ。私、師走くんのこと......」


その時だった。


「咲良、乗ってくか?」


1台の白い車の窓から見覚えのある顔が覗いている。


父だ。


助手席には母が、後部座席には夢叶が座っている。


「悪い。また今度にしてくれ。」


俺は如月に別れを告げると車に乗り込む。


その今度はいつなのだろうか。


車がすすむに連れて、如月は小さくなっていった。



§



家族4人で車に乗るのは久し振りだ。


「おい、今の可愛い子は彼女か?」


「そんな訳ないだろ。ただのクラスメイトだ。」


「そっか、悪かったな。」


一体、俺達の関係性はなんなのだろうか。クラスメイトとは言ったものの、少し悩む。


まあ、もう関係ない。


「で、みんなはどこにいってたの?」


「ああ、言ってなかったか。」


父は驚いたような口調で俺に言う。


弥生(やよい)さんの家だよ。お前の幼稚園の頃の幼馴染みの。」


弥生陽向(ひなた)。その名前には聞き覚えがある。


「......」


あまりにも驚いたので黙り込んでしまった。


「もしかして、お前も会いたかったか?」


そんな訳ないだろ。あいつは、俺が最も会いたくない相手だ。


「いや、別にいいよ。」


「そっか。」


その後、家に着くまで誰も口は開かなかった。



§



 家に着くと、俺はすぐさま自分の部屋に行った。


そして、スマホを確認する。


如月から、新着メッセージが来ていた。


「今日はなんかごめんね。ちょっと感情的になっちゃった。私よくこう言うの多くてさ。だから友達とか出来ないんだ。あれから考えたんだけど、師走くんの言ってる通りにする。

私が迷惑かけてたんだね。ごめんね。」


 なるほど、だから如月は友達が出来なかったのか。


でも、納得はいかない。


なんでそれだけで友達をやめるのだろうか。


苛立(いらだ)ってきた。


......どうした、俺。


絶縁したんじゃないのか?


 もう俺には俺がわからなくなっていた。


理想の自分なんて夢に過ぎない。


理想の自分なんてものは手に入れることはできない。


自分は自分でしかない。


そして、同じように如月は如月だ。


 人の事なんて、俺にはもう、関係ないんだ。


知ってると思っていたが、俺はなんにも知っちゃいなかった。


 そして俺はまた決意した。


もう、あいつの事は気にしない。


何度目だろうか。前にも決意してたのに。


 俺は俺が嫌いだ。


 スマホでメールアプリを開き、如月とのトーク画面を開く。


最後に気になる事を如月に聞く事にした。


俺はできるだけ早く文字を打つ。


             「1つ聞いて良いか?」17:23


「なに?」17:23


「どうしたの?」17:27


     「お前、さっきなんて言おうとして

      んたんだ?なんか良いかけてただろ。」17:29


「もう、なんでもない」17:36


             「そっか。じゃあな。」17:38


「うん。」17:39


 そしてスマホをしまう。


スマホをしまうと、紙のくしゃっという音が鳴る。


 何をしてるんだ俺は。


迷惑かけてんじゃねーかよ。


 結局これだよ。


俺の過度な優しさが、誰かを苦しめる。苛む。


誰か、俺を戒めてくれ。


 もう、俺なんて、


俺なんて、


どうでもいい。



§



 そして、俺達はしばらくの間、


会って、話すことはなかった。

今回も読んでくださりありがとうございました!


いやもう、具合悪かったんでベットから出られなかったんです。


そうするとかなり暇だったので


今日中にまた投稿しちゃいました。


誤字とかあったらごめんなさい。


ご指摘ください。


さあ、5話でした。


いかがだったでしょうか。


前回と引き続き、少ししんみりとした回になったのではないでしょうか。


咲良と真夏のすれ違い......


読むだけだハラハラするような作品に衝突思ったんですがどうでしたか?


もうね、自分だったらって思うとウズウズしちゃいますよね。


一章も佳境へ向かいました。


まだ5話なのに。


でもこれだけじゃまだ終わりません。


まだまだ一章、何が起こるかわかりません!


今後も乞うご期待!


感謝コーナーです!


お母さん、ありがとう。薬吐き気止め買ってきてくれて。


おかげさまで少しだけ元気になりました。


鈴木さん、メッセージありがとう。お前もインフルかかんなよ。


読んでくださった皆様、身内ネタごめんなさい。


もう読んでくださったのにこれは失礼でしたね。


どうかご許しをー!


えっと、皆様あったの「こんな暮らしはイヤだ!」です。


本当にありがとうございます。


今後もお願いします。


わたし。さん、感想ありがとうございます。比喩表現!


と思って頑張ったんですが、


難しかったです......もっと頑張ります!


前回のあとがきで新キャラとか言ってたんですが、


ちらっと名前しか出てきませんでしたね。


ごめんなさい。誤差です。


正確には6話です。


ほんとにごめんなさい。


それでは、6話と新キャラお楽しみに!


See! You! Again!


___クリスマスの夜。自宅のベットにて。

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