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13話~どうやら、佐藤霜月と佐藤霜降は無関係らしい。~

ドッペルゲンガー。


それは、自分自身の姿を自分で見る幻覚の一種であり、「自己像幻視」とも呼ばれている。


本来それはオカルトには関係ない話なのだが、


人々は、それを見ると近い内に死ぬと言われている。


だが、果たしてそんなものは存在するのだろうか。


幻覚であるだけで、実際に存在する事はないであろう。と、考える。


それが覆させれる出来事が、


今日、俺の見に起こった。



......あ、ホラー要素はないよ?

土曜日、それは俺のハッピーデーだ。


なぜかというと、俺は毎週土曜日にゲーセンと言う名の聖地に行くからだ。


中学生の時、気分でバスケ部に入ってしまった俺は、最初の2、3ヶ月はちゃんと部活に行っていた。


だが、そこから魔が差し、サボりたい。という感情が芽生えてしまい、部活は基本休むようになった。


で、土日の部活はどう休んでたかというと、ゲームセンターだ。


本来、中学生が単独でゲームセンターに行くのは校則でアウトなのだが、背が高かった俺は高校生、或いは大学生のふりをしてゲームセンターに行っていた。


それで、今に至る。


最近はラノベとアニメにもハマったのでゲーセンに行くのは週に一回になった。


高校生になった今や、校則なんぞ気にせずゲーセンに入れる。


ゲーセンで何をするかというと、俺は基本いろんな事をする。


いつ同じ学校の生徒に出会っても怪しまれないように、しいゲームはしていない。


そういうのは家で自分の部屋で夜にやるのだ。


ということで、俺はゲーセンに向かった。


今行こうとしてるゲーセンはサッポロファクトリーという複合商業施設の中にある。


サッポロファクトリーにはゲーセンだけでなく、映画館、ショッピング街、フードコートが入っていて、青春を謳歌せし中高生にはもってこいだ。


だが、中学生で青春の不要さを知った俺は違う。


俺はゲーセン目的だけにサッポロファクトリーに行くのだ。


サッポロファクトリーのゲーセンは小さく、近くにもっと大きいゲーセンがあるのだが、そこにはリア充共がわちゃわちゃいるのでいかない。


ここぐらいのゲーセンの規模だとリア充共は来ないのだ。


ちなみに、サッポロファクトリーを和訳すると札幌工房です。どうでもいい。


そうこうしている内に、サッポロファクトリーに到着した。


ゲーセン内を確認する。


よし、2、3人しかいないようだ。


俺はいつもやる太鼓の音ゲーをすることにした。


このゲームは小さい頃からやっているので、かなり上手い方だと思う。でも残念な事にそれを自慢する相手がいないのだ。


いつも通り1ゲームを終え、違うゲームをしようと後ろを振り返ると同年代の少年が立っていた。


「師走くんってゲームも上手いんだね!」


この少年は俺の名前を知っているようだ。


見覚えのあるようなないような顔だが、きっとどこにでもいそうな顔だからだろう。


「えっと、誰?」


俺が問うと少年は目を丸めた。


「え!?俺だよ!佐藤霜月だよ!同じ学校の!前にあったしょ。師走くんは運動神経が凄いって有名なんだよ?」


まじか、俺ってそんなに有名なの?まいっか。


佐藤霜月か。確かにそんな奴がいたような気がするけど、誰だっけ?あったことはない気がする。まあ、違うクラスの事は知らないからな。にしても、なんか聞いたことあるな......


「お前か、悪い悪い。」


俺は佐藤を知っているかのような演技をした。


「師走くん!俺にこのゲームのやり方を教えてくれよ!」


佐藤が目を輝かせながら俺を見てくる。教えてって言われても、ほぼ初対面の奴だから困る。


「教えろって言われても、教えるも何もないぞ?」


俺が言っても尚、佐藤は目を輝かせたままだ。


「でも、なんかはコツあるんでしょ!?」


佐藤がかなり熱心なので少し構ってやる事にした。


「はあ......1回やってみろ。」


「えっ!?いいの?ありがとう!」


佐藤が目の前ではしゃぐ。いや、いいから早くやれよ。


はしゃぎ終えた佐藤が俺を真っ直ぐね目で見てくる。


「どうかしたか?早くやれよ。」


俺が聞くと佐藤は指をいじりだした。


「その、お金なくてさ。」


佐藤がテヘッと舌を出して言ってくる。やめろよそれ、可愛くないから。


っつーかお金ないのになんてゲーセン来たんだよ。


「貸せばいいのか?」


俺が聞くと佐藤はまだ困った表情のままだ。


「返せないかも知れないけど、いい?」


「それはアウトだろ!」


思わず心の声が口に出てしまった。


「あげるは流石に無理だ。そこまで俺は優しくない。」


「そ、そっか......」


佐藤は目に泪を浮かべる。そして、哀しげな顔でこちらを見てくる。


はあ......


「100円でいいか?」


「うわあ!ありがとう!」


佐藤が二度はしゃぐ。


俺はゲーム機に100円を入れた。


「ちょっと、どうやってやるの!?」


「この丸を見ろ。丸に合わせて太鼓を叩くんだ。」


おい、これ簡単モードだぞ。


はあ......まったく、俺はなんでこんな奴にお金奢ってんだ?


こうして、俺と佐藤霜月は出会った。


......なにその言い回し、恋愛?


いや、俺、ホモじゃねーから。



§



「ふぅ......疲れた。けど、楽しかった!」


「おう、良かったな。」


結局、佐藤には1500円を注ぎ込んでしまった。


俺の半分のお金が無くなった。


くそっ!バイトで貯めたお金がっ!


もう、どうでもいいや。


「遊んでくれてありがとう師走くん!疲れたから、ちょっと飲み物買ってきていい?」


「おう、待ってる。」


「うん!」


なんで、こんなやつと一緒にいんだろう。


誰だよ。本当に。


ポケットからスマホを取りだし、時間を確認する。


11:40


もうこんな時間か。昼ごはん、ここで食うか。


と、向こうから見覚えのある奴がレジ袋を持ってこっちに向かってきた。


「佐藤、早かったな!」


俺は声をかけたのだが、佐藤は不思議そうな顔をする。


「誰?」


「えっ!?」


その声はとても冷たかった。


「さっき、ゲームしたろ?」


「いや、してないし。ってか誰。」


冷たっ!裏切りというのはいつも冷徹な物で、人を傷つける。


いや、待てよ。佐藤はこんなに冷たくないぞ?


「お前、佐藤じゃないな?」


「え、佐藤だけど。ってか誰ってさっきから聞いてんだけど。」


あ、そうか。これで名乗ればいいのか。そして反応をみれば、真相が明らかになる。


「悪いな。俺は師走咲良だ。」


名乗るとああっと佐藤と思われる人物が声を出した。


「同じクラスだったとはな!俺は佐藤霜降だ。」


お前は佐藤霜降か!佐藤の正体はTHEモブキャラの佐藤霜降だった。


ならば、さっきの佐藤は何者なのだろうか。


「おーい!師走くん!」


奥からさっきの佐藤が来た。


あれ?佐藤が2人?


「おい、佐藤。」


「「なに?」」


見事に同タイミングだった。


「えっと、師走くん、佐藤って呼び方だと紛らわしいからさ。」


あれ、こいつら顔も似てないか?


「えっとどっちがどっちだか......」


「俺が霜月だよ。」


「俺は霜降だ。」


名前も似ている。ややこしい。こんがらがる。


「もしかして、二人は双子か?」


「「いや、違う。」」


驚くほどに息ぴったりであった。


どっちもモブモブしい顔してるからな、わからないんだよな。


「で、同じクラスの佐藤霜降と、違うクラスの佐藤霜月って事だな。」


俺は確認するために、最初に右の佐藤を指差し、次に左の佐藤を指差した。


「「逆だよ。」」


これまた息ぴったり。


俺はまたスマホを確認する。


11:55


もう二人がよくわからなくなったので、昼食がてらフードコートに二人を誘うことにした。


「もうこんな時間だし、昼ごはんでも食うか。」


「「そうだね。」」


これまた二人は息ぴったりに答えた。



§



結局、フードコート内の物は食べず、近くのファミレスに行くことになった。


「で、二人に血縁関係はない。ということだな。」


「「そうだ。」」


息ぴったり。双子さながらである。


にしても、この二人本当にそっくりだな。声すらも似てる。


似てないのは口調だけだ。


「だいたい、俺はなんでこんな所にいるんだよ。関係なくないか?」


今のは霜降の方だ。


「まあまあ落ち着いてよ霜降くん。楽しいしいいじゃん!」


こっちは霜月だ。


容姿や声だけではどっちかは判断することは難しいが、口調でどっちかを判断することが出来る。


なんとなく。なのだが、ちょっと冷ための方が霜降だ。暖かくて、どこか抜けてるような感じが霜月だ。


判断方法は口調だけじゃない、俺に対しての対応だ。まあ、それが口調だというのもあるが、俺と霜降はそこまで仲良くない。


一方霜月は、そこそこ仲良くなってはいるのだ。(霜月の一方的に近い)


ということで俺は霜降とあまり接する事はないと思われるのでそこまで気にする必要ないのだ。


それを踏まえつつも、もう一度(さら)う。


この二人に血縁関係はない。


今日、お互いを初めて認識したらしい。全くの無関係だ。


「悪い、俺トイレ行ってくる。」


「おう。」


霜降はトイレの方へ歩いていった。


そういえば、霜降は関係ないんだよな。あとでお詫びになんか買ってやろう。


トイレに行く霜降を目で追っていると、霜月の驚いたような声で意識を霜月に動かされた。


「そうだ、師走くん。連絡先交換しようよ。」


「そういえばしてなかったな。いいぞ。」


本当は必要ないだろとかなり思っているが、霜月がかなり本気そうで断ると厄介な事になるような気がするから仕方なく俺もスマホを取り出した。


霜月の手元を見ると、握っていたのはスマホではなくガラケーだった。


「あ、お前ガラケーなんだな。」


「うん。親がまだスマホは早いって言っててさ。」


うんうん。それがいいと思う。いい親だ素晴らしい。


それに比べてうちの親は自分の事は自分で管理しなさい。だぞ?


しかもそれ小学生の頃から。どんなサバイバル教育なんかでしょうね。


で、夢叶には甘々。どんな兄妹格差ですか?


俺が軽くショックを受けていると、霜月が俺の顔を心配そうに見ている事に気が付いた。


「えっと、師走くんどうかしたの?」


「ああ、悪い。」


スマホとガラケーでは赤外線でアドレス交換することは少し難しい。


なので、QRコードを作成し、それを使って交換するのだ。


QRコードを認証し終えた霜月はせかせかと文字を打つ。


何回か押すやつ、懐かしいな。(ガラケー使用歴0年)


ありもしない過去に懐かしんでいると俺のスマホに着信がきた。


内容は「こんにちは、佐藤霜月です!また今度一緒にゲームしようね!」というものだった。


またこいつのゲームの相手してやんなきゃいけないのかよ……この内容はマジでありえ()()()()


ううっ、寒い。


ふと目の前のニコニコした霜月が視界に入る。


目が合い、俺は仕方なく笑顔を返す。


「また遊ぼうね!」


「ふっ、そうだな。」


まあ、その時はその時に適当に断ってやればいいか。


俺と霜月はもう既にご飯を食べ終えていた。


「つい長居しちゃったな。もうそろそろ帰るか。」


「そうだね。」


俺達は会計を済ませ、ファミレスを出ていった。


そういえば、なんか忘れてるような……


まいっか。モブキャラ霜降くんトイレのままとか思い出してないからな。


え!?霜降おいてきた!


「そういえば霜降忘れてるな。」


「あ!トイレに置いてきちゃった!」


霜月の言い方だと財布をトイレに置いてきたみたいな言い方だから、きっと霜降は霜月にとってそんぐらいのレベルのやつなのだろう。


「戻ろうよ、師走くん!」


「別にいいんじゃね?あいつなら1人でもなんとかなるだろ。」


そう、あいつもいつも1人だから。


「で、でも。」


霜月は一瞬戸惑った表情を見せたが、すぐに「そうだね。」と許諾してくれた。


「そういえば、お前同じ学校だ。とか言ってたよな。何組なんだ?」


「ああ、そういえばそんな事言ったね。」


俺の質問に反応する。


一言一言に反応してくれるとか、良い奴すぎる。きっと素晴らしい家庭環境に恵まれて育ったんだろうな。


こういう奴が友達ってやつになるべきなんだろうな。


「師走くんは1年D組だったよね?」


「ああ、そうだ。」


「俺は1年F組なんだ!」


「お、おうそっか。」


そんなに威勢よくクラス言われても困るのだが。


まいっか。威勢の良さがこいつのチャームポイントだ。許容しなければなるまい。


「ねえねえ師走くん!」


霜月が急に大声で俺を呼んだ。


「うわっなんだよ。びっくりした。」


「1年F組には、可愛い子がいっぱい居るんだよ?」


「急に呼んだと思ったら、そんな事か。」


俺が冷たく対応すると、少し怒り気味で霜月が口を開く。


「ちょっと!そんな事って何さ!」


「悪い、悪い。で、その可愛い子ってのはどんな子なんだ?」


実際ちょっと気になるので聞いてみた。


神無月赤葉(かんなづきあかは)。モデル体型で、顔も良くて、でも性格は意外と天然で!」


「おお、そりゃ良かった。」


霜月が思ってた以上に熱弁するのでちょっと引いてしまった。


神無月赤葉か。確かに聞いた事はあるな。うちのクラスの男子もそいつ話をよくしてるような気がする。


「で、1年D組にはどんな可愛い子がいるの!?」


霜月が目を輝かせ、かなり興味津々で聞いてくる。


ここまで来ると本当にひきそうなんだが。最近の男子高校生はこんなもんなのかな?


女子高校生、大変ですね。お疲れ様です。


「俺はあんまりクラスの奴を知らないから答えれねーな。」


俺が本当の事を言うと、霜月が「嘘だろう?」とわかりやすく落胆する。


と、思ったのだが、霜月はなにかを思い出したかのような仕草をして上機嫌に戻った


「そういえば、如月さんって1年D組だよね?」


「お、おう。それがどうかしたか?」


「師走くん嘘つかないでよー、可愛い子いるじゃん!」


霜月に背中をバンバンと叩かれる。


「で、なんでお前は如月を知ってるんだ?」


「俺と如月さん、同じ中学校行っててさ。」


「なるほどな。」


俺が相槌をうった。のだが、霜月は口を開かない。


霜月の方を見ると、霜月にはさっきまでの表情はなかった。


「あのさ、師走くん。頼みがあるんだけど。」


「おう。なんだ。」


正直この時、霜月の頼みは、軽い頼みだと思っていた。



§



「さっきも言ったんだけど、俺と如月さんは同じ中学校だったんだ。如月さんは頭も良いし、運動も出来る。そして、ルックスも素晴らしい。


そんな如月さんは、結構色んな男子から告白されていたんだ。それを知った周りの女子達は如月さんに嫉妬してたんだ。


実は、如月さんに親友がいて、その親友に結構相談とかしてたらしいんだけど、結局その親友にまで裏切られて......


如月さん、虐められてたんだ。」


「......」


俺は何も言葉が出なかった。


如月にそんな過去があったとは、知らなかった。


「如月さん、告白してきた男子の中にも、OKしたい男子はいたらしいんだけど、女子達の嫉妬の対象になるから断ったんだって。如月さん、恋愛も自由にできなかったんだ。」


「そう、だったのか。」


「師走くん、今如月さんと仲良いんでしょ?」


「俺なんか、仲良くねーよ。」


俺は如月の事なんてなんも気付いていなかった。


俺は気付かないで、如月に接していた。俺の変に屈折した優しさが、如月を傷付けていたのかも知れない。


どうしてもっと早く気付けなかったのか。


あの時の助けて。は、こういう意味だったのか。


中学の時と同じ目にあいたくない。自分はもう、人に支配されながらしか行動できないのはもうイヤだという意味だ。


如月は、俺がそれに気付いていると思っていたのだ。


偶然、付き合ってふりをしてくれ。というのが答えに近かっただけで、真の答えではなかったのだ。


「聞いて、師走くん。如月さんと師走くんは、仲良くできると思うんだよ。」


「でも俺なんかに......」


「違う!」


霜月の声と被った。


霜月の眼差しは真っ直ぐだった。さっきゲーセンにいたときとは、また違う眼差しだった。


「師走くん、君なら、如月さんを守れる。」


その声は、俺の心の中に永遠に近いほど、響き続けた。

今回も息抜きの回にする予定だったのですが、後半シリアスになりました。


少し、染みる展開になりそうです!


第一章もついに大詰め、


次回以降も楽しみにしてください!!



Twitterでも呼び掛けたのですが、略称を募集しています!


なにかいい案があったら、Twitter又は感想にお願いします!



それでは、14話で会いましょう。


乞う、ご期待!


以上、13話、道内某所のあるアパートの一室にて。



うう...足痛い...(骨折しました)

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