表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/15

12話~真実、長月霞泠の泠は氵に令だ。

ピーンポーン


誰もいない静かな我が家にチャイムの音が響いた。


また宅配便か......面倒くさいな。


さてはお母さん、また使いもしないダイエットグッズ買ったな?お母さん、買うのは良いんだけど3日でやめるんだよな......結局それでまた太ったよぉとか俺に愚痴るのだ。


厄介だからもうそろそろちゃんとダイエットしてほしい。


いや、待てよ。お父さんの可能性もあるか。


さてはお父さん、また謎の粉注文したな?ちょっと前まで怪しい粉だと思ってたのだが、つい最近粉末プロテインだという事を知った。夢叶にも怪しまれてるはずだからちゃんとしたの買ってほしい。


いやいや、待てよ。夢叶の可能性だって皆無じゃない。


さては夢叶、またメールでなんか当てたんだな?前に1回楽天から当選メール来て俺も含めた家族全員が危ないと反対したのだが、それが本物だった。という事が1度あった。今度は詐欺だった。とかなるかもしれないからやめてほしい。


いやいやいや、待てよ。俺、かも、知れない。


さては俺、また通販でアニメグッズ買ったな?親にバレないようにって通販やってるけど、もうそろそろバレるような気がしてきたからやめてほしい。


玄関のドアを開けると、そこにいたのは宅配便ではなく、見覚えのある少女二人の姿があった。


「お邪魔する。」


そう言って俺の家に入ってきた。


いや、強制かよ。

ある日、俺の家に再び弥生陽向が来ていた。


ゴールデンウィークの時とは違い、今日は長月さんを連れてきていた。


彼女らをリビングに居座らせ、俺はキッチンに飲み物を取りにいくふりをして、さてこの状況どう対処しよう。と考えにいった。


弥生の相手の仕方はわかるのだが、長月さんとなると全くわからない。


話したのは、確かゴールデンウィーク明けか?


それしか話た事がないから長月さんの相手の仕方は本当にわからない。


ま、適当に自己紹介済ませて帰らせるか。俺も1人でゲームしたりアニメ見たり本読んだりしたいからな。


俺はリビングに戻る。


「師走、飲み物は持ってきてねーのか?」


はっ!?そうだった!


「師走くん、だよね?師走くんって面白いね。」


長月さんが俺に笑いかけてくる。面白いとは、どこがだ?


「えっと、どこが面白いん、ですか?」


「師走、飲み物。」


俺は長月さんに言ったつもりなのだが、弥生の冷たい声か飛んでくる。


人様の家でなに失礼な事言ってんだ?こいつ。


「まあまあ、落ち着いてよ陽向ちゃん。」


長月さんが弥生を止める。


「ああ、ごめんなさい。」


「そうだ、師走くん敬語じゃなくていーよ?同い年だし!」


そういう長月さんも俺のこと師走()()って言ってるけどね。


敬語じゃなくても良い。と言われてもちょっと厳しい。あれだ、先輩にタメでいいよって言われてもタメで話せないのと同じだ。


すると、弥生から冷たい目線を感じたので、俺はキッチンに行く。


「あっ、えっと、なんか飲みたいのありますか?」


「私はなんでもいいよ。」


長月はそう答える。長月さんはちゃんとしているな。


それに比べて弥生は……


「僕コーラ。」


何様だよ。


「コーラはねーよ。」


「あんた買ってこいよ。」


即答。


「お前が行け、弥生。ここは俺の家だ。お前に命令される筋合いはない。」


「はあ?何言ってんのあんた。来客を饗すのが家主のする事じゃないの?」


「逆だよ。家主はパシリか。」


俺達はくだらないことで口論に達した。何このケンカ、子供くさい。


「まあまあ、2人共。落ち着いて」


ようやく長月さんが止めてくれた。


「もう、皆で買いに行こうよ!」


なるほど、その手があったか。


「そうですね。それでいいと思います。よし弥生、3人でコンビニいくか。」


俺の提案に弥生はむうっとするがわ長月さんが弥生に何か囁くと、弥生は仕方ないなぁと外出する準備を始めた。


何を言ったらそんな弥生を変えれるんだろうか。後で教えて貰おう。


俺達は家を出て、セコマへ向かった。


道民にとってセコマはコンビニと言えばセコマくらいの存在だ。


っつーか、弥生、なんかいつもよりこえーな。なんかいつもより刺々しい。


何があったのだろうか。まあ、俺には関係ないか。


そうだ。自己紹介っと。


「えっと、俺は師走咲良です。師範の師に、競走の走るでの師走、花が咲くの咲でさく、改良の良でやって読みます。」


「そっか、師走咲良くんだね。よろしく。」


「あ、ああ、よろしく。」


そう答えるとふふっと笑う。ん?何かおかしいか?


「初めて、タメで呼んでくたね。」


長月さんが頬を赤らめ、上目遣いで言ってくる。


「!?」


長月さんが近付いてきた。ちょっ!?近い!?


「やっぱり咲良くん、面白いね。」


「え、えっと、その……」


ちょっと、近い、近い、近すぎる!


「かれん。」


弥生の冷たくて、乾いた声が響く。


「あ!?そっか、そうだよね。ごめん。」


こいつら、何話してんだ?


「弥生、どうかしたか?」


俺は弥生に聞いたのだが、両方から答えが返ってきた。


「「別に、なんでもないよ!」」


「そ、そっか、悪い。」


その後少し静かになったが、そうこうしている内にすぐにセコマに着いたので特に気まずくはなかった。


「あ、長月さん、何か飲みたい物ありますか?奢りますよ。」


俺が問うと長月さんはいいの!?と喜び、ジュース売り場に走り、どれにしようかとジュースを真剣な眼差しで見る。


俺の隣にいる弥生にも声をかけた。


「弥生はコーラが良かったんだよな。」


「えっ!?」


不意の事だったのか、弥生は驚きの声を上げる。


「買ってくれるの?」


今更な質問を俺に投げかけてくる。あれ?さっきあんなに買ってこいって言ってたのってどこ弥生さんでしたっけ?


「買ってこいって言ってたのは誰だよ。」


俺は冗談半分、怒り半分で弥生に言った。


「えっと、その件は僕が悪かったよ......」


俺は弄りで言ったのだがあまりにも弥生が真面目になるので、かなり罪悪感に襲われた。え?俺悪くないよな?


「いや、そこまで謝る事じゃねーよ。気にすんな。」


俺は弥生に出きるだけ暖かい声で告げると、弥生は「ありがとう。」と言い、コーラを取りに行った。


俺は家にあるものでいいやと思ったとき、カルピスを持った長月さんと、コーラを2本持ってきた弥生がこっちに来た。


「やっぱり、奢ってもらうのは申し訳ないし、私たちで買うよ。ね、陽向。」


「う、うん。あと、師走の分も買ってやる。日頃のお礼っていうやつだ。」


後半はもうよく聞き取れなかったが、要は弥生が俺にコーラを奢ってくれるそうだ。


「別にいいぞ、俺はお前になんもしてねーよ。」


俺と弥生は幼稚園の時のあの件から距離を置くようになっていた。


でも、ゴールデンウィークの時、俺は弥生に一声かけ、そこから俺と弥生はちょいちょい顔を合わせるようになった。


そして、弥生陽向の内向的な性格も変わってきた。


今では弥生は長月さんだけでなく、いろんな人と仲良くしているらしい。


俺は偶然そのきっかけになっただけだ。


俺が意図してやった事じゃない。


だから、俺が感謝される理由はない。


結局、俺達はそれぞれジュースを自分で買うことになった。


それぞれの買い物を済ませて、セコマを出た。


長月さんがスマホを確認した後、何かを思い出したのかハッという表情を浮かべた。


「私、ちょっと用事あってさ、済ませてから行くから先行ってて。」


いや、結局家には来るんだね。


いつから俺の家は学生の集い場になったのだろうか。


「じゃあ、先行ってますね。」


俺と弥生は家に向かっていった。


「そういえば、なんか用があって俺の家に来たんじゃねんのか?」


「ああ、特にない。やること無かったから、暇そうな師走の家に行こうかってなった。」


「ねーのかよ。」


俺が微笑したっきり俺達は静まり返った。


お互いに話すネタがないのか、何か話し掛けても長く続かずすぐに話が終わってしまう。


「ねえ師走。」


ある時、弥生が今までとは違う雰囲気で口を開いた。


「おう、なんだ?」


俺が隣にいる弥生の方を見ると弥生は下を見ていた。


「どうかしたか?」


俺が声をかけるとようやく弥生が口を開いた。


「......ってるの?」


声が弱々しくて聞こえなかった。


「ん?わりぃ、聞こえなかった。」


「だからっ、あんた如月さんと付き合ってるの?」


今度ははっきりと聞こえた。っつーか声デケーよ。


「おい、弥生っ!大声でそんな事を言うなよ。恥ずかしい。」


「あ、え?そんなに、僕の声大きかったか?」


「お前が思ってる以上に声大きかったぞ。ほらみろ、俺達の方を見てる人いるだろ。」


言いながら気づいたのだが、通行人から注目を浴びていた。


うう......恥ずかしい。


「ごめんな。」


「今のは自業自得だ。」


「うう......」


今度は弥生が泪目になる。いや、弥生がそんな表情するとギャップ萌え?で可愛く見えるからやめろ。好きなっちゃうからやめろ。


それはさておき、俺と如月は付き合っているか?という質問だ。


俺達は訳あって付き合ってるふりをしているのだが、これを説明すると長くなるので簡潔に説明する。


「さっきの質問の答えになるんだが、まあ、答えとしては付き合ってはいない。だけど、少し訳あって付き合ってるふりをしてるって事になるな。」


「訳、って何。」


予想通りの質問が返ってきた。


仕方ない、1から説明するしかないか。


そう思った時だった。


「その相手は如月さんじゃなきゃダメだったのか?」


つまり、その、どういうことだ?


俺は理解の手掛かりとならないか、一度弥生を見る。


真っ直ぐな眼差しで、俺を見つめてくる弥生。


その眼差しを、ややひき気味に逸らす俺。


何が言いたい。


「いや、そのそれにはこっちにも事情あるから……」


「僕じゃダメなの!?」


俺の言葉は途中で遮られ、弥生の叫びが響き渡った。



§



俺達の帰るスピードが遅かったのか、後半は長月さんが合流した。


そして、斯々然々あったがなんとか家に辿り着いた。


セコマのレジ袋を開き、それぞれが買った飲み物を取り出す。


俺は相変わらず、無言を貫いていた。


長月さんは、何かいい事でもあったのだろうか、とてもご機嫌の様子だ。


弥生はと言うと、顔を赤くして、「恥ずかしい、恥ずかしい」とボソボソ言いながら蹲っていた。


何があったかと言うと、さっきの弥生の叫びが通行人には告白だと捉えられたのか、叫んだ後に拍手喝采で、弥生は注目を浴びてしまったのだ。


そりゃそうだ。そこそこ人通りの多い中で「僕じゃダメなの!?」なんて言ったら告白だと勘違いされるに決まっている。


やっぱこいつ、バカだ。


「なんか、ごめんね。師走くんと仲良くしてる女子がいるのが衝撃的みたいで、だから機嫌そんなに良くないんだよね。」


長月さんが微笑んでくるが、あまり良い気持ちにはならない。


は?なんだよ。俺が女子といるのが信じられないって事か?なんだそれ。俺、全否定されてる?長月さんはまともな人だと思ってたのに!


「なんだよ、それ。」


もう、長月でいいや。タメで良いや。


急に口調が雑になったのに驚いたのか、長月は目をぱちくりさせる。


「あ!?すいません。つい。」


「いや、良いんだよ。そっちの方が話しやすいし。」


ようやく俺は長月とタメで話せるようになった。


「そう言えば、私自己紹介してなかったよね。」


「ああ、そういえばそうだね。」


タメで話せるようになったと思ったのだが、いざ言うとなるとやはり少し丁寧になる。


なんでだろう。長月がまともな人だからだろうか。(真面目からグレードダウンした)


「私は長月霞泠(かれん)。長いの長に月で長月、霞でかって読んで、さんずいに司令の令だよ。」


なるほど、長月霞()か。あれ?今さんずいって言ったような。


「にすい、の間違いだよね?」


俺の問いに長月が「あちゃあまたダメだったかー」と呟く。


「さんずいであってるんだ。いつも説明しても間違われるんだ。」


悔しがってる長月の代わりに弥生が説明してくれた。


「え、そうだったのか。なんか、申し訳なかった。」


「ああ、いや気にしなくて良いよ!」


まあ、大して気にしてはいないんだけど。


長年のぼっちスキル。というやつだ。こういう些細な事でも謝っておかなきゃ後で「なにあいつ、謝りすらしないんだけど。」とか言われるのだ。これ、俺の実体験。


「ってことは、さんずいに令って書いてれんって読むって事か。」


「そうなるね。」


立ち直った長月が頷いた。


にすいだったとしても冷でれんって読むのが珍しいのに、さんずいで泠ってかなりややこしい。


ややこしや~ややこしや~♪


懐かしいな。


俺が1人でに懐かしんでいると、話に入れず暇していた弥生がこちらを見ている事に気が付いた。


「どうかしたか?」


俺が問うと何故か急にキレられた。


「は?べ、別に、なんでもないし。」


なんでもない。と言う時はだいたい何かがあるのだ。俺の記憶がそう言っている。


「なんでもなくはねーだろ。暇だったんだろ。話し相手になってやるよ。」


「あっ、え、そういう意味だったの?話し相手なら、べ、別になってくれてもいいぞ?」


そういう意味とはどういう意味なのか俺にはわからないが、弥生のかなりなツンデレっぷりには呆れる。


なってくれてもいい。って欲しいんだか欲しくないんだかわかんねーよ。ややこしい。


「で、なんだよ。」


いざ話すとなると特にネタが無くて困るものだ。だから、俺は友達を作りたくないのだ。


「話し相手になるって言ったのはあんたでしょ?」


話し相手って、話すネタも出さなきゃいけないの?


「いや、まあそれは良いとして、なんでお前は今日そんな不機嫌なんだよ。」


「え、そ、それは......」


それは。で止まり、その後弥生はなぜかアワアワしていた。


「そ、それは、その、なんか如月さん、とつ、付き合ってるのかな?って、お、思ってただけだから......」


よかなり途切れ途切れで聞き取りにくかったが、要は如月と付き合ってるのかわからなくてモヤモヤしていた。という事だ。


「いや、俺の事なんだし、気にする必要はねーよ。」


「べ、別に嫉妬とかじゃないからね!?」


俺が最後まで言い終わる前に弥生が食いぎみに言ってきた。


話が噛み合っていないような気がするけどまーいーや。


「いや、そんなこと言わなくてもわかってるからよ。」


「嘘じゃないから、本当だから。」


「だからわかってるって。」


弥生がかなり本気になって嫉妬していることを否定している。


そんなに俺なんぞに嫉妬してるって思われたくないの?なにそれすごく悲しいんですけど。やめてくれる?そういう遠回しな虐め。


未だに否定し続ける弥生を抑え、俺は飲み干したコーラのペットボトルをゴミ箱へ持っていった。


時間を確認する。もう5時か、そろそろ両親が帰ってくる頃だな。


俺の両親は共働きで夢叶も去年中学生になった夢叶も部活に入り、帰宅部の俺は平日なら5時半頃まで家に一人でいることが出来るのだ。


......今日は潰れてしまった。


せめて30分は自分の時間が欲しい。


「あの、もうそろそろ帰ってほしいんだけど。」


俺が申し訳なさそうに告げると、長月と弥生はそうだね。と納得してくれたようだ。


申し訳なさそうに。というのは戦術だ。こうやって言うことによって、罪悪感を与える事ができる。


「いきなり来て悪かった。また来るからよろしくな。師走。」


「おう。」


出来れば、もう来て欲しくない......


続いて長月も口を開く。


「迷惑かけてごめんね。またね!」


「じゃあ。」


二人は玄関で手を振りドアを開けて出ていった。


ドアが閉まり、一気に静かになる。


ふう、30分あればアニメ一本見れるな。


俺がリビングに戻ると、飲みかけのコーラが置いてあった。


俺のコーラはさっき捨てたし、長月が飲んでいたのはコーラじゃなかった。ということは、これは弥生のコーラだ。


「しょうがない奴だな。」


俺は誰もいない空間に呟くと、俺はコーラを持って玄関に行く。


そして俺は玄関のドアを開け、


一目散に駆け出した。

お待たせしました、12話です!


すいません!昨日は睡魔に襲われたんです。


耐えれなくて寝てしまった!


それは、さておき、


今回は気休め的な回になりました。


今までシリアスな内容の回が続いていたので、緩ーい雰囲気の話にしてみました。


次もそんな感じかも?


そして!次回はとうとうあの名脇役くんと新キャラがメインです!


モブキャラの真骨頂!そう、佐藤霜降くんです!


え?雨水くんじゃないの?って?


誰その人。


霜降くんはスポーツテストの会にちょろっと出てきました。


あと、11話にも名前だけ出てきてますね。


これぞ、THEモブキャラ!


はい。雨水くんごめんね!


13話乞う、ご期待!


以上、12話、道内某所のアパートの一室にて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ