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10話~きっと、皐月葵の憂いは届かない。~

スポーツテスト当日の朝、家にて、


「お兄ちゃん、今日スポーツテストでしょ?」


「そうだ。」


「大丈夫なの?」


こいつ、なめてやがる。


「俺はこう見えて運動神経抜群なんだぞ!?」


「ああ、言われてみればお兄ちゃん、陸上競技大会で1位取ってたけどみんなに誰?って言われてたよね。」


最後の、余計だよ。


「ちょっと、今年はちやほやされんじゃないかって期待してたんだからぁ!」


俺はすぐに鞄を持って駆け出した!


「あ、お兄ちゃん、行っちゃった。」


そして、駆けて俺は気付いた。


......靴を履き忘れた事に。

スポーツテスト。


それは、底辺、またはぼっちにとって最悪の時間だ。


だが、俺は違う。


俺は運動神経がいいのだ!


「よーし!まずは100メートル走だ!スタート地点に行けー!」


体育教師の黎明の言葉を合図に生徒がのこのこと歩いて移動する。


あれ?野球部、いつも「たらたらせんと走れ!」って言われてないか?


これだからいっつも甲子園出れねーんだよ。


や、知らんけど。


俺達はスタート位置の前に並ぶ。


「やば!俺、きびしい......」


「雨水くんならできるよぉ!ね?和真?」


「おう。そうだな。頑張れ!雨水!」


「っしゃあ!頑張る!」


出席番号2番の雨水は、スタート位置につく。


出席番号1番の暁は今まで1ヶ月見ているてわかったが、2番目グループの奴だ。


容姿からして、そんなに運動神経は良くなさそうだ。


容姿で判断するなら、俺も運動神経悪いことになる。


「いちについてー、よーい、ピッ!」


体育委員のホイッスルで二人がスタートをきった。 


暁と雨水の差はあまりない。


雨水が少しリードしているだけ。


1着、13.85!


2着、13.97!


えぇ......雨水、以外と普通......


運動部のくせして、普通なんだな......


師走くん?そういうこといっちゃダーメ。


そして、暁、良くやった!君は2番目グループの星だ!


リア充をギャフンと言わせたれ!


あ、2番目グループだから、一応リア充グループに入るのか......


裏切りやがって。


まくった長袖と短パン姿で雨水が戻ってきた。


「やっぱ帰宅部だからな......」


え!?お前帰宅部なの?背高いしツーブロックだからバスケ部だと思ってた!


偏見草wwwwww


......はぁ。


次の啓蟄、木暮ペアも計測が終わり、俺の番となった。


俺は出席番号6なので、出席番号5の佐藤霜降と走る事になる。


こいつは3番目の普通グループだが、確か中学から陸上部で、中学の時に100m部門で全道大会で準優勝している。


なめたらあかん~♪


佐藤、師走、位置につけ!


よし、これで俺の韋駄天ぶりをみんなに知らしめれば!


「いちについてー、よーい、ピッ!」


隣の佐藤と差がつくのがわかる。


よし!ここまま!


っ!?い、1着、10.90!

......2着、14.56


でました!新記録!


これにクラスの奴が歓声をあげる。


「わー!やべー!し、しら、しらすくん?」


「ちげーよ、しらこだよ。」


「いやいやたらこだって。」


「は?たらばだよ。」


「わかった!たらばがにくんだ!」


「あー、それだ!」


「たらばがに!たらばがに!」


クラスメイト達が並んでいるところにいくとなぜかたらばがにコール大合唱が起きていた。


どういう理由でたらばがにコールが起きてるかはわからないが、初めてクラスに歓迎された事に感動していた。


......のだが。


それを不満げに見てる奴がいた。


水無月だ。


水無月は舌打ちしているように見えた。


睦月も雨水もたらばがにコールをしていたのだが、水無月の空気間に合わせる為か、途中から顔が萎んでいった。


ようやく静かになった頃に皐月が口を開く。


「でも、水無月くんならもっと早く走れるよ!」


横の2人の女子も頷く。


少し遅れて男子2人も頷く。


「どうだろう。俺には無理だよ。」


水無月が爽やかに微笑んでいた。


いや、またまた嘘仰って。さっき舌打ちしてたの見てましたよー!


その後も俺の記録を越すやつは現れず、


いよいよ出席番号17、水無月の番となった。


「いちについてー、よーい、ピッ!」


水無月も中々の快速だ。隣の奴と大差をつける。


1着、10.95!

2着、15.23!


よし、ギリ勝った。


ってか、え?2着の奴遅くね?


と思っていたらそいつは睦月だった。


あ......上位グループの奴は全員運動神経言い訳じゃないんですね。


「和真くんはやかったね!」


皐月達が声を掛ける。残念、今それは逆効果だ。


水無月はハハッそんなことないよ!と言った後、周りを見るふりをして顔を逸らした。


そして、顰めっ面をした。


いや怖いです......その、刹那にして表裏を見せつけないで欲しいんですけど。


俺が恐怖に怯えてた時、水無月が俺の所に近付いてきた。


ひぃっ!頼むから殺さないで!


「師走くん、君、凄いね。」


水無月が優しい声と笑顔で俺に言ってきた。


......なんだ、いい奴じゃんねーか。


ってなるか!


いやもう逆にその笑顔が怖いよ。裏があるって思えば思うほど怖いよ。


「次は頑張るよ、みんな。」


「うん!和真くん。応援してるよ!」


いや、お宅何様?みんなって、アイドルですか?


まあ間違ってはない......か。


っつーか、次はってなんだよ次はって、今の気ぃ抜いてたの?


あっれれー?おっかしーぞー?


にしては顔が赤いよね。はあはあ言ってるよね。


ねえ、ちょっとエロいからやめろよ。


そして、雨水に疲れたぁ、助けてぇ、とかいって肩に手を置くなよ。


腐女子の清明が今にも倒れそうだから!!


......今更だけど、100メートル走って体力テストの種目になくね?


「次は握力測定だ!体育館に戻るぞ!」


戻る途中、用務員さんとすれ違ったが誰も挨拶しない。


あれ?野球部、「挨拶はしっかりせーよ!」っていつも言われなかったっけ?


さっき思い出したんだが、ここの高校、結構野球強いんだった。


ちなみにバスケ部も強い。


だが、サッカー部は弱い。


そして、帰宅部は全国優勝!エースの師走がチームを引っ張る!


帰宅部エースこと、俺は用務員さんに挨拶をする。


が、シカト。


......だからコミュニケーションはとりたくないんだよね。


体育館につくと、握力計が沢山入った籠が置いてあった。


「よし!全員来たな、さっきも言ったが、次は握力測定だ!」


握力、か。


握力に関しては運動部の水無月の方が有利だろう。


それと比べ俺は運動部ではない。(今あえて部活に入ってないって言わなかったんだぞ?)


いや、待てよ、俺はいつもゲーム機を握り締めているではないか!?


勝ち目は無くはない。


......なんで水無月と競ってるんだ?


「この握力計は2人で1台使ってくれ。」


なるほど、個数が人数分ないのか。


え、2人で1台?......いやな予感。ぼっちが最も嫌いな事をやらされるような......!


「ってことで、ペアを組んでくれ。」


やっぱりか......


仕方なく周りを見渡した。


が、残念、男子は全員ペアを決めていた。


そう、男子は19人、奇数だったのだ。


どうしようか、先生に訪ねようとしたとき、肩をポンポンと叩かれた。


後ろ振り返ると、そこには皐月葵がいた。


「どうした?」


「あ、あのペアいなくて。」


「お前、清明とか土用と組まねーの?」


すると、皐月は少し深刻そうな顔をする。


「私余っちゃってね、あと、1個相談があるんだけど......」


それは意外な発言だった。


「相談なら、水無月とかその辺にすりゃ良いんじゃねーの?」


「そ、その事、なんだけど……」


「まあいい。後で話そう、今は握力測定だ。」


「あ、そうだよね。」


皐月は握力計を取りに行った。


「あぁ、わりぃ。」


皐月は首を振る。


「さくちゃん先測っていいよ!」


なんか知らん間に渾名付けれてんすけど。


「お、おう。」


さくちゃん誰だよ。とか思いながらも握力計を取る。


「さくちゃん、さっき凄かったねぇ!あんな運動神経良いと思ってなかったからさぁ。握力測定も頑張ってね!」


そういって薄い胸の近くでガッツポーズをする。


ちなみに俺はまな板の方がすきだ。(変な性癖)


俺の性癖暴露は扠置くとして、そんな事言われたらプレッシャーがかかってしまう。


「なんも、足速いだけで運動神経いいとは限らないじゃないか。あと、なんかプレッシャーかかる。やめてくれ。」


「いや、そんなことないよぉ、ん?やっぱあるのかなぁ?まいっか。」


皐月は婉然と笑う。


プレッシャーの所に関しては俎上に乗せずに、話を進めた。進んではねーか。


やーなんか緊張するっすね。


まずあれだ、俺が体育で女子とペアを組んでいるという事がまず僅有絶無だ。もうそこで良い所見せなきゃってなる。


いや、落ち着け師走さくちy……咲良……


お前中学の時を思い出せ。


格好付けようとして失敗したろ?迷惑かけたくないんだろ?


じゃあそこは気にすんな。うん。気にすんのやめた。


問題はそこではない。なぜか俺は水無月に対抗心を燃やしてる訳だ。


こんなんで勝ったところで顔でまた負けんだけどな。


よし、やるか。


俺は握力計を強く握り締めた。


50.92kg


まあ、まずまずと言った所だな。思ったより低かった。のだが、


「やっぱさくちゃんすごぉい!私と握手したら手潰れちゃうじゃん!」


まずお前と握手する事なんてないだろ。


「まーな。でも、お前と握手する事なんてねーから安心しろ。」


「え?わかんないじゃん!……はっ?全然告ってるとかそんなんじゃないからね!?」


なんか皐月が必死に誤解を氷解しようとしてるけどそんなんわかってるよ、一々言うな。


「よし、じゃあ私やる!」


んぐぐっ!と力をいれているものの僅か、14kgだった。


「こんなけしか行けなかったよぉ……」


と、俺に握力計を見せてくる。


俺の脳は腐ってるのだろうか、「こんなけしかイケなかったよぉ……」にかってに変換されてしまう。


「でも、思ったよりはイッたんじゃねーか?」


「どだろね?」


よし、バレてないみたいだ。


あーもー何考えてんだ俺。


高校で会った人史上最も可愛いからって調子乗んなよ。


水無月の記録がでたのだろうか、水無月の周りに歓声が広がる。


「58.62!?」


「やべぇよ和真!」


「あ、師走って奴はどうだったんだ?」


「師走!お前どうだったんだ?」


なんだよ、名前覚えてたのかよ。


58.62か、大差だ。


「50.92だ。」


俺が言った時、水無月が勝ち誇ったような顔をしているように見えた。


ああもうこわいって。


その後も、俺達はなぜか競っていた。


その後+8種目やって、


水無月は4種目、俺は5種目勝った。


のだが。


「これでスポーツテストは終わりだ!」


先生の言葉に少しざわつく。きっと疲れたぁとかそんな感じの事を話しているのだろう。


「あと1つ謝ることがある。」


先生の唐突な一言にざわつきが止まる。


「最初にやった100mはスポーツテストの種目になかった。そこだけなかった事にしてくれ、すまない。」


......やっぱりな。


ってことで、水無月vs師走は同点でした。


童貞じゃないよ?それは多分、俺だけ。


童貞でなにが悪い!?高1だぞ、高1!


体育館のロッカールームはいつも以上に騒がしかった。


いつもの体育後の話の中心は水無月なのだが、聞いていれば今日は俺らしい。


おお、なんか、陰口以外で自分の名前聞くっていいなぁ......


いかんいかん、俺とした事が。


油断は禁物......ダヨ!


水無月を見ると気分は良くない顔だった。


悔やんでいる顔をしていた。


近くにいる数人は水無月に合わして励ましてる。といった所か。


俺はせっせと着替えを終わらせロッカールームをでて教室に戻る事にした。


午前中丸々体育だった俺達は疲れでみんなどんよりしていた。


俺には関係ない。俺はいつもの廃教室に行くことにした。


その途中、肩をポンポンと叩かれた。


後ろを振り返るとそこには皐月がいた。


ねえなんでそんなあざといんですか?


皐月って、なんか可愛いよな。なんか、妹に似てるよね。うん。


「さくちゃん、連絡先交換しよ?」


えっ!?ちょっ、急!?


ああ、そういやーさっき相談があるみてーな事言ってたな。


「おう、いいぞ。」


よし、これで皐月のsk......


そーゆー目で見んなよ。


「よし、じゃあフルフルでっと......」


期待に胸を高めていると、皐月が止めてきた。


「ま?やっぱ今はバーコードだよ!」


まってなんだよ。って言おうとしたけど知ってました。マジの略っすよね。本当にまって使うんだね。


「バーコードかぁ、なるほどな。」


皐月がスマホの画面を見せてきた。そこには正方形のなんかぐちゃぐちゃしたのが表示されていた。


あーこれ、QRコードだね。


え、スマホの画面にQRコードってかいてるし!日本語読める?


キャンユーユーズジャパニーズ?


まいっか。


Q()R()()()()で出来るんだな。」


QRコードを強めて言ったつもりだったが伝わってないっぽい。


「あ、相談なんだけどさ......」


そこまで言って、そこから顔を逸らしもごもごする。


「い、一緒に弁当食べない?」



§



俺は「お前、教室で食べないのか?」とか、「俺と食べても楽しくねーよ?」とかいってやんわりと断ってたんだが、中々しぶといので諦めた。


諦めたらそこで試合終了だよ。


うん、もう早く試合終わらせて帰りたいんで諦めます。ってならないのかな?


俺はなった。


試合終了。


で、今は屋上で食べているという訳だ。


流石に女子をあの小汚い部屋に入れる訳にはいかないので、仕方なく屋上に来た。


意外だったのが、誰もいない。という事だ。


リア充共がちらほらいるんだろうな思ったのだが、そうではなく、俺達の独壇場と化していた。


なにそれリア充っぽい。青春を謳歌してそう。


「さくちゃんはいつもここで食べてるの?」


「おう、まーな。」


また必要のない嘘をつく。


すると、皐月は明るい笑顔と上澄んだ声で何かを言ってくる。


「じゃあさ、今日からここで食べていい?」


予想外の一言に思わず飲んでいたお茶を吹き出す。


「ちょっと、それは、お前、水無月達は良いのかよ。」


すると皐月は急に暗くなる。


「あのね、私、和真が、恐いの......」


それは、あのときの如月や、睦月と同じような雰囲気だった。


「最初は、皆で仲良くやれてたんだけど、今も仲良いいんだけどさ、本当って感じがしないから、また、仲良くしたいんだよね。私、見ちゃったんだ。和真くんが、雨水くんと悠希くん喧嘩してる所。」


なるほど。だから睦月もあんな事言ってたのか。


そして皐月は憧れてい水無月の裏を知ってしまった。


皆と仲良く。か......


それは傲慢な願いだ。人間誰しもが裏を持っている。その裏が時には軋轢(あつれき)を生じさせる。


そして、皐月達は上位グループ。


王は気に食わない奴を切り捨てる。そして、気に入った奴を切り上げ、仲間にする。


四捨五入。それが王たる所以だと水無月は思っている。水無月に限った事ではない。きっとクラスの人気者というのは全員そうだ。


そして周りに取り繕う連中は王に認めて貰うために媚態(びたい)を示す。


でも、そうやって無理して築く関係なんて仲良い関係とは言えるのだろうか。


否だ。だから、今の水無月では皆と仲良くとは不可能だ。


「皐月、あいついて、楽しいか。」


俺は問う。


皐月は少し考える。


「昔は、楽しかった。」


「昔は、だろ。でもそれは水無月の本性ではなかった。」


「うん......」


「残念だけど、水無月の意識が変わらない限り、仲良くは出来ない。」


「そ、っか......」


「でも、俺に任せとけ、俺が水無月に下っ端の人間の気持ちをわからせてやる。」


こうして、俺は如月、睦月、皐月の為に、


......人を裏切る。

10話投稿です。


明日は11話+正月特別話を投稿する予定です!


あと、Twitter始めました。


フォローよろしくお願いします!


年末年始食べ過ぎに注意!


太らないことを願います。


以上、ベットが俺を話さないんじゃなく、俺がベットを離さない。あ、逆だ。榊原神でした。


大晦日、自宅のベットにて。

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