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時かける少女 BETA  作者: 大橋むつお
17/60

17・大和と信濃と・2

時かける少女BETA・17

《大和と信濃と・2》          



「班長、右舷後方に敵潜水艦です」


 準備を終えた兵が、まるで子犬を見つけたような気楽さで言った。


「対艦噴進砲ヨーイ!」

「班長、まだ甲板への固定が出来ていませんが」

「担いで撃て。三人で担げば撃てんこともないだろ」

「散布界が、広くなって仕留められないかもしれません。一撃で仕留めなければ、潜水されて攻撃が困難になりますが」


「そこをうまくやれ、仲間を呼ばれたら面倒だ。かかれ!」


 軽井中佐は蠅を追うようなしぐさで命じ、鞄から頑丈な開き鏡のようなものを出した。興味を持った阿部艦長が覗きこむと、そこには信濃の位置を中心とした東海地方と太平洋が示されていた。中佐が画面を指で広げるようなしぐさをすると、画面は拡大され、米粒のような信濃と護衛の駆逐艦三隻の姿が見えた。


「中佐、これは何かね?」


「携帯用の電探の受信機です。映像は先日打ち上げた発信機が高度3000キロで樺太からフィリピンあたりまでを警戒しております。この映像は赤外線で受像したものです……こいつだな。バラオ級潜水艦のようです」

「通商破壊用の潜水艦だな。金剛を沈めたのと同型のやつだ。しかし信じられんな、こんなものが実用で稼働しているなんて」

「我々の班以外では空技廠の一部の者しか知りません。軍機に属します。ご承知おきください」

「分かった。この任務に関する範囲で承知しておく」


「攻撃準備完了!」


 ブリッジ後方で用意していた兵が、完了の報告をした。いかにも重さに耐えている様子である。


「テーッ!」


 中佐は簡潔に命じた。

 噴進砲から薄いオレンジ色の光を引いて噴進弾が発射された。

「この緑の輝点が噴進弾です」

「……おお、弾道が曲がった」

「自動追尾装置が付いておりますので、二十度の散布界の中に入っておれば必中です……弾着まで二十秒です」


 やがて右舷後方で閃光が走った。


「命中だな……艦長。浜風が一番近いようです。敵の乗員の救助をさせていただけませんか」

「この伊豆沖の海でか、敵がどこに……」

「どこにもいません。潜水艦については陸攻に警戒させます。おーい、陸攻は対潜哨戒にあたれ!」

 陸攻は信じられない鈍足で発進したが、信濃の乗組員が心配する中、無事に発艦した。


 潜水艦はアーチャーフィッシュだった。


 噴進弾は砲弾にして120ミリの榴弾ほどの威力しかないなので、潜水艦はすぐには沈まない。陸攻が対潜哨戒をする中、浜風が生存していた52名の乗員を救助した。

 そして、信じられないことに、アーチャーフィッシュの乗員は明け方には信濃に収容された。


「これも、本作戦の一つです」細井中佐は、ずったズボンをたくし上げながら阿部艦長に説明した。

 細井中佐の力と見た目アンバランスに阿部艦長は、受け止めように困った顔をした。


 あたしだって同感。


 細井中佐に擬態しているミナ自身もそう思った……。



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