1話 不可解な巨人
初投稿です。
読んでくださるとうれしい限りです。
少年は一人、深い森をさまよっていた。
「はぁ〜ここどこだろう。」
周囲は見渡す限り木、木、木である。
彼は親や周囲の大人から絶対に行ってはいけないと言われているこの森に、ずっと前から行ってみたかった。しかし、その森には凶悪な怪物が出るという噂が広まっていたため、決していくことはなかった。
だが、ある子どもがあの森に入ったきり戻らなかった、という噂を耳にしたため、彼は好奇心を抑えられず、すぐさま行くことにした。
そうして今に至る。
「あーあ。おなか減ったな~」
太陽はもう、あんなに低い位置にいる。
ドスン
音がしたような気がした。慌てて振り返った。が、何もなかった。なんだろうと考えているうちに、また
ドスン
と音がした。もう一度振り返った。
そこには、十メートル程はあるであろう、白と黒の巨人がいた。
彼は叫ぶのも忘れ、走り出した。しかし、相手は巨人だ。すぐに追いつかれる、と思った刹那、彼は巨人の手のひらの中にいた。彼は恐怖で叫びだした。だが、ここは大人も入ろうとしない深い森。自分の叫び声が聞こえるはずがない、と思った。すると、巨人が彼を口に運び出した。
「こうなるならば、やっぱりこんな所に入らなければ良かった。」
後悔してもしきれない思いが彼の頭をよぎった。
その瞬間、彼を口に運ぼうとしていた手が切れ、彼は地上八メートルの高さでほうりだされていた。