9話 月
矢は赤い眼に刺さると奴は一瞬にして倒れた。
「えっ!?」
ルルは矢が飛んできた方向を振り返る。そこには一人の少女がいた。
「ルナ!!」
彼女はルナイス・ソレイユ。ルル達とは同期で、同じくこの地域を担当している。
彼女の武器は三日月型の大剣ミステイルミストン。また、弓と双剣、大鎌に変形させることも可能だ。
さらに、彼女には銀を生成し、操る能力を持っているため、ミステイルミストンを弓として使う場合にはその能力を利用して矢を生み出している。
私はルナの元へ駆ける。
「ルナ〜!」
「大丈夫でしたか、ルルミリア。」
「うん!ありがとね!」
「どうしてここに?」
「たまたまここを通りかかっただけですよ」
素っ気ないルナの言葉。
「それで、ディスペアは何体ですか?」
「十二体だよ。」
「分かりました。」
そう言うとルナはディスペアに向かって歩き出した。
ルナは、ミステイルミストンを双剣に変形すると奴の攻撃を受け止め、背後に回ると首を切り落とした。
次に背後から襲って来たディスペアに対して、銀をルナの背後に生成し、攻撃からルナを守ると、即座に大剣に変形し、ディスペアを切り刻む。
最後に、横から攻撃してきたディスペアの腕を避け、弓の形態にしたミステイルミストンで赤い眼に向かって矢を放った。
ミルは二体のディスペアに向かって無数のナイフを投げる。
しかし、動きが素早いディスペアに避けられる。
「ちょこまか動くな!!」
そう言うと、ミルはディスペアの足元に向かって氷属性のナイフを投げる。
そして、休む暇も与えず短剣で二体のディスペアの首を斬りはらう。
「三体目と・・・四体目!!」
ルルは大鎌を構え、目の前のディスペアに向かって走り出す。
ルルに向かって伸びてくる腕を当たる寸前で避け、切り落とす。
そして、即座に大鎌の柄でディスペアの足を払い、バランスを崩したところで第三の眼に
向け、放散型魔法弾を撃ち込んだ。
「四体目・・・!」
三人が一度集まる。
「これで全部かな?」
ルルがミルに聞く。
「ううん、まだいる。ていうかルナはいつからいたの?」
「ついさっきです。」
「来た。」
ルナの言葉を無視してミルが呟く。
そこには通常の猿型ディスペアの三倍程の体長の猿型ディスペアがいた。
「あなたでラストね。」
ルナというのはルナイス・ソレイユの愛称ですが、本人はこれを認めていません。また、ルナ自体は人のことを愛称で呼びません。