第三話『荒野に轟くは予知眼の指揮』(3/3)
タイプセツナは、ダイカの操るタイプリッカに後方から銃を突き付けられて護送されていた。パイロットは既にコックピットから降りて、タイプセツナの腕の上にいる。
「なあ」
タイプセツナのパイロットが、通信を求めてきた。
マイは、それに応じる。
「何?」
「あんたは何故、そんなに命が消えることに怯える……」
戸惑いの篭った声だった。
「命が消える痛みを知っているから」
淡々とした口調で、マイは答える。
「命が消える、痛み、か……。この秩序の消えた世界で、よもやそんな言葉を聞こうとは……」
「おいおい、そうやって味方になる枠は俺でおしまい」
ダイカが口を挟んでくる。
「構わないわよ。味方は、多い方が良い」
マイはからかい混じりに言う。
「本気かよ。お前を殺そうとした相手だぜ」
「あんただって元は同じじゃない」
ダイカは反論の言葉を失ったらしく、黙り込んだ。
「俺に斬りかかったノーマルモデルのパイロット。かなりの凄腕だった。罠にもかからぬ観察眼、機を見て行動を起こす判断力、見事なものだ」
メイのことだろう。マイは自分のことのように表情を綻ばせた。
そして、湧いてきた自分の感情に戸惑うのだった。
「たまたま後ろを歩いてたら罠にかからなかっただけで、タイミングはこんなもんかなと思っただけですよ。深い意味はないです」
「そう謙遜しないの。褒められたんだから喜んどきなさい」
「わ、わーい?」
不器用な子だ。マイは苦笑する。
その時のことだった。通信が入る。
「東方部隊、勝利したとの報告、ご苦労だった」
「いえ。エクストラモデルが二機。当然の勝利です。北方部隊は?」
「……悪い知らせがある」
マイは、生唾を飲み込んだ。
「十六機のノーマルモデルが全滅。敵はエクストラモデル最強の機体、対軍破壊型エクストラモデル、タイプマリだ」
タイプマリ。その背後には一体の機体も残らないという対多数に特化したエクストラモデル。
大地の魔力を集約し、尋常ではない速度で動き回るという。
その脅威を想像し、マイは手から力が抜けるのを感じていた。
次回『リルカ』




