第二話『敵はタイプリッカ』(2/3)
翌朝、二人はこの集落の王の前へと通された。
王の間と言うには見窄らしい一軒家だった。
「良く来てくれた、南からの使者よ」
二人を出迎えた中年男性はそう言って微笑む。
「ほら、メイ」
そう言って、マイはメイを前に押し出す。
メイは緊張した様子で、肩を強張らせながら口を開いた。
「南の集落から来ました、メイと言います。この度は、庇護をしてほしいと言う住民の願いを届けに来ました」
「距離を聞いた。流石に、遠すぎる」
中年男性は、怜悧な表情で言う。
メイの表情が曇る。
「しかし、移住は歓迎しよう。若い働き手が沢山いるという。この街の発展に協力してくれるだろう」
メイの表情が綻んだ。僅かな切なさが交じる表情ではあったが。
「この街は、安全なんでしょうか?」
「三十体のノーマルモデルがいる。西の集落とは険悪だが、北の集落、東の集落とは穏やかな関係を結んでいる。最終的には、三つの集落をまとめて国とすることを目標としているよ。我々の街主導でだがね」
「国……」
吐息のように、メイが口にする。
「夢物語だと思うかもしれないがね、我々は実現するよ。皆が安心して暮らせる国だ。そこには一切の不安はなく、皆が平穏に暮らせる生活がある」
「夢物語のようですね……」
マイは、思わず口を挟んでいた。
「でも、貴方はやる気だ」
「ああ、もちろんだとも」
「その計画、私も協力させて貰いましょう」
滅ぼされない故郷。そんなものがあるなら、マイは飛びつくだろう。
「マイさん?」
メイが、喜びの声を上げる。
「それじゃあ、私達、これからも会えるんですね!」
「ああ……いや、うん……そういうことになっちゃうな……」
「君は魔導スーツのパイロットだったね。腕に自信はあるのかい?」
「自信があるも何も!」
メイが、誇るように言う。
「マイさんはエクスト……」
「エクストラモデルです!」
部屋に乱入者が入り込んできた。息も絶え絶えで、今にも崩れ落ちそうだ。
「何事だ」
中年男性は、眉間に皺を寄せる。事態の深刻さを瞬時に悟ったようだった。
「西の集落が、エクストラモデルを所持しました。西の国境沿いの警備部隊は全滅です!」
「確かに、エクストラモデルか?」
「一瞬だった……巨大な魔導レーザーの前に、味方のノーマルモデルの脚部が一瞬で蒸発していった……あの破壊力、タイプリッカ以外にあり得ません」
「なんということだ……」
中年男性が頭を抱え、考え込む。憔悴した様子だった。
「我々の国造りは、こんな所で途絶えると言うのか……」
「あのー……」
マイは思わず声を上げていた。
「エクストラモデルなら、うちにもありますけど」
「え?」
中年男性が、間抜けな表情になる。
間の抜けた沈黙が、部屋を包んだ。




