第六話『刻印開放』(4/4)
「元々、タイプリッカの原型となった人は曲者だったらしいわ」
地下で、五人は焚き火を起こし、食事を取っている。
「だろ? だろ? 俺のせいじゃないだろ?」
「それでも、五回も失敗した例はハクア博士も見たことないってさ」
「……俺の何が悪いってんだ。顔か?」
ダイカは真剣に悩みこんでしまった。
「頭だろう」
ルキが辛辣に言い放つ。
「おう、なんだ、やるか」
「俺が肉弾戦でお前に引けを取ると思うなよ」
「お、やれーやれー。けど生身の喧嘩じゃ私は混ざれないなあ」
「ちょ、ちょっと、やめてくださいよ二人とも……」
「ちなみに、どんな試験なの?」
マイの言葉に、ダイカはしょげた表情になった。
「三十機の魔導スーツからタイプリッカで街を守れって指示」
「難しい試験ですねえ。私は、守りたいものを胸に抱けってだけでしたよ」
「私は、戦う理由を教えろ、だったー」
「何その簡単な精神系試験。変わりたいわあ」
「お前はどう動いているんだ?」
「まずは魔導レーザーで三十機諸共焼き払った」
「で、どうなった?」
「殲滅に時間がかかって流れ弾で街に被害。失格」
「三十機で無被害となると難しいな……」
「だろ? だろ?」
マイは食べながら、四人の話を黙って聞いている。
そのうち、口を開いた。
「ダイカ君はその街を本当に守りたいと思っているの?」
「ん? んなの通りすがりの街なんて気にするわけねえだろ」
「……そういうとこだよ、きっと」
ダイカは不服気な表情になったが、反論はしなかった。
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「これで六度目か~。懲りないねえ君も」
部屋に入った途端、頭上に嘲笑混じりの間の伸びた声が響く。
「勝手に笑え」
ダイカは舌打ちしたいような気分でいた。
周囲の景色が変わる。
場所は街の中央。
周囲からは三十機の魔導スーツの反応。
「それじゃあ、試してみようじゃない」
魔導スーツが接近を始める。
タイプリッカが空中へと上昇する。
既に砲撃は始まっている。その全てを撃ち落とせと言うのか?
撃ち落とすしかないだろう。
しかし、それでは持久戦だ。いずれ、何方かに限界が来る。
ダイカは砲撃を撃ち落とし続ける。
敵は三十機。集中力の必要な作業だ。そのうち、敵の補給ユニットが動き始める。弾が補充されていく。
(こんなんまともにやっても無理ゲーっしょ……)
ダイカは舌打ちを必死に堪え、単調な作業を続ける。
「ダイカはその街を本当に守りたいと思ってるの?」
マイの声が、脳裏に響き渡る。
足元に目をやると、震える住民達。
視線を切ったのがまずかった。砲弾が一部、街に着弾した。
「は~い、ゲームオーバー」
からかうような声が天に響く。
「もう一回、やらせてくれ!」
ダイカは叫んでいた。
「考える時間は~?」
「もう十分、考えた!」
「そう~。じゃあ、やりましょうか~」
再び、場面が転換し、タイプリッカは街の中央で佇んでいた。
空に浮かび上がり、砲撃を撃ち落とし続ける。
その中で、余剰な魔力を集中し、一発の炎の弾を余分に作り上げる。
そのうち、補給ユニットが現れる。
それに向かって、ダイカは余分な炎の弾を打ち込んだ。
補給ユニットが一機、破壊された。
「そう、貴方に足りなかったもの。それは、考えること。守りたいという意思」
周囲の景色が光りに包まれる。
「つまり、単純に言えば頭が悪いってことね~」
「んだと、この野郎!」
機体表示名が変わった。タイプリッカから、タイプ獄炎のリッカへと変わっている。
「私の力、貸してあげるわ。少しでも、未来に繋げるために使って~」
そう言って、声が消えていき、後には闇が残った。
部屋を出る。
四人とも、興味深げにこちらを見ている。
ダイカはコックピットハッチを開くと、上半身を覗かせて、親指を立ててみせた。
四人の表情に、微笑みが戻った。
地上に戻ると、五人はタイプマリとタイプジンを人気のない場所に移動させ、修理に移った。
生体コードの書き換えは、マイが行った。
そう言えば、ハクア博士は気がつくといなくなっている。逃げたわけではあるまいな、とダイカは思うが、それを口に出せずにいる。ルキを見ると、似たような表情をしていた。
タイプジンの修理が終える。
タイプマリに、メイが搭乗する。
五人とも、搭乗を終えた。
「それでは、起動シーケンスに入ります」
メイの言葉に、ダイカは生唾を飲んだ。
ついに戦うのだ。全てのエクストラモデルを超えるという化物と。
「タイプマリ、起動しました」
「さよならは言った?」
リルカがからかうように言う。
「言うならばしよう。再会の約束を」
暗雲が空を包んだ。稲光が鳴る。その渦巻く中央から、銀色に輝く機体と、銅色に輝くタイプリッカの集団三十機が降りてきていた。
「行くよ! 明日を掴むために!」
マイが叫ぶ。
「おう!」
四人は異口同音に叫び、敵集団への突撃を敢行した。
次回『舞い降りるデウスエクスマキナ』




