第五話『マイ対リルカ』(2/3)
「お前は食べ過ぎだ!」
「五月蝿いな、マイとメイが少食だから仕方ないだろう!」
「食料は余っていて悪いことはない!」
ルキとダイカが言い争っている。
「お姉様、そんなちょびっとの量で良いんですか?」
いつの間にやら慣れてきた賑やかな食事風景。
ハクア博士について考えていて、マイは手を止めていた。
「ああ、いや、食べるわ」
少し前なら、食べ急ぐ必要も、考え込んでいることを指摘されることもなかった。
それを思うと、今の賑やかな食事は多少心が緩む。
張り詰めなければならないのだ。そう思い、マイは気を引き締める。
ハクア博士は何かを隠している。それを知るまでは、気を緩める訳にはいかない。
北東に向かうと、エクストラモデルが反応を示した。
コックピットに地図が浮かび上がり、帰還位置が近いとの情報が出ている。
「帰還位置……?」
マイは戸惑いながら言う。
ダイカもルキも戸惑いを隠せずにいるようだ。
「エクストラモデルに帰還位置があるのか……?」
「何を帰還位置と定義するかだよ」
「私も話に混ぜてくださいよ~」
メイが情けない声を上げる。
「エクストラモデルのコックピットに、帰還位置が近いとの情報が出てるのよ」
「へえー。帰るべき場所、ですか」
出処が不明なエクストラモデルの帰るべき場所? 過去の誰かの意図を感じて、マイは背筋が寒くなるのを感じた。
辿り着いたのは、草木が生い茂る草原だった。
四機とも、そこに辿り着く。
「何もないですねえ。誤情報かな?」
「三機同時に誤情報が出るとは考え辛い……」
ルキの言い分は尤もだった。
「ちょっとこの辺りを爆破してみなさいよ、ダイカ」
「ういうい」
四機してその場を離れて、タイプリッカで辺りを爆破する。
すると、地下施設への入り口らしきものが現れた。
四機をその上に乗せて、入り口を調べる。
その時、突然入り口が地下へと沈み始めた。
「おい、誰か何かしたか?」
ルキが慌てた声を上げる。
「わり、ボタン押しちった」
「お前という奴は、活動する前に相談できんのか! その癖、人の忠告は聞かんときている」
「そう拗ねるなよ。最悪、リッカで頭上を爆破すれば脱出できるだろう」
「全員、機体に入ろう。罠がないとも限らない」
マイの提案に従って、各々、自らの機体に戻って行った。
そのうち、幻聴がマイの耳に届いた。
『ハクアに騙された……』
「何、これ……」
「幻聴、ではないのか……?」
「お前達も、聞こえてるのかよ」
『あんなに強い敵だなんて聞いていない……』
『人類は滅亡するしかないのか……?』
『なんであんな物を完成させてしまったんだ』
『あれこそがデウスエクスマキナだ……』
「なんだよこれ、なんだよこれ」
「怖いです……恐怖の感情が、流れ込んでくる……」
「何が現実で、何が真実なんだ……? あんな物、とは、エクストラモデルのことか?」
マイもメイと同じ状況だった。強い恐怖の感情。それが、心の中に流れ込んでくる。
そして一同は、最下層に辿り着いた。
そこは、魔導スーツの生産工場だった。パーツを作り出す複雑な機械が、動きを止めている。
「あの人は一体、何者……?」
マイの呟きは、四人の総意だったらしい。
こんな場所を知っているハクア博士は何者なのか。謎に包まれた存在だとしか言いようがない。




