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第五話『マイ対リルカ』(1/3)

 招待状、なるものが集落に届いたのは、タイプマリを鹵獲して程なくのことだった。

 内容は、マリを招待するものらしい。エクストラモデル同士の一騎打ちをしたいと所望の様子だ。

 それを聞いたのは、マイがハクア博士の家で目を覚ました時のことだった。


(内蔵まで達していた傷が治癒している……)


 腹部を抑えて、マイは戸惑う。死を覚悟していたと言うのに。

 マイの疑念を感じ取ったように、ハクア博士は無感情に言った。


「神術って言うのよ。今の人類には失われた、魔法の力……」


「魔法……? そんな……」


「馬鹿な、なんて言える? 魔法科学の結晶たる魔導スーツが闊歩する世界よ」


 確かに、失われた過去にはそんな技術があったのかもしれない。


「大昔は鉄に魔力を籠める方が難しいって言われてたのにね。不思議なものね」


 そう言って、ハクア博士は乾いた笑い声を上げる。

 まるで、過去を見てきたかのような態度だ。


「どうして、私を助けたんですか……?」


「タイプジンが目覚めたから」


 淡々とハクア博士は言う。


「こんな目に合わされておきながら、この集落を守るために戦えと……?」


「それに関しては、長を許してやって欲しい。唆したのは、私だから」


 ハクア博士は淡々と、とんでもないことを言ってのけた。


「貴女が……唆した……?」


「そう。エクストラモデルには欠番が必要だった。だから、タイプマリを起動不可能にし、貴女を殺すことでタイプハクアを起動不能に追い込もうとした。けれども、難しいものね。タイプジンが目を覚ましてしまった……これも運命、か」


「これも運命、か。じゃないですよ。貴女は、人の命をなんだと思ってるんですか?」


「路端の石、かな……それぐらいの価値しかない存在」


「信じ難い発言だわ」


「なら、貴女はどうして命をそこまで重要視するようになった? 私は、それを聞きたい」


 ハクア博士は、冷めた目でマイを見ている。


「傷を治した恩があると思うんだけれどね」


「その元凶は貴女なんですけどね」


 マイは、拗ねるしかない。


「それもそうだ」


 沈黙が漂った。マイはこの場から去るか悩んだ。また、長の刺客に命を狙われては敵わない。


「私が命を大事に思うようになったのは……」


 マイは自分の境遇を語り始めた。自分が今戦おうと思っていた理由も。


「そう。なら、貴女は理想的なエクストラモデルの適応者だったわけね」


 ハクアは、赤い縁の眼鏡の位置を正した。


「後はパイロットとしての資質を見せてもらいましょうか……」


「タイプジンと戦え、と……?」


「早い話がそういうことね。ねえ、貴女、神様がいるって言ったら信じる?」


「ジョークも言えるんですね」


 マイは集落を無法者に襲われている。そんなものを信じる気になるわけがない。


「私は本気よ。いつだってね……。貴女の命は私が保証するわ。貴女がエクストラモデルの理想的な適応者であり続ける限り……」


「……本気、なんだ」


「ダイカとルキとメイを連れて北東に少し進んでみなさい。面白いものが見れるわよ?」


 そう言って、話は終わりとばかりにハクア博士はマイに背を向けた。


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