小春「世界は滅亡するのだー」有海「甘いぞ小春!滅亡して『いた』のだ!」
「子宮用爆竹はまだなの!?帝っちー!」
凛が帝に問い詰めている。凛は女子高生と言えど、数多くのJKデートクラブと渡り合い、潰し、業績を拡大してきた猛者である。目の前にいる身長170ぐらいの自称『BE最強』など、恐れるに足らず!
「何のことか知らんなぁー。そんなことも言ってた気もするけどなあ‥‥。」
「山本パパの尻穴で使おうと思ってたのに!わたしパパに嫌われる!」
「そんなん使った方が嫌われるやんけ!ワイに感謝しーや!」
「ちなみになあ、ワイは100人隊長や。高校で不良どもをまとめてる。先週大規模な抗争があって、ワイは見事生還してきたんやぞ!この事実を聞いて尚、ワイを馬鹿に出来るんか?できるんかー?」
「生還!?わたしが興味あるのは、性感だけッス!」
「うるさいわ!!」
「しきゅう?ばくちく?なんですかそれ。」
「知らなくていいよー。よくわからないけど、おいしい料理なんじゃないかな。」
その発言を聞いた凛はシュバババババと駆け寄って来た。
「なななな様、今度食べに行くッスか?」
しかし有海は凛をなななな様から引き剥がす。どう考えても凛は教育に悪いのである。
「凛‥‥。なななな様に変なことを吹きこまないでもらおう!」
「とにかく。これで大体のメンバーは揃ったわけか。ドクター七鞠!本格的に実験を開始したい!」
「そうだな!有海!世界に関して何か不満があるか!?」
そう。実験内容とは、どのような願いをすれば、どのような結果になるか。なななな様のできること、できないことを調べるのだ。意味不明な願いをする4人が集まっているからこそ、可能性の限界を見ることができるのかもしれない。そしてこのアルミホイルバイク人間、大宰有海はその決意を固めた。
「あるに決まっている!なななな様!僕の意見を聞いてくれ!」
「はい!どんとこいです!」
「世界は既に滅びているはずだ!なのに滅びていない!それはおかしい!」
「な、な、な、なんですとー!!」
「世界が滅んでいないとおかしいから、世界を滅ぼしてくれ!」
有海は、世界の滅亡を要求したのだ!これは、有海にとって人類が可能な唯一の抵抗(誰への?)であるらしい!
「は!?何言ってるッスか!」
有海は図書館から借りて来たらしい本の山を机の上に置いた。
『今日からできる地震工作』『地震兵器のすべて』『実録!3.11の正体!』『すべてが、しくまれていた。』‥‥いかにもな本だらけである。
「とにかく、地震兵器っていうのを聞いたことがあるだろう?作為的に地震を起こすことができるという物だ。これがあれば、1つの街を簡単に消し去ることができる。多くの人間が、東日本大震災も地震兵器によるものだと主張している。もちろん奴らは証拠を残す訳が無いから、根拠を重視する人間と、そうでない人間の間で諸説分かれるが‥‥‥‥。」
相手に理解させる気が無いのか、早口でまくしたてる。
「それがどうかしたんですか?」
明らかになななな様は有海の話を聞いていない。理解できない話を聞く義理もないのかもしれない。
「ああ、理解できないからもう聞き流してるんやな‥‥。」
「参考事例として、昨日小春とピクニックをしていた。すると小春が興味深いことを話したのだ。」
「なんだかんだいってラブラブじゃねえか。」
「‥‥‥‥。」
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「ピクニック楽しいね。じゃあご飯にしよう?」
「‥‥このおにぎり。明らかに毒物が混入している。米粒が黒く、海苔が白いことが証拠だ。疑っているようで悪いが、毒味をお願いできないだろうか?」
「いいよー。おにぎりさん、たべます。もぐもぐもぐもぐ‥‥‥‥ごほっ!おえっ!!」
小春は倒れた。この事実は有海の妄想を加速させる。
「聞け!!群衆どもよ!このいたいけで純粋なる少女が、人類の生み出した悪意の犠牲となった!!」
有海は小春が被害に会ったことを周囲に訴える。そうでもしなければ、この娘の犠牲は無駄となってしまうのである。
「なんだあのバイク野郎。」「頭おかしいのか?」
「カドミウムによって汚染されたコメは、資本主義による弊害と言わずして、誰を責めることができるのか!資本主義は全てを汚染した!家を汚染し、雇用を汚染し、米を汚染した!当然、資本主義を否定することは資本主義で育ってきた僕には不可能だ!だからこそ、資本主義の真の意味を捻じ曲げた秘密結社ユーフォリア、人間を脳内麻薬の奴隷へと変更させてしまった秘密結社ユーフォリアとの戦いを止めてはいけない!同志よ!僕とともに、幸福を取り戻す旅を!歩まん事を!!」
「よって今、人類の脳内麻薬奴隷解放宣言を行う!」
「わー、すごーい!何言ってるか全然分からないけど、雑草さんたちものすごく笑ってるよ!有海くんのこと!有海くんはエンターテイナーなんだねー!」
「生きていたのか!小春!」
「むせただけだよー。もしもし、おこめさん?毒物はいってますかー?」
小春はあらゆる物体と会話ができる。
「入ってないって。あと苦しい、胃液で溶かされるって言ってるよ。」
「そうか。毒物で汚染されてなかったか。ははははは!!」
「あははははは!!」
この瞬間、少しだけ地面が揺れた。
「地震が起こったね。なまずさんが怒ってるよ。なまずさんはね、うるさいとおこるんだ。がおーって。そうして地震を起こすのー。だから、静かにピクニックしようね。」
「‥‥了承した。」
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「そうか。地震兵器‥‥「兵器」と書かれているが、それはもしかして巨大な生物じゃないだろうか?あの時僕はそう考えたわけだ。」
「はあ?そんな生物が地殻の中をどうやって生きるってんだ?地震はな、断層のずれによって起こる。常識だろうが。」
「ドクター七鞠。断層のずれによって起こることは否定しない。だが、断層のずれ以外では絶対に起こらないと断言できるだろうか?」
「チッ。確かにできねーぜ。噴火などの他の要因もあるしなあ。」
「話を続ける。地震兵器を生産するのは容易ではない。当然地震兵器を作るのには金がかかる上、それをどう目標地点の下に設置すればいいのかが難題だ。地震兵器を埋め込むための大規模な掘削が可能なら、そもそもそれでターゲットシティを陥没させればいいだけの事だ。この難題が、地震兵器を嘘としてしまっていた。だがそれを解決する方法がある。そう。地震兵器は生物であるという説だ。なななな様、ナマズが地震を起こすという逸話を理解していただけただろうか?小春が言っていたこともあながち嘘ではないだろう。」
「なるほど!‥‥どういうことですか?」
「ようするにー、でっかいなまずさんが地面を揺らしてるってことー。この前あげた絵本に書いてあったよー。」
「たしかに、知ってます!絵本に書いてました!」
「なら話が早い。結論から言えば、地震兵器とは、巨大なナマズだった。ナマズが勝手に目標地点に移動してくれればそれでジ・エンドだ。固定する必要が無いから再利用もたやすい。ここで、そのナマズの成長スピードを考えてみたい。ナマズというのは10~15年ぐらい生きるが、その寿命がもし無限だったとしたらどうだろうか?」
「無限に成長するやんか!」
「そう。日本最古のM7クラス地震は416年に発生したといわれている。もし地震兵器が400年代からできていたとすれば、今ナマズは寿命の約160倍の時代を孤独に生きているはずだ。そうしたナマズは無限に成長しきり地球を喰らうEARTH EATERになっているわけだ。もしそれが暴走し、地震が起こってしまったなら?」
「ち、地球が滅びるッス!でも実際そうじゃないってことは、有海パイセンの説は間違いッス!」
「僕の説は正しい!だからそのようにこの世界を修正してもらいたい!地球が滅んでいないことの方がおかしいのだ!!」
「いや、有海パイセンが間違っているから、世界が滅んでいないッス!」
繰り返し主張する凛の肩を帝がポンとたたく。その目は憐れみに包まれていた。
「凛ちゃん。有海が何度言えば分かるんや!?世界が滅んでいないんやから、世界の方がおかしいってずっと有海は主張してるんや!」
「‥‥‥‥訳わかんないっッスよー!!」
「‥‥‥‥うーん、言っていることは良くわからないですが、なんとなくおかしいですね。滅んでいないのは。でかいなまずが地面の下にいたら滅んでいるんです?じゃあ、滅ぼした方が‥‥?」
「いや、有海パイセンの言ってることがめちゃくちゃだからッス!騙されないで!!」
「さすがに滅ぼされちゃあたまんねえぜ!有海の言うことは無視してくれ!」
七鞠がなななな様を引きとめようとするが、小春が妨害する。
「いや、でも確かに有海くんの説を否定することもできないのは事実だし、もうどっちでもいい気がしてきたねー。滅ぼしてもいいかもしれないねー。皆で虹の橋に行こう?今きっとなまずさんもさびしがってるよ。なまずさんの寂しさを解消するには、みんなで虹の橋でお茶会しないと‥‥。」
「あんたは黙ってるッス!」
このままでは世界が滅亡していたことになってしまう。そこで七鞠はハッタリをかますことにした。
「‥‥‥‥いや、巨大なナマズが地球を巣食っていても地球は滅亡しねえよ!」
「ドクター七鞠!」
「有海。お前はまだまだ詰めがあめえぞ。」
「聞かせてもらおうか。」
「地震兵器だけじゃねえ。お前の論と同様の理由で空震兵器と海震兵器も存在する可能性がある。ナマズは当然海水で生きることも頑張ればできるし、ナマズにその根性があることも信じている。そしてナマズが空を飛ばないとも断定できないだろ?誰も飛ばしたことが無いんだからな。それなら地球全体が震えるだけで、俺たちには何の影響もないってこった!」
「ちなみにワイ、オリンピックのなまず投げで世界新記録取ったことがあるで。だからナマズは空を飛ぶやろ。」
「そんな種目は、ない!」
(しまったわ‥‥。ワイのせいで場が白けてもうた‥‥。どうしよう‥‥嫌われる‥‥。)
「あのー‥‥‥‥1つ良いッスか?わたし、電動歯ブラシのスイッチをオンにして、パンツの中に入れて24時間過ごしたことがあるんすよ。」
「話題をそらすな!」
有海は真剣に考えている「つもり」なので、こういう話題転換を厳しく糾弾する。
「そらしてないッスよ!股間の震動に耐えるために、私が適応した方法が、世界を破滅から守るッス!」
「どういうことだ?」
有海は関連性を見いだせない。
「たしかに、電動歯ブラシの震動は、股間に衝撃を与えるッス。しかし、もし電動歯ブラシと同じ勢いで自分も震動したら‥‥?」
「そうか、相対的に震動は打ち消されるというわけか!」
「「ちちななみみにに、ここんんなな感感じじッッスス!」」
凛はバスローブに手を入れ、股間を弄ると‥‥。
ぶるるるるるるるるるるるるるる‥‥‥‥‥!
震えだしたのだ!!
「マッサージ機チェアみたいです‥‥。」
「なななな様。目に焼き付けておけ。これが快楽の奴隷、7つの大罪「色欲」だ。」
「やめろや!なななな様、あんまり見るんじゃねーぞ。こいつが堕落した人間だからな。」
「そういうことだ、有海!空と陸、そして海。同時に震えていて打ち消されているだけだったってことだ!だからお前の説が正しいとしても、地球は滅亡してねえんだよ!」
この事実を知った有海は、肩を震わせ、感動に満ち溢れていた。
「なるほど!つまり人類には、知恵があったということか!自らの憎悪で自らを殺さないために、そのような対抗策を用意していた!僕は、感動している!人は、許された!」
有海は今まで『人が許されるはずがない』という主義のもと行動していた。人は皆、罪を背負っている。既に、滅ぼされていても不思議ではないぐらいに!しかしそれは間違いだった。人間は生きることを許されていたのだ!
「分かればいいんだよ。分かれば。」
こうして、人類の戦いの決着はついたのだった。
「なるほど、この事実をSNSで発信しなければならない!これは人類への希望論、その第一歩となる!これは人類の勝利!!人類の勝利なのだ!」
「まあ、知性の敗北‥‥とも言うがなあ。」
「有海さん、意見が固まりましたか?」
そう。有海にもう迷いはない。闇すらも覆う雲が晴れたかのような表情で、高らかに宣言する。
「ああ!世界を滅ぼす必要は、ない!」
「良かったです。」
「そうだ。Twtterで発信するなら、この研究所のアカウントを作った方が早い。この研究所をなななな研究所に改名して、公式Twtterアカウントを作成させてもらった。ここから人類と神の長い長い旅路が始まるのだ。」
「わーい!ピクニックだー!またおにぎりつくろー」
「もう本当におにぎりに毒物入れた方が、ええんとちゃうやろか。こいつら危険すぎるわ。」
後日‥‥‥‥。
「どうした凛?震えているな。また電動歯ブラシか?」
「インフル‥‥エンザかもしれないッス。これはいわば、凛震兵器‥‥‥‥ッス。」
「何だと!?‥‥‥そうか、インフルエンザは生物兵器でありかつ、地震兵器の亜種だったのか!?『複合』が存在したとは‥‥!恐るべし、秘密結社ユーフォリア‥‥。」
「冗談ッス!無視してください!」
つづく。




