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小春「私の王子様→」有海「頭の中お花畑女←」


『「神様研究所」では幼女の神様を研究しています。幼女か神様、どちらかが好きな方は是非とも助手になりやがれ!場所は●◎県××市‥‥‥』


「な、な、な、七鞠さん!まさかこの文体すら統一できていないチラシで、研究所に助手が来ると考えていたんですかー!?」


「俺は、自分が間違ったことをしたとはこれっぽっちも思っていない。いや、今までも思ったことが無いし、これからも思うことはないだろう。とにかくこのチラシはキャッチーだったと自負しているぜ。つまり、最近の若者はガっつかなくなったってだけなんだよ!」


七鞠が嘆いているのは、他でもない。研究所に助手が必要となり、チラシを2000枚手書きで書いたのにもかかわらず、


誰も来なかった。


「私達を危ない組織だと思ったのではないでしょうか!?私は確かにこの世界では愛くるしい女の子の姿をしています。それゆえに、私に欲情する人もいるかもしれません!ここで『幼女好き』をターゲットにしたことによって、この組織の危険性を周知させてしまった、そうではないですか!?」


「しっかしお前良く喋るなあ。じゃあ、この研究所に助手が来るようにお願いするぜ!賢い奴と、強い奴が欲しい!」


「な、な、な、なんですとー!?楽に願いをかなえる手段を手に入れた人間はこうも努力を怠るようになるんですかー!?」


「べ、別にいいだろ!」


「でも、お願いされる方は意外とまんざらでもないです!」

「よし、できました!たぶん、あと5秒で来るです!」

神様の呪文はその場その場であったりなかったりする。適当である。

「カウントするぞ。3,2」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ドグシャアアアアアアアアアア!!

なんと研究所の壁をバイクがぶち破り、青年が突っ込んできたのだ!

「な、な、な、何なんですかー!?この世界はこんなにもバイオレンスなんですかー!?」

砂煙が激しく、視界が遮られる。

煙が晴れてきたころ青年はヘルメットを取るが、何故が顔をアルミホイルでぐるぐる巻きにしているため、顔が見えない!七鞠は疑問に思ったが、それを遮るかのように、

「ぐぬ!改造バイク『チャリオット@脳内麻薬盗まれない』がぐちゃぐちゃになってしまった!」

「お、おい、お前大丈夫か!?後なんだそのアルミホイルは!」

その青年は人の話を聞かないのか、いきなり七鞠につかみかかる。

「た、頼む、匿ってくれ!さっきから個人ストーカーに絡まれて‥‥‥‥!」

「個人?普通ストーカーは個人だろ!」

「来る!奴が、来る!!構えろ!!」


バイクが開けた穴から、ウェディングドレスを着た女性がひょっこり中を覗き込んできた。

「わたしの王子様だー!」

「王子様!?」

「そう、王子様!んー。入り辛いなー。えいっ!」

蹴りで穴を広げながら、侵入を試みる。当然彼女はこのバイクアルミホイラーに恐怖を与えた個人ストーカーである。

「こいつが王子様!?このバイクに人生を捧げていそうな奴がか!?」

「そうなのー!そのアルミホイルと白馬!まさに白銀の王子様だよー!」

「バイクが白馬に見えてやがる‥‥。そうとう重症だ。」

「僕はバイクに人生を捧げてなどいない!手段と目的を取りちがえてはいけないのだ。このバイク『チャリオット@脳内麻薬盗まれない』は、重力波脳内麻薬泥棒を行う秘密結社ユーフォリアから『幸福』を守るためにある!!このアルミホイルも‥‥」


「然り!!」

「何故間をおいた?」

そうしている間にも、花嫁衣装の女は壁を蹴り壊していく。

「だーめ!きみは私の白馬の王子様なのー!よいしょ。」

そうして、研究所内への侵入を許してしまった。

「はーい!こんにちはー。」

「貴様の狙いは何だ!?殺人か!?それとも強姦か!?はたまた拉致か!?」

「そんなことしないよー。王子様とお話がしたかったのー。」


「すごいのが2人も来たぜ。お前、やるなあ。」

「な、な、な、なんてことありませんよ。私は神様なんですよ?」

「何でビビってる?」

唐突に現われたアルミホイルと花嫁を、誰も予想できなかった。そう。神様でさえも。


「お話をしに来ただと!?お話とはなんだ!?」

「お話ってのはね、くちびるとくちびるでするもんなんだよー!」

そうして、ウェディングドレスの女は、アルミホイル男に熱い口づけを交わしたのだった!

「な、な、な、七鞠さん!ラブストーリーは、こんなにも突然に始まるんですかーっ!?」

「突然に始まるが、突然に終わる。そういうもんだよ。覚えて置きな。」


悲しいのはアルミホイル男である。アルミホイル越しとは言え、訳の分らぬ女と間に唇を奪われたのだ。

「ぼ、僕のファーストキスがこんな脳内麻薬の肉奴隷女だと!?何かの間違いだろ!?」

「はーい、現実を直視しようねー。王子様のキスでまほうがとけました。」

「私、新城小春は、虹の橋のお姫様『こはるどん』にもどりましたー!ぱちぱちー!」

「陰謀だ!少子化政策だ!これは‥‥断じて許されるはずがないんだ!」


理解不能な状況に神様でさえも戸惑う。世界はかくもミステリアス。

「こ、これはどうすれば‥‥。」

「青春ってのも、時代とともに当然変化するよなあ?おあついねえ。」

「‥‥決めた!お前たちをこの研究所の助手にする!」


「わーい!助手だ助手だー!」

「なんだと!?強権的だ!断固反対‥‥。」

「そうか。助手は嫌か。なら壁の修理代を払ってもらおうか。」

下種の笑顔を見せる七鞠の前に、アルミホイル男は屈した。

「ぐ‥‥。良いだろう。しかし、何をすれば‥‥?」


意外とアルミホイル男もウェディングドレス女も聞きわけがいい。

「聞いて驚け。ここにいるのは正真正銘の神様だ。」

「神様です!」

「こいつを実験台に、いろいろなことをするのさ。ぐへへへ‥‥‥‥。」

七鞠は指で幼女神様のほっぺたをぷにぷにし始めた。

「な、な、な、何をするんです!やめてくださいー!」

「幼女に対して何という悪辣な行為‥‥!」

「かわいそうだよー!」

しかし七鞠のつんつんは止まらない。何より幼女は柔らかいのだ。一度つっつきはじめると止まらないことを七鞠は知らなかった。

「悪いな。だが、科学も文学も、屍の山の上に築かれるんだぜ?」

「まさか貴様、この幼女を殺す気なのか!?」

「い、いや、今のは例えだ。悪いな。すまん。」


変な空気になったので、七鞠は仕切り直す。

「とにかく、俺一人じゃこいつは手に余る。だから‥‥。」

「そうだ!あなた神様なんだよねー!私のお願い聞いてー!」

「お前は人の話を聞きやがれ!」


「笑顔ってとても大事だと思うんだー。だから、この世界を笑顔でいっぱいにして?」

「な、な、な、なんですとー!?すごくいい提案です!いいですよね!笑顔!世界を笑顔で固定したらいいんですね!?」

頭の中まがふわふわな花嫁は、お願いまでふわふわである。なんと『笑顔』を希求したのだ!


「ぬけがけはずるい!」

アルミホイル男も負けじと彼の夢見た世界を語る。

「秘密結社ユーフォリア本部を爆破してほしい。スイスのジュネーブにあると噂されている。‥‥‥‥いや、それよりもさっきのキスを無かったことにしてくれないか?貪的快楽は7つの大罪のうちの『色欲』に当たる。真に求めるべきは絶対幸福であり、それはいつの時代も不変だ。こんな頭ゆるゆるの人間に唇を奪われるほど、快楽奴隷冥利なことはない。」

「何言ってるんだお前。」

「ごめんなさい。よくわからないです。」


アルミホイル男は少し考え込んだ後、説明を続ける。

「ユーフォリアの説明が不足していたか?イルミナティやフリーメイソンの陰に隠れ工作活動を行ってきた宇宙人の集団だ。脳内麻薬を人間から奪い、与え、それによりうつ病や躁病、統合失調症、パーキンソン病等を引き起こす。警察やマスコミの上層部に喰いこんでいるから尻尾をつかませず、私兵である快楽思想警察を率いている。人間の感情を支配し、弄ぶ悪鬼羅刹だ。奴らはもはや神を騙っているに等しい。本物の神様なら、対処しない理由が無いと思うがそれについてはどう思う?」


「のうないまやく?あっきらせつ?‥‥あなたの説明、わかりにくいです!903歳児にそんなこと言ったって、わかるわけありません!」

「そうか‥‥。神ですら認知し得ない組織‥‥思ったより強敵だな。僕は錯覚していた‥‥。敵の強大さを、見誤っていた‥‥。ずっとずっと‥‥大きかったのか!!」

額に2本指を当て、思考しているかのようなポーズをとるアルミホイル男。しかしこいつもどうせ何も考えてはいない。頭の中がお花畑なのは女の方と何も変わらない。

意外と、お似合いの2人なのだろう。

「お前はもっと説明能力を身につけた方がいいぜ。」

このアルミホイル男は、陰謀論者だった。しかも、一番たちの悪い陰謀論者の中の1人だ。


「とにかく、自己紹介だ。俺は、初行七鞠!発明家だ。ちなみに、教授でもある。」

「そうか、貴方がドクター七鞠か。マッドサイエンティストとして有名な‥‥‥‥。僕は大宰有海たいざいあるみ。この国の将来を担う栄腐乱大学生2回生である!会えて光栄だ!」

よく見てみれば、上下ともに普通の服装をしている。顔にアルミホイルを巻いていることを除けば、別に不自然ではない。

「お、栄腐乱大学か。この前爆発したとかで有名な‥‥‥‥。」

「そのことは触れないでいただきたい‥‥。」

有海は、シャツの袖をまくり、火傷のあとを見せた。

「そうか。お前も大変だな‥‥。」


「こほん!おひめさまにちゅーもーく!」

「わたしももういちどー。私は新城小春にいじろこはる。虹の橋から来たお姫さまー!こはるどんって呼んでねー!」

混じりけの無い満面の笑みでとんでもない空想を述べる花嫁。

「こはるどんって、なんです?」

「こはるどんはこはるどんだよ。ちなみに、22歳なんだよー!」

「君、年上だったのか!?」

「女の子はね。いつまでもお姫さまなんだよ。」

「‥‥‥‥。世の中は広大だ。」有海は絶句した。


「では、私は神様です!すごいです!ものすごいです!」

「そう言えば、神様の名前ってなんなのー?」

「特には決まってませんが‥‥。」

「俺はずっと神様と呼んでたぜ。まあ神様なんだからしゃあないだろ。」

「でも名前つけてあげたいなー。可愛い‥‥。」


「よし。GODはDOGの反対だから『ぬい』ちゃんだ。これぞ命名。」

「犬扱いだなんてひどいです!」

「そうだー。神様ってさっきから、『な、な、な、なんですかー!』とか、『な』を繰り返すくせあるねー。だから『なななな様』ってどー?」

「な、な、な、なるほど!それは思いもしませんでした!」

「よろしくな!『なななな様!』」

「では、名前も決まったことですし‥‥。私の初めて‥‥小春さんに捧げます!世界を笑顔で固定します!」

「笑顔で固定ときたか‥‥。今から始まる悠久のサーガ!神による世界改変!」

「世界改変はわくわくするだろ?有海。」

「ああ。神という存在に人間が立ちあう。これははたして、許されるのか、許されないのか?非常に、興味深い!」


「ちょっと効果が出るまで時間がかかりますね。明日の朝には効果が出ています。」

難しいお願いには少々時間がかかるようだ。

「悪いが、明日は平日だ。大学の授業がある。ここに来れるのは日曜日だけだろう。」

「わたしもー、ちょっとむずかしいかなー。」

「俺だって平日は授業があるぜ。」

「うーむ。日曜ぐらいしか集まれないのか。」

「まあ、俺は奥の部屋で生活してるからな。日曜日は大体いるだろうよ。」

「分かった。今日のところは退散しよう。明日が楽しみだ!」

「そうだね王子さまー。意外とノリノリだー。」



そうして翌日は、どのようなことが起こるのだろうか‥‥。

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