???「兄上。忘れてもらってはこまるぞい。」七鞠「そうか‥‥最初から‥・・。」有海「最終回2」
一方、凛と七鞠、有海は研究所に残っていた。
「これからどうするッスか!?七鞠さん、有海パイセン!!」
「教授と共になななな様を蘇生させる!神が簡単にくたばるはずがない!」
「ああ。何とかするしかねえんだよ。このままじゃ、面白くねえからな!」
「おそらく『なななな様』は悪夢の世界に取り込まれている。僕と教授で、助けに行く!」
「もちろん、戻ってこれるかどうかは分からねえ。だが、やるしかねえんだ!」
なななな様は確かに、さっきから悪夢にうなされているように見える。死んだわけではないと考えられるのだ。だからこそ、救う余地がある。
「でも、どうやってなななな様の夢の中に入るッスか?」
「さっきからドクター七鞠が夢没入マシンを制作しているんだ‥‥。だが‥‥‥‥。」
『ERROR.夢認識 デキマセン』
「糞っ!!また失敗だ!!マニュアルにもねえ!俺自身が作れるわけもねえ‥‥。どうすれば‥‥。どうすればいいんだ‥‥‥‥。こんな時、麻里七がいれば‥‥。麻里七が‥‥‥‥いれば‥‥‥‥‥‥‥。」
七鞠が何度やっても作成に失敗してしまう。付け焼刃の知識で頑張るが、どうしても最後の部分、あと少しで起動しないのだ。
「畜生‥‥。畜生‥‥‥‥!!」
窮地に立たされた七鞠は、一番最初のことを思い出した。
『はい!これで七鞠さんでしたっけ?あなたの妹さんはこの世に戻りました!』
『ありがとう!!で、妹はどこにいる!?』
『えっへん!私はすごいんです!どこかにはいます!』
「『この世に戻った』‥‥麻里七は死んでたってわけだろ‥‥?」
『そうだ。おかわりだよ!俺を世界一の発明家にしてほしい!』
『んー。もうなってますよー。』
『何だと!?神様からお墨付きをもらうとは!!やったぜ!』
「俺は、どう考えても世界一優秀な発明家ではない。世界一の発明家は、俺と麻里七のコンビだ‥‥。なら‥‥‥‥!!」
「‥‥‥‥。そうか。そういうことだったわけかよ。」
七鞠はおそらく、全てを理解したようだ。
「わりいな有海。俺、しばらくどっか行くわ。」
「何だって!?こんな大事な時に、どうするつもりなのだっ!?」
流石に怒りを隠せないのか、口調が荒くなる有海。
「助っ人を、呼ぶのさ。」
「助っ人?誰ッスか‥‥?」
「ずっと、俺の別人格として見てたんだろ?」
「出て来いよ、麻里七ッッ!!」
七鞠がそう叫ぶと、彼の眼つきが女っぽく変わった。
「七鞠さんの雰囲気が変わったッス‥‥。」
「麻里七‥‥。そうか、聞いたことがある。ドクターの妹だったって‥‥。」
「あー、なんじゃなんじゃ?」
そうして、初行七鞠(?)は口を開いた。
「ワタシは世界一の科学者、初行麻里七。何か用かの?」
「麻里七さん‥‥なんスね?」
「もちろんじゃ、怨の字!ワタシ作のハーモニカは気に入ってくれたかのう?」
「はいッス!!」
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「さて、状況を整理しようか。現在ワタシたちはなななな様を復活させなければならない。城の字と陣の字は既に出陣している。で、宰の字と怨の字がここに残っているということか?さらに、ワタシが夢に没入する機械を開発する必要がある。」
「そういうことになるだろう。お願いできるだろうか。」
「問題ない。この程度なら余裕じゃ。大船に乗った気分で任せておけ♪」
「あと、怨の字。流石に大掛かりな機械じゃから、資材が必要じゃ。打ち出の小づちはいまここにはないから、お前さんのコネで集めてくれんか?」
「わかったッス!!」
凛は手当たり次第に電話をかける。
「宰の字は助手を頼むぞい。」
「承知した!!」
有海は願った。この事態が収拾することを。
(小春と帝はうまくやっているだろうか‥‥。)
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うまくやっていた。
具体的に言えば、魔龍ドレイナと対話することまで成功していたのである。
「有海くんをいじめたのはだめ!虹の橋で反省してね。」
「そうやそうや!ばーかばーか!」
「貴様の所業、許すわけにはいかない!」
「我‥‥渇望する。破滅、深淵、断罪‥‥‥‥そして、幸福を。」
魔龍ドレイナは同じようなことしか言わないが、やはり周囲の荒れ狂う雨風と、狂人化重力波&電磁波は脅威である。しかし帝は打ち出の小づちから何かしらを噴射することでの飛行、小春は空中歩行、園沢アナウンサーは報道用ヘリで風に耐えていた。結局、狂人化重力波うんぬんは元から狂っている奴らにはほとんど効果が無い。更に、有海が常に身に着けていた『重力波対策アルミホイル』を使うことで、ほぼその影響をカットすることができた。
「人の幸せを踏みにじった先の幸福など、言わば砂上の楼閣!破壊の先に何が生まれる!?人間に受け入れてもらいたくば、己が罪を見直せ!」
「ううん。虹の橋にいけば、みんなしあわせ。」
「そうやそうや!ばーかばーか!」
「少し黙っていろ!」
「‥‥‥‥。我はずっと、孤独だった。無の中で、何もないまま5万年を過ごした。話し相手がほしかったのだ。」
「あ、わかっちゃった!」
「どうした、名もなき姫よ。」
「狂人化重力波&電磁波って、もともとあっぱらぱーな人たちには効果ないんだよね。じゃあ、始めからあっぱらぱーな人と喋りたかったんだよねー、ドラゴンさん♪」
「よく、分からないが‥‥。」
「そもそも、このゴツイ魔龍に近づけるのが、元からアレな奴らだけってことや。それ以外の人間は皆拒んどるのにも関わらずや。どーなんや、魔龍!」
「‥‥‥‥‥‥。我、孤独を嫌う。退屈を嫌う。渇望するのは‥‥?分からない‥‥。分からない‥‥。」
「まー、炎を吐くよりもっと楽しーことしよーよー!お茶会とかー!」
「お茶会‥‥?何だ‥‥それは?」
(よし、喰いついたで!あとは頼むで、小春!)
「お茶を飲んではなしあうのー。」
「‥‥‥‥。面白い。それもまた一興。我を‥‥我を満足させてみろ!」
「おい、そこの軍用ヘリコプター!!乗せろ!世界を救う方法、見付けたで!」
3人はヘリコプターに乗って、魔龍は飛行することによって太平洋の一部へとやって来た。
「なるほどー。ここの海一帯を紅茶にするんだねー。」
「そうや!打ち出の小づちから大量に茶葉を投入する!」
帝は、ヘリコプターの上から「打ち出の小づち」で茶葉を大量投下する。
「お茶会だと!私に流れる優雅な英国の血が、騒ぐではないか!」
園沢アナウンサーもいろいろ思う所があるようだ。
「そして、このお茶会を完成させるのは、あんたや!魔龍ドレイナ!」
帝は力強くドレイナを指差した。
「我が‥‥完成させる‥‥?」
「火を吹け!海を沸騰させるんや!!」
魔龍ドレイナは火を吐き、海面を炎で覆った。これにより海水面の温度が急激に上昇し、沸騰する。これにより茶葉が混じった太平洋の一部は紅茶の海となった。
「よし!お茶会を開始するで!皆、紅茶となった海水を飲むんや!」
「ふむ‥‥。塩辛い‥‥が、まあ許容範囲では‥‥ある。」
魔龍も、べつにまんざらではないようだ。
「こういうのも、たまにはいいんじゃないかなー?」
「どうや!?お味は!あんたグルメリポーターもやっとるやろ!?」
「女騎士たる者、紅茶を嗜むのは当然だ。だが、これはひどい。そもそも茶葉なのかすらどうかも怪しい。土の味がする。それだけのことだ。」
「素晴らしいコメント、痛みいるで!」
(時間を稼いでいる間‥‥。有海たちはうまくやっとるやろうか‥‥。)
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「よし、完成じゃ。ここから先はワタシはつらいじゃろう。」
どうやら、麻里七として出て来れる時間に、制限があるようだ。
「とにかく、兄上ならうまくやってくれると信じとる。ワタシはちょっとここいらでサヨナラじゃ~。また何かあったら呼ぶんじゃぞ~♪」
「ありがとうございましたッス!!」
そうして、初行麻里七(?)は少し硬直した後に、大きく目を見開いた。
「七鞠さん!麻里七さんがつくってくれたッスよ!!」
「おう、麻里七がやってくれたみたいだな。俺のもくろみは当たっていたか。」
「そうッス!これでなななな様の夢の中に入れるッスよ!!」
「ただ、ドクター麻里七によれば、操作する人員が必ず外にいなければならない‥‥。そして、夢世界での死は、現実世界と同じものを意味することになる‥‥。」
「分かった。じゃあ、凛。お前が残れ。そして有海はついてこい。俺とおまえで助けに行く。」
「ああ!!良いだろう!」
七鞠は机の引き出しから大量の小道具を取り出し、並べた。
「俺の発明品一覧だ。『胡蝶夢没入』には道具は一つしか持ちこめねえんだな?」
「ドクター麻里七によればそうらしいが。」
「どれを選ぶかが最重要だということか‥‥。」
「麻里七作波動砲。ダウジング風車。拳銃。まあ、武器には事欠かねえな。」
七鞠はいつもの拳銃を持ちだそうとするが、有海が止める。
「‥‥‥‥。いや、その発想は危険だ!神の脳内だぞ!?何が起こるか予測不能だ!」
「だが、この場面に会う発明を今から作り直している時間はねえ!」
言い争っているうちに、七鞠は変なものを見つけた。
「ん?これは何だ?‥‥そうか、こんなのもあったなあ。」
つづく。




