有海「入れ替わってるー!?」なななな様「その5 ラスト!」
「ちょっと128号!早くクラブに来てよ!」
いきなり有海は番号で呼ばれる。このような管理社会を彷彿とさせる命令は好きではなかった。
「どういうことだ?なぜ番号で呼ぶ?」
「いまさら何言ってるの!全員『怨戒凛』なんだから番号で呼ぶ他仕方がないじゃない!」
「クラブに‥‥学校はいいのか!?」
「学校に行くのは132号の役目でしょ!何言ってるの?」
「なるほど。分かった。今向かう。‥‥‥‥どこだったか?」
「ボケてる場合じゃないよ!早く××ビルまで!!」
こうして有海は自らの足で歩く感覚を思い出しながら、××ビルまでやって来た。
「ほら、128号!早くこの人の相手をして!」
「わ、わかった!」
そうして有海扮する凛128号は、凛133号の命令で相手をすることになる。
「おーい、133号!お客様が来たよー!」
「いまいくよー!それじゃ、あとはお願い!」
凛133号は遠くに行ってしまった。だが、残された相手は異様だった。
「‥‥‥‥。何故ここにいる。園沢アナウンサー。」
園沢アナウンサーは、女騎士になることで人気を博した『朝王ニュース』のニュースキャスターだ。様々なスキャンダルを乗り越えた彼女は、最近は陰謀論に傾倒しているため、有海からすればヒーローのような存在なのである。
「何故かって、私はあなたのお得意様だからだ。不自然なことは何もない。」
「デートクラブ‥‥。凛はごまかしてるが、おそらく非合法だ。アナウンサーたるもの、こんなところに入り浸っていていいのか?」
「そんなこと、100も承知だ!だが、私は性欲に勝てない!」
だが、有海は追撃をやめない。
「何故だ?何故、悪を憎み正義を救済する心を捨ててしまった?」
「‥‥‥‥。可愛げのない子に育ったな、凛。私は悲しみを覚えている。」
「なあに。すぐに元に戻るさ。」
そうして、商売の話に戻る。
「とにかく。いつも通りのプレイを、いつも通りの料金で要求させてもらう!」
「具体的に言わないと困る。『いつもの』が通じるほどわたしは甘くはない。」
「この口から言わせる気か‥‥。いけすかない。当然12時間プランだ。とにかくオプションを全部付ける。メガネから寄生虫脳姦まで全てオプションだ。借りれる物も全部借りるぞ。」
「‥‥‥‥そんなことをすれば軽く30万は必要になる。いいのか?そして、そもそもお前の体がもつのか?」
有海は目の前の女騎士が心配になった。寄生虫脳姦だけでもハードなのに、それにいろいろなものをオプションする。そんなことをすれば園沢アナウンサーは死んでしまう。
「構わん!女騎士は、凌辱されてナンボだ!!」
だが、その返事は異常なまでに凛々しかった。
(プ レ イ は 自 主 規 制)
「ふう‥‥。さすがにこたえるな。」
「うん‥‥。君は頑張った。だが、女騎士でも限界はある。」
「構わん。堕ちるまでが女騎士だ。」
「そうか‥‥。」
体力を消耗した女騎士、園沢は、身の上を語ることになった。
「凛。貴様はデートクラブを通じ、いろいろな分野の人間と繋がりを持ち、社会の闇を逆に飲み込もうとしている。」
「‥‥‥‥。」
「私も社会の真の姿を知ることが目的でアナウンサーになろうとしたのだ。だが、駄目だった。枕営業で売り渡してしまった純潔はもう戻ってこない。そして、お前の命を狙う人間はどこにでもいる。虹色の死神にお前が殺された時、どれだけ心配したことか‥‥!」
有海は奇妙な縁を感じずには居られなかった。
「だからお前にも早く気がついてほしいだけだ。‥‥姉としてな。凛。わかるか?」
「いや、まだ理解できないかもしれない‥‥。」
「まあいい‥‥。いつかわかる。」
「なあ、姉さんと一緒に故郷に帰らないか。こんな都会の闇に飲み込まれることはないと思う。霊媒師も用意して、お前を下界に引き戻す選択肢も辞さない。」
「‥‥‥‥まだ、明確な回答をすることはできない。」
「今日は楽しかった。感謝するよ。我が、愛しき妹‥‥。」
(なるほど、そういうことだったのか。ただの異常性癖かと思いきや、出来るだけ金を腹違いの妹に渡すため。行き違った優しさだ。)
有海は一人っ子なので、こういったものに弱いのかもしれない。その目には、涙が浮かんでいた。
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皆、長い長い一日が終わって、言いたいことは一つだった。
「「「「「だめだ!!元に戻してくれ!」」」」」
「わかりました!戻します!」
そうして、全員今日得たことの総括をすることになった。
「1問目が角度計算で2問目が読書感想文?ものすごい試験問題になりそうだな。しかしあいつ男だったのか。男子トイレに入るから何かがおかしいとは思っていたが‥‥。」
「何なんッスかあのスライドは!そもそもあれは何の授業何ッスか。教授が一体何者なのか分からなくなってきたッス‥‥。」
「へー。お馬さんを手術したんだ。すごーい。で、女王様はお馬さんに乗って帰って行ったんだねー。お馬さんがこれから女王様を守るってロマンチックだー。」
「小春。お前、殺し屋だったんだな。親にいいように使われてたのか?」
「何故だ。何故僕を称賛するツイートが相次いでいるのだ!?#ゆはな とは何だ!?『許されるはずがないんだ』の略か!?」
「ワイのおかげやな。バイク人間という長所を生かさなもったいないで!」
「なんやて、足笛地高校の奴らが壊滅したんか!?あれほど手ごわい奴らが‥‥。」
「いやー、蟻さん達にはわるいことしたなー。こんど角砂糖わたしにいこうよ。」
「そうッスか。お姉さんがまた来たんッスね‥‥。お姉さんはいつもめちゃくちゃなプレイするから嫌い。」
「どういうことだ‥‥?園沢アナウンサーは貴様の姉だったのか。」
こうして、長い長い一日は終了し、皆また、有るべき姿に戻ったのだった。
多くの謎を、残したまま‥‥。
この謎は、いつか語られるものかもしれないし、語られることの無いものかもしれない。
ただ、それでも曜日は繰り返していく。
それだけが、事実――――
つづく。




